症例は68歳,男性。'97年7月に汎血球減少症を指摘され,骨髄穿刺にて形態異常とAuer小体を有する芽球を認め,骨髄異形成症候群(MDS)のRAEBtと診断された。同年11月急性骨髄性白血病(AML)への移行と判断したが,この時の染色体は正常核型でCD13, CD14, CD33, HLA-DR陽性,CD7陰性であった。JALSG-AML92プロトコールによる寛解導入療法にて寛解となったが,'99年11月汎血球減少症が出現。骨髄穿刺にて芽球が18%[CD7, CD13, CD34, HLA-DR陽性;46, XY, add(18)(p11)]のため,再発と診断。A-triple V療法及びIDR+Ara-C療法を施行したが,無効であった。2000年4月頃より芽球の急激な増加を認め,表面形質は再発時と同様であったものの,染色体検査にて46, XY, t(9;22)(q34;q11), add(18)(p11)と新たにPhiladelphia (Ph
1)染色体の出現を認めた。FISHにて
bcr/ablの融合シグナルが確認され,RT-PCRにてminor
bcr/abl mRNAを認めた。MDSおよびMDSから移行したAMLの経過中にPh
1染色体が出現することはまれであり,白血病の進展に何らかの関与をしている可能性が考えられた。
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