臨床血液
Online ISSN : 1882-0824
Print ISSN : 0485-1439
ISSN-L : 0485-1439
40 巻, 11 号
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
特別寄稿
臨床研究
  • —フローサイトメトリー法およびコロニー法との比較解析—
    佐々木 秀樹, 渡辺 眞一郎, 板倉 紀子, 市薗 典子, 三室 睦子, 東 真理子, 生田 孝一郎
    1999 年 40 巻 11 号 p. 1144-1151
    発行日: 1999年
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル 認証あり
    自動血球分析装置SE-9000のIMIチャンネルを用いて臍帯血中の未分化細胞分画を測定し,フローサイトメトリーによるCD34陽性細胞数や培養法による前駆細胞数との相関を解析した。赤血球を除去した臍帯血検体の結果では,IMI陽性細胞数はCD34+細胞数,CFU-GM, BFU-E数と有意に正の相関が認められた。HPC領域細胞数もCD34+細胞数と相関を見たが,IMI陽性細胞数に比しその相関は低く前駆細胞数とは有意に相関しなかった。臍帯血は末梢血検体に比べCD34+/38-, CD34+/CD117+の未熟な分画が含まれており,HPC領域細胞の結果の両者の間の相違はこれが反映していると思われる。分離白血球検体の方が全血検体に比べて良い相関が得られ解析上の問題が少なかった。これらの結果からIMI陽性細胞の測定は臍帯血バンクのための幹細胞検体のスクリーニング法として有用であると思われる。
  • 倉田 義之, 林 悟, 押田 眞知子, 清井 映男, 田所 誠司, 柏木 浩和, 本田 繁則, 冨山 佳昭
    1999 年 40 巻 11 号 p. 1152-1159
    発行日: 1999年
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル 認証あり
    特発性血小板減少性紫斑病(ITP)と再生不良性貧血(AA)や骨髄低形成性血小板減少症(HypoT)鑑別にPAIgG, 網状血小板(RP), 血中トロンボポエチン(TPO)値および血小板の大きさのうちいずれの成績が有用か検討した。ITPにおいてRP比率(%RP)は25.2±11.0%と健常人(7.9±2.8)に比べ有意(P<0.001)に高く,感度(82%), 特異性(95%), 予測値(96%)ともに良好であった。一方,AAやHypoTにおいてTPO値(pg/ml)はそれぞれ355.5±218.7, 376.4±347.2と健常人(36.7±23.0)に比べ著明(P<0.001)に高値で,感度(88%), 特異性(89%), 予測値(86%)ともに良好であった。%RPとTPOの両者を同時に測定し,ITP診断やAA, HypoT診断に適用しても感度,特異性,予測値は有意に上昇しなかった。ITP診断には%RPの測定,AA, HypoT診断にはTPOの測定で十分であると思われた。
  • 原田 実根, 竹中 克斗, 中尾 真二, 青墳 信之, 沢田 仁, 品川 克至, 笠井 正晴, 井関 徹, 村田 誠, 岡本 真一郎, 兵頭 ...
