症例は16歳男性。著しい白血球増加(388,000/m
l)を呈したB細胞性急性リンパ性白血病で,治療抵抗性を示し全経過13カ月で死亡した。腫瘍細胞はt(3;15)(q27;q2?2)を有しており,このような染色体相互転座はこれまで報告が無く,また染色体3q27領域はB細胞性腫瘍に関連が深い
bcl-6遺伝子局在部位に相当することから遺伝子異常の解析を行った。しかしながら,転座部位3q27, 15q2に局在する
bcl-6を含む7つの遺伝子の再構成は認められず,
bcl-6および
smrp,
dvl3,
tpm1遺伝子の相対的強発現が検出されるのみであった。本転座に伴ってどのような遺伝子異常がもたらされたかという点に関しては,残念ながら検討しえた範囲では示唆するような所見は得られなかったが,未報告の染色体異常と
bcl-6発現,CD19, 20の陽性亜群等,腫瘍細胞のheterogeneity, あるいは治療抵抗性を示したこととの関連を示唆する端緒となる所見が得られたと考えられ,報告する。
抄録全体を表示