臨床血液
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38 巻, 4 号
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第38回総会
教育講演6
教育講演7
教育講演8
教育講演11
教育講演12
シンポジウム4
多発性骨髄腫の基礎と臨床
シンポジウム6
血栓止血領域における新しい検査法とその意義
臨床研究
  • 嶋崎 明美, 尾崎 由基男
    1997 年 38 巻 4 号 p. 323-330
    発行日: 1997年
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル 認証あり
    ヘパリン採血した健常人60例の全血を空気存在下に混和すると,全例に血小板数の減少を認めた。EDTA偽性血小板減少症と同様の塗抹所見や,PGE1による血小板減少の有意な抑制より,血小板が活性化されて形成された血小板凝集が血小板減少の原因と推定された。混和時に存在する空気量が多いほど,また加わる力が強いほど血小板減少が高度であったことより,混和によって血小板が活性化されたと考えられる。aspirin, 5HT2阻害剤(sarpogrelate)によってもこの現象は抑制され,活性化機序にはアラキドン酸代謝,セロトニン放出が一部関与していると考えられた。また,酸素の関与は否定的であった。全血より血小板血漿の方が血小板凝集が軽度であったことから赤血球,白血球の関与が考えられたが,5-lipoxygenase阻害剤による影響は少なかった。ヘパリン採血で血小板数を測定する際は,空気を入れずに混和することが必要と思われる。
症例
  • 小田和 昌彦, 栗山 謙, 岩瀬 理, 川西 慶一, 宮沢 啓介, 相沢 信, 根橋 良雄, 中野 優, 外山 圭助
    1997 年 38 巻 4 号 p. 331-335
    発行日: 1997年
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル 認証あり
    症例は44歳男性。1991年7月に血小板減少を指摘されていたが放置。翌年10月より鼻出血を認めたため精査加療目的にて入院。入院現症は,特記すべき所見なし。末梢血はWBC 10,000/μl, PBC 572×104l, Hb 13.8/dl, Hct 42.1%, Plt 0.5×104lと白血球増多,血小板減少を認めた。骨髄検査では巨核球の過形成が見られ,また末梢血,骨髄のいずれにも異型細胞は認められなかった。血清学的検査では,PAIgGが471.4 ng/107 cellsと高値を示した以外に異常なし。以上より本症例をITPと診断,同年11月中旬よりdanazol 300 mgの経口投与を開始した。4カ月間にわたり経過を観察したところ,約4週の周期で血小板数の増減を繰り返したため,その周期性について検索を行った。その結果,末梢血のNK細胞数とNK活性が血小板減少周期に一致した変化を示し,本症例の血小板減少に対しては抗体産生を調節するとされるNK細胞が関与している可能性が示唆された。
  • 小池 道明, 石山 泰二郎, 浜埜 康晴, 松田 功, 久武 純一, 日野 研一郎, 友安 茂, 鶴岡 延熹, 岩瀬 正泰, 瀧本 雅文, ...
    1997 年 38 巻 4 号 p. 336-341
    発行日: 1997年
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル 認証あり
    67歳,男性。1992年10月頃より左上顎部の腫瘍に気づき当院口腔外科で生検を施行され髄外性形質細胞と診断された。コバルト照射による腫瘤は消失した。1994年6月よりめまい,黒色便が出現し当科に入院した。CT検査上,左頚部,腹部傍大動脈リンパ節腫脹がみられ,化学療法を施行したが,全身状態が悪化して同年12月に死亡した。剖検では,全消化管に多発性の潰瘍を伴う形質細胞の浸潤および,肝,肺,甲状腺,心臓,腎,副腎にびまん性,結節性に浸潤が認められた。肝臓における形質細胞の免疫組織検査では,IgG, κ typeであった。髄外性形質細胞腫の消化管への浸潤はまれで,さらに全身へのびまん性の進展がみられ,病態を知る上で貴重な症例と考えられた。
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