    1999 年 40 巻 11 号 p. 1160-1167
    発行日: 1999年
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル 認証あり
    わが国での同種末梢血幹細胞移植(allo-PBSCT)の現状について全国調査を行った。全国28施設より回答が得られた103例について解析した。移植時期は1994年12月∼1997年11月。年齢の中央値は37歳で,対象疾患はAML 43例,CML 19例,ALL 14例,MDS 14例,その他13例であった。ドナーはHLA適合同胞が85%を占めた。移植CD34陽性細胞数は,中央値5.3×106/kgで,血液学的回復は好中球500/μl以上の回復に中央値13日,血小板20,000/μl以上の回復に中央値13日であった。移植後100日以内の移植関連死亡は16.1%にみられた。急性GVHDは,II∼IV度が37.4%, III∼IV度が16.2%にみられ,慢性GVHDは68.6%にみられた。allo-PBSCTでは速やかな造血回復が得られ,移植後早期の移植関連死亡も少ないが,慢性GVHDの頻度増加など,さらに検討が必要である。
症例
  • 田中 陽子, 塚本 憲史, 櫻谷 昌孝, 松島 孝文, 田村 遵一, 成清 卓二, 唐沢 正光, 村上 博和
    1999 年 40 巻 11 号 p. 1168-1173
    発行日: 1999年
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル 認証あり
    症例は47歳,女性。発熱,複視,眼窩部痛および高度の好中球減少のため当科外来受診。骨髄は好中球分節核球のみ著減しており無顆粒球症からの回復期と診断,G-CSF 1μg/kg/日投与により好中球は一旦回復した。G-CSF投与中止後好中球減少が再燃,同量のG-CSF再投与には反応しないため入院した。眼球運動障害,三叉神経第一枝領域の自発痛,知覚低下があり,高度の好中球減少の他,貧血,血小板減少も認めた。Coombs試験陽性,PA-IgG高値,抗NA1抗体陽性,赤血球・血小板寿命の短縮から自己免疫機序による血球破壊の亢進が示唆された。G-CSF 5 μg/kg日投与とそれに続く副腎皮質ステロイド投与により血液所見は改善した。一方,ステロイド投与で神経所見および複視も速やかに軽快,Tolosa-Hunt症候群と考えられた。Tolosa-Hunt症候群様の神経所見と自己免疫性血球減少症が合併した稀な病態と考えられた。
  • 金子 潤子, 内山 聡之, 小宅 達郎, 榎本 さなえ, 小野 葉子, 菅原 健, 沼岡 英晴, 下瀬川 健二, 伊藤 薫樹, 村井 一範, ...
    1999 年 40 巻 11 号 p. 1174-1180
    発行日: 1999年
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル 認証あり
    当初,フィラデルフィア染色体(Ph)陽性の急性リンパ芽球性白血病(ALL)と診断したが,最終的に慢性骨髄性白血病急性転化(CML-BC)と考えざるを得なかった1女性例を経験した。発症時の芽球は骨髄有核細胞の82.2%を占め,ミエロペルオキシダーゼ(MPO)反応陰性,CD10, 19および34が陽性であり,骨髄染色体分析では分析細胞のすべてにPhを認め,majorおよびminor BCR/ABL m-RNAの両方が観察された。以上の所見からPh陽性ALLと暫定診断し,抗白血病化学療法を施行したところ血液学的に寛解が得られ,PhおよびBCR/ABL m-RNAともに一時消失したため,Ph陽性ALLと診断を決定した。しかしおよそ1カ月ののちに芽球の再増加が観察され,再増加した芽球はMPO陽性,CD13, 33が陽性でCD10, 19は陰性の骨髄芽球であった。以上の臨床経過から本例はPh陽性ALLよりも,リンパ芽球性および骨髄芽球性の2度のBCを続けておこしたCMLであったと最終的に診断した。
  • 阿部 佳子, 臼杵 憲祐, 山口 祐子, 小瀧 光子, 壹岐 聖子, 浦部 晶夫
    1999 年 40 巻 11 号 p. 1181-1186
    発行日: 1999年
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル 認証あり
    症例は50歳,男性。以前より血清IgGとIgAが低値であった。頭蓋内出血と血小板減少(血小板数0.3×104l)のため入院した。血清IgG (76 mg/dl)とIgA (30 mg/dl)の低値を認めたが,末梢血T·B細胞分画に異常を認めずcommon variable immunodeficiency (CVID)と診断した。また,骨髄では巨核球数は正常(64/μl)であり,特発性血小板減少性紫斑病の合併と診断した。γグロブリン大量療法とプレドニゾロン投与を施行したが効果がなかった。CVIDのため摘脾を行わず,脾照射(計15 Gy)を施行した。照射開始5日後より血小板数の増加がみられ,照射終了時には血小板数8.7×104l, 照射終了後2週間では22.9×104lと著効を奏した。
  • 小原 直, 大越 靖, 向井 陽美, 米野 琢哉, 長谷川 雄一, 小島 寛, 二宮 治彦, 長澤 俊郎
    1999 年 40 巻 11 号 p. 1187-1192
    発行日: 1999年
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル 認証あり
    1999年1月,58歳の男性が有痛性の左下腿腫脹と白血球増多を主訴に当院へ転院した。中等度の肝脾腫をみとめたが,リンパ節腫大はみとめられなかった。顕著な白血球増加(白血球数44.9万,95%は形態的にprolymphocyte様)と血小板減少がみられた。白血病細胞はCD1-2+3+5+7+4+8+25+であった。Magnetic Resonance Imaging (MRI)により下腿の静脈拡張が確認された。47XY, +22の異常核型を1/20に認めた。抗HTLV-I抗体は陰性。細胞化学や電顕所見からT-prolymphocytic leukemia (T-PLL)と診断した。vincristine (VCR), cyclophosphamide (CPA), prednisolone (PSL)を含んだ化学療法2コースによって下肢の静脈塞栓は改善したものの,白血病細胞は不応性であった。静脈塞栓の再発を予防するために白血球除去療法を繰り返した。7回の白血球除去(1回の体外循環7l)により白血球数は20.0万前後に維持された。本例の如き静脈塞栓によるT-PLLの発症はまれであり,CD4+8+25+という表面形質もT-PLLの形質としては稀なものであり報告した。
