症例は60歳の女性。2001年5月に全身リンパ節腫脹のため当院を受診。白血球数は25,510/μ
l, うちリンパ球を93%認めた。骨髄でも有核細胞のうちリンパ球が86%を占めていた。その表面形質はCD5, 19, 20, sIgκが陽性であり,CD23が陰性であった。FISH法でbcl 1/IgHキメラ遺伝子の融合と,生検リンパ節の免疫組織化学でcyclin D1を確認した。以上より,マントル細胞リンパ腫(MCL), 臨床病期IV Aと診断した。CHOP療法とrituximab投与により部分寛解を得たが,2002年3月に再燃し,治療抵抗性となりrituximabを含むsalvage療法を施行したが死亡した。Rituximab再投与後の骨髄の腫瘍細胞はCD5, cyclin D1は陽性であったが,CD20とsIgκは陰性化した。Rituximab投与によりCD20が陰性化する頻度は不明であるが,MCLで2例報告されているにすぎない。本例は非常に興味深い臨床経過をとったMCLであったため報告する。
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