症例は77歳,男性。2001年6月血液検査でLDHの上昇と幼弱白血球の出現を指摘され,当院へ紹介入院となった。表在リンパ節,肝脾は触知せず。骨髄検査では,ペルオキシダーゼ染色陽性,非特異的エステラーゼ染色陰性,CD13, 33, 34, HLA-DR陽性の芽球が20∼30%認められ,小型巨核球が多数出現し巨核球系と顆粒球系の形態異常が高度に認められ,MDS (RAEB-t)と診断した。染色体分析では46, XY, inv(3)(q21q26), t(9;22)(q34;q11)がみられ,RT-PCRではminor-BCR/ABLキメラmRNAが検出された。cytarabine少量皮下注やcytarabine ocfosfateの内服などのmildな治療を行って経過をみたが,8月には血小板増加を伴うAMLへ進展した。9月にimatinib 400 mg/日を投与したが効果は一時的な白血球減少のみであった。10月には芽球の増加とともに急激に白血球が増加し,肺炎の合併で12月に死亡された。全経過は7カ月半であった。当症例はPh陽性の3q21q26 syndromeと診断され,非常にまれな症例と考えられる。過去の報告のごとく予後は不良であった。
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