  • 梶本 博子, 納谷 真由美, 北條 誠, 日比 成美, 今宿 晋作
    1999 年 40 巻 11 号 p. 1193-1197
    発行日: 1999年
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル 認証あり
    われわれは,B precursor ALL (FAB L1)で治療終了後,左眼窩に腫瘤を形成して局所再発した16歳女児例を経験したので報告する。11歳時から患児は,化学療法と,CNS白血病予防として18 Gyの頭部予防照射(眼窩は照射野に含まれなかった),合計12回のMTXとpredonineの髄注をうけていた。寛解導入療法により速やかに寛解し,全経過を通じて中枢神経系への浸潤は認めなかった。治療終了15カ月後に,左眼球結膜の充血と眼球突出を認め,頭部CTにて左眼窩に腫瘤を認めた。骨髄再発はなかった経鼻的生検にてCD10陽性芽球の浸潤を認め,ALLの局所再発と診断した。化学療法8クールと5回の髄注,局所に24 Gyの放射線照射を行い画像上腫瘤は消失し,現在外来にて経過観察中である。眼窩内に腫瘤を形成して再発したALLの報告は稀で3例のみであった。
短報
  • 平位 秀世, 志村 和穂, 高橋 良一, 菊田 武久, 芦原 英司, 稲葉 亨, 藤田 直久, 島崎 千尋, 赤坂 尚司, 大野 仁嗣, 中 ...
    1999 年 40 巻 11 号 p. 1198-1200
    発行日: 1999年
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル 認証あり
    A 59-year-old man was admitted in December 1995 because of general fatigue without lymphadenopathy. Increased abnormal lymphocytes (70%) were observed in peripheral blood. Bone marrow aspiration was a dry tap. Biopsy specimens revealed hypercellularity with infiltration of abnormal lymphocytes. Surface marker analysis of tumor cells was positive for CD5, CD19, CD20, HLA-DR, κ, and sIgM and negative for CD10. Cytogenetic analysis disclosed a complex abnormal karyotype including t(3;22) and rearrangement of the BCL6 gene. The patient was given a diagnosis of CD5 positive B-cell lymphoma, but died in January 1997 despite repeated chemotherapy. This case was unique because BCL6 rearrangement has been reported in various types of B-cell lymphoma but rarely associated with leukemic types without lymphadenopathy.
  • 壹岐 聖子, 臼杵 憲祐, 小瀧 光子, 山口 祐子, 浦部 晶夫
    1999 年 40 巻 11 号 p. 1201-1203
    発行日: 1999年
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル 認証あり
    Essential thrombocythemia (ET) was diagnosed in a 31-year-old woman who had a miscarriage in the first trimester of her first pregnancy. Because of her wish for child, the patient was given alpha interferon (α-IFN) instead of hydroxyurea or aspirin to lower her platelet count to about 80×104l. She also had a miscarriage in her second pregnancy. Thereafter, the platelet count was kept at 60-70×104l by dose escalation of α-IFN. In the 35th week of her third pregnancy, the patient delivered a healthy baby with a normal blood count. Several small infarctions were observed in the placenta. Control of platelet count by α-IFN administraion was effective in preventing recurrent miscarriage associated with ET, and had no adverse effect on patient fertility or fetal development.
例会
feedback
Top