同種造血幹細胞移植後,呼吸機能に影響する因子を検討した。1993年1月から1998年5月までに同種造血幹細胞移植を行った80例のうち移植後,定期的に呼吸機能検査を施行しえた51例を対象とした。移植時年齢は中央値35歳(16∼53歳)であった。移植前処置は再生不良性貧血以外は全例全身放射線照射を用いた。移植片対宿主病(graft-versus-host disease, GVHD)の予防は短期メトトレキサートとシクロスポリンとした。II度以上の急性GVHDを6例に慢性GVHDを27例に認めた。移植前と比較して移植後100日に%CO肺拡散能力(%DLco)が有意に低下した(82±21% v 71±15%, p<0.01)。慢性GVHDを発症した29例と発症しなかった22例を比較した場合,慢性GVHD発症群において有意に移植後100日における%DLcoの低下が認められた(66±16% v 77±9%, p<0.05)。このことより慢性GVHDの発症は移植後100日における%DLcoの低下の一因であると示唆された。
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