ヘパリン採血した健常人60例の全血を空気存在下に混和すると,全例に血小板数の減少を認めた。EDTA偽性血小板減少症と同様の塗抹所見や,PGE
1による血小板減少の有意な抑制より,血小板が活性化されて形成された血小板凝集が血小板減少の原因と推定された。混和時に存在する空気量が多いほど,また加わる力が強いほど血小板減少が高度であったことより,混和によって血小板が活性化されたと考えられる。aspirin, 5HT
2阻害剤(sarpogrelate)によってもこの現象は抑制され,活性化機序にはアラキドン酸代謝,セロトニン放出が一部関与していると考えられた。また,酸素の関与は否定的であった。全血より血小板血漿の方が血小板凝集が軽度であったことから赤血球,白血球の関与が考えられたが,5-lipoxygenase阻害剤による影響は少なかった。ヘパリン採血で血小板数を測定する際は,空気を入れずに混和することが必要と思われる。
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