近年,非Hodgkinリンパ腫(NHL)の腫瘍マーカーとして注目されているsIL-2Rにつき,臨床的意義を検討した。対象は,NHL 87例(未治療65例),その他各種疾患36例,計720検体である。sIL-2RはELISA法により測定した。NHLにおけるsIL-2Rは,未治療で210∼31, 197 U/m
l(平均4,017 U/m
l),CS I·IIに比してCS III·IVで高かった。治療前sIL-2Rが8,000 U/m
l以上の症例と未満の症例の2年生存率は12.3%, 76.0% (p<0.01)であり,前者で予後不良であった。年齢,臨床病期,LDH, PS, 節外病変数にsIL-2RとCRPを加えて多変量解析を行うとsIL-2RとLDHが有意な予後因子となった。寛解にある症例のsIL-2Rの95%信頼区間上限は2,014 U/m
lであった。寛解時には,sIL-2Rが2,000 U/m
l程度でも必ずしも再発を示唆するものではなく,注意深い経過観察が必要となると思われた。sIL-2Rは活動期NHLにおいて病勢を良好に反映し,予後因子の一つとしても,有用な可能性があると思われた。
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