臨床血液
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40 巻, 3 号
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第40回総会
教育講演1
教育講演3
教育講演4
教育講演7
教育講演9
シンポジウム3
悪性リンパ腫の節外病変
臨床研究
  • —投与量の検討—
    森 眞由美, 村井 善郎, 鈴木 憲史, 野中 泰延, 佐藤 宏, 富山 順治, 高木 敏之, 武藤 良知, 柏村 真
    1999 年 40 巻 3 号 p. 199-204
    発行日: 1999年
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル 認証あり
    われわれは高齢者の非Hodgkinリンパ腫患者に6コース施行可能な最適CHOP治療量を検討する目的で,用量検討試験を行った。65歳から80歳未満11名をAグループ,80歳以上9名をBグループとして登録した。これらを1/2への減量CHOP (1/2 CHOP), 7/12 CHOP, 2/3 CHOP, 5/6 CHOP, 基準CHOPの5段階に分け,A群は2/3 CHOPから,B群は1/2 CHOPから登録順に治療を開始した。6コースの治療を行うことにし,最初の3例において重大な問題なく3コース終了しえた時点で,次の治療量を開始した。そして2例が副作用のため治療を中止した場合,その投与量の一つ前の量を適量と決定した。6コースの治療は,A群では2/3 CHOP, 5/6 CHOP, 基準CHOPにおいてそれぞれ3/3, 3/4, 1/4例で完遂された。B群では,1/2 CHOP, 7/12 CHOP, 2/3 CHOPにおいて3/3, 2/3, 1/3例で完遂できた。以上よりA群では5/6 CHOPが,B群では7/12 CHOPが適量と判断した。
  • 林 悟, 押田 眞知子, 清井 映男, 田所 誠司, 柏木 浩和, 本田 繁則, 冨山 佳昭, 倉田 義之
    1999 年 40 巻 3 号 p. 205-212
    発行日: 1999年
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル 認証あり
    網状血小板(RP)は細胞質にRNAが残存している血小板で,新生血小板と考えられている。近年,RP数は血小板の産生動態を反映するとして血小板減少症の病態解析・鑑別診断に利用されつつある。しかしながら,チアゾール・オレンジ(TO)を用いての染色法は非特異が強いため感度,再現性,特異性に問題がある。現在までRPの染色条件を詳細に検討した報告はほとんどなく,未だ標準的な測定法は確立していない。われわれはTOによる非特異染色を解決するために染色条件を詳細に再検討した。染色法としては,1) 血小板を固定,2) TO液は8倍,3) 染色時間は60分∼120分,4) 抗CD42b抗体を用いて血小板を捕捉することなどが重要であった。上記染色条件で同時再現性は3.4∼5.1%と良好であった。ITPでのRP比率は23.6±13.3%と健常人の8.7±2.2%に比べ有意に高値であった。また87%のITP症例でRP比率は高値と感度も良好であった。われわれが確立したRP測定法は血小板減少症の病態解析・鑑別診断に十分使用可能であると思われた。
症例
  • 水江 伸夫, 渡部 潤子, 加藤 静恵, 小田 孝憲, 鈴木 信寛, 工藤 亨
    1999 年 40 巻 3 号 p. 213-217
    発行日: 1999年
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル 認証あり
    移植前に頻回輸血を受けた重症型再生不良性貧血(SAA) 2症例に対し,cyclophosphamide, antithymocyte globulin (ATG), total body irradiationによる前処置にて非血縁者間骨髄移植(UR-BMT)を施行した。GVHD予防には短期MTXとcyclosporineを使用した。2例とも3週間以内に速やかな生着が得られ,GVHDの合併を認めなかった。この前処置は輸血回数が多いSAAに対するUR-BMTにおいて有用と考えられた。しかし2症例ともday 20∼30とday 40∼50に発熱を認めGVHD・感染症・血清病等の鑑別に苦慮した。2例ともCMV antigenemiaが弱陽性であったため,当初ganciclovirで治療したが解熱しないため結局prednisoloneの併用にて軽快した。ATGを含む強力な前処置はヘルペスウィルス感染症,特にCMV感染症のリスクが高くなると考えられ,また血清病の発症にも注意しなければならない。
  • 藤井 浩, 植田 豊, 中川 均, 笹井 ゆり, 堀池 重夫, 谷脇 雅史
    1999 年 40 巻 3 号 p. 218-223
    発行日: 1999年
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル 認証あり
    同系末梢血幹細胞移植を行ったKlinefelter症候群を伴った慢性骨髄性白血病(CML)症例を報告。
    46歳の男性,1994年5月白血球54,700, 骨髄染色体検査で47, XXY, t(9;22;14)(q34;q11;q24)などより,慢性期CMLと診断。hydroxyureaとIFNαで治療された。1996年8月一卵性双生児の弟よりG-CSFで動員した末梢血幹細胞を用いて,骨髄破壊的治療後に同系末梢血幹細胞移植を行った。4.0×106/kgのCD34陽性細胞を移植し,G-CSFを投与し,速やかな3系統の造血回復が得られた。同系PBSCT後に繰り返し行った骨髄の染色体は47, XXYであった。患者骨髄細胞のBCR-ABLをRT-PCR法で検査したが,移植前(1996年8月)にはmajor BCR-ABLは検出されたが,移植後(1997年1月)は検出されなかった。1998年3月患者とドナーの末梢血をFISH法でXXYのシグナルを検討し,それぞれ96%, 97%認められた。患者とドナーの血清FSHとLHは高値で,テストステロンは低値であった。
  • 熊谷 理夫, 森本 幸治, 壷井 功, 斎藤 孝, 相川 真吾, 兼板 佳孝, 大島 年照, 沢田 海彦, 堀江 孝至
    1999 年 40 巻 3 号 p. 224-229
    発行日: 1999年
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル 認証あり
