症例は11歳の男児。ALLの骨髄再発のため第二寛解期に臍帯血移植を行ったが生着不全に至った。初回移植後36日目に,母子間マイクロキメリズムが証明されたHLA-A, -DRB1の2抗原不一致の母親から,非T細胞除去骨髄移植を再施行した。前処置は,melphalanとfludarabine, GVHD予防にはtacrolimusとmethotrexateを用いた。生着は,好中球(>500/μ
l), 網状赤血球(>1%), 血小板(>50,000/μ
l), それぞれ第10, 17, 18日目と速やかであった。消化管と肝に軽度の治療関連毒性,皮膚にstage 2の急性GVHD (grade I)を認めたが,他に重篤な合併症は認めなかった。移植後6カ月経過したが,慢性GVHDもなく無病生存中である。生着不全後早期の再移植であっても,HLA-A, -B, -DRB1抗原のうち2抗原不一致でマイクロキメリズム陽性の母親から,比較的安全に母子間非T細胞除去骨髄移植を行うことができる可能性が示された。
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