    症例は,64歳女性。1992年10月に慢性期のRh1陽性慢性骨髄性白血病(Ph+ CML)と診断され,Interferon-α, busulfan, hydroxyureaにて加療されていた。1993年5月18日急激な血小板数の減少,末梢血上好塩期球および芽球様細胞の増多とともに,骨髄所見上,芽球様細胞14%, 染色体分析にて46, XX, t(9;22;17)(q34;q11;q23)の付加染色体異常が認められた。同日よりVP療法(vincristine, prednisolone)を施行されたが,5月30日突然の意識障害をきたし入院となった。入院時頭部CT上左前頭葉,右側頭葉の高吸収領域とその周囲の低吸収領域を認め,髄液中に芽球様細胞の存在を認めたことから中枢神経系髄外腫瘤を伴うCMLの急性転化と診断し,再度VP療法を施行したが,第7病日に小脳ヘルニアのため死亡した。剖検所見にて,硬膜に限局した多発性髄外性腫瘤を確認した。
  • 大嶋 政明, 福島 敬, 小池 和俊, 星田 千春, 泉 維昌, 土田 昌宏
    1999 年 40 巻 3 号 p. 230-235
    発行日: 1999年
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル 認証あり
    赤芽球と巨核芽球の2系統の細胞増殖を伴って発症し,再発時には,赤芽球および巨核芽球の両者の表面形質を有する細胞の増殖が主体となっていた乳児白血病の1例を経験した。症例は9カ月の女児。体重増加不良と貧血を主訴として入院した。肝脾腫,胸水貯留を認め,末梢血では,白血球増多,血小板減少,貧血を認めた。骨髄では,赤芽球が53.2%(PAS陽性,α-NA陽性,CD41陰性,MPO陰性)であり,細胞質にblebの目立つ巨核芽球を20.4%(PAS陽性,α-NA陽性,CD41陽性,MPO陰性)認めた。初発時には,CD41とGlycophorin Aを用いた2カラーのflow cytometryで,それぞれ単独に陽性となる細胞集団を認めたが,再発時にはdouble positiveの細胞集団が主体となっていた。また,染色体分析では乳児の急性巨核芽球性白血病(M7)に特異的な1;22転座を認めた。本例は,赤芽球系と巨核芽球系に共通した前駆細胞レベルでの白血化である可能性が考えられた。
短報
  • 西屋 克己, 酒井 宣明, 寺田 芳樹, 太田 忠信, 岸田 卓也, 嶋田 英子, 田所 憲治, 柿本 直樹, 日野 雅之, 山根 孝久, ...
    1999 年 40 巻 3 号 p. 236-239
    発行日: 1999年
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル 認証あり
    A 59-year-old man with myelodysplastic syndrome exhibited unticaria, dyspnea, fever, and hypotension immediately after the start of platelet concentrate (PC) transfusion on the 15th day of hospitalization. On the 17th and 21st day of hospitalization, the patient exhibited severe unticaria resembling that of erythroderma after the start of PC transfusion. Anti-IgA IgG antibody was detected by enzyme-linked immunosorbent assay (ELISA) on the 28th day of hospitalization. Anti-IgA (purified from pooled human plasma) was detected by Western blotting. The patient's IgA level was normal. No antibodies against HLA or platelet-specific antigens were detected in serum. The patient had no reaction to administration of washed PC. These findings suggest that anti-IgA antibody might have been responsible for the nonhemolytic transfusion reaction in this patient.
  • 野地 秀義, 七島 勉, 石川 俊一, 甲斐 龍幸, 斉藤 由理恵, 丸山 幸夫
    1999 年 40 巻 3 号 p. 240-243
    発行日: 1999年
    公開日: 2009/04/28
    ジャーナル 認証あり
    A 25-year-old man was admitted for evaluation of pancytopenia on May 2, 1997. On admission, he had pancytopenia with a normal reticulocyte count. Bone marrow aspirate specimens displayed a normal karyotype and hypocellularity without myelodysplasia. Although total bilirubin and lactate dehydrogenase levels were within their normal ranges, the haptoglobin level was low; additionally, two-color flow cytometric analysis determined that 3.3% of erythrocytes were double-negative for CD55 and CD59 expression. Atypical paroxysmal nocturnal hemoglobinuria with bone marrow hypoplasia was diagnosed. Because initial treatment with cyclosporin A was not effective, the patient was subsequently given a combination of antithymocyte globulin, cyclosporin A, and granulocyte colony-stimulating factor. Although the pancytopenia subsided, the percentage of double-negative erythrocytes in the patient's blood remained almost unchanged compared to findings obtained on admission.
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