臨床血液
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44 巻, 7 号
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総説
症例
  • 東梅 友美, 太田 秀一, 小野寺 学, 馬場 麗, 藤澤 文絵, 三浦 洋子, 豊島 經康, 田中 淳司, 浅香 正博, 今村 雅寛
    2003 年 44 巻 7 号 p. 446-450
    発行日: 2003年
    公開日: 2009/07/28
    ジャーナル 認証あり
    症例は23歳女性。2000年9月Hodgkin病(Mixed cellularity type, clinical stage III B)と診断され,ABVD療法および放射線治療を行い完全寛解となるも,3カ月後に再発し,2001年11月当科紹介入院となった。入院時のFDG-PETでは頸椎から腰椎,腸骨へかけて骨髄浸潤を認め,再寛解導入を試みるも,FDG-PETでは骨髄病変の残存が認められたままであった。その後salvage療法を施行し,2002年5月非血縁者間同種骨髄移植を施行した。白血球はday 13に生着し,同時期に皮膚にGVHDが認められたため,副腎皮質ステロイドホルモンの投与を行い,病変は消失した。移植後のFDG-PETでは残存病変の消失を認めたが,day 106のFDG-PETで再々発が確認され,その後原病の急激な進行により患者は死亡した。本症例では移植前のFDG-PETの骨髄所見が治療抵抗性を反映しており,治療抵抗性のHodgkin病に対し同種骨髄移植を考慮する上でFDG-PETによる移植前後の経過観察が有用であったので若干の文献的考察を加えて報告する。
  • 青山 泰孝, 山村 亮介, 島 悦子, 中前 博久, 牧田 香理, 長谷川 太郎, 阪本 親彦, 寺田 芳樹, 洪 鉉寿, 太田 健介, 山 ...
    2003 年 44 巻 7 号 p. 451-455
    発行日: 2003年
    公開日: 2009/07/28
    ジャーナル 認証あり
    症例は33歳,男性。中枢神経系再発悪性リンパ腫に対する骨髄非破壊的な前処置を用いた血縁者間同種造血幹細胞移植後に内臓播種性水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)感染症を合併した。Acyclovir投与が当初一時的には有効であったが,次第に抵抗性となり,acyclovir継続投与にもかかわらずVZV感染症は持続した。肝炎も遷延したためfoscarnetを投与したところ,末梢血中のVZV-DNAコピー数は速やかに低下,消失した。同種造血幹細胞移植後に合併するacyclovir抵抗性のVZV感染症にはfoscarnet投与は有効な治療法であると考えられた。
  • 白土 基明, 末廣 悟, 末廣 陽子, 谷 憲三朗, 大島 孝一, 塩川 左斗志, 西村 純二
    2003 年 44 巻 7 号 p. 456-461
    発行日: 2003年
    公開日: 2009/07/28
    ジャーナル 認証あり
    40歳男性。腹痛,汎血球減少にて当科入院。表在リンパ節腫脹と臍部に至る脾腫を認めた。リンパ節生検にて中型から大型のリンパ球様異型細胞のびまん性増殖を認め,T細胞性マーカー陽性で,HLTV-Iの組み込みを認めなかったため,新WHO分類の末梢性T細胞リンパ腫(PTCL), unspecifiedと診断した。骨髄中にもリンパ腫細胞の浸潤を認めた。CHOP療法,DCF療法(9.5mg, 3コース),脾照射に抵抗性であったため,全身放射腺照射とcyclophosphamideを前処置に用いてHLA一致の同胞ドナーから同種末梢血幹細胞移植を施行した。経過中grade IIIの急性GVHDが出現し,day 28には骨髄中のリンパ腫細胞は消失し,キメリズムは100%ドナー型となった。day 38のリンパ節腫脹は消失し,脾腫も著明な改善を認めた。極めて治療抵抗性であった末梢性T細胞リンパ腫症例に同種末梢血幹細胞移植を施行し,急性GVHD出現後,明らかなGVL効果が認められた。PTCLは不均一な集団であり,その治療戦略は未確立であるが,化学療法に抵抗性の場合は同種移植を試みるべきであると考えられた。
  • 高井 和江, 新國 公司, 真田 雅好, 渋谷 宏行
    2003 年 44 巻 7 号 p. 462-467
    発行日: 2003年
    公開日: 2009/07/28
    ジャーナル 認証あり
    72歳女性。左頸部腫瘤,高熱,汎血球減少,肝障害にて入院。骨髄の大型異型リンパ球と血球貪食組織球の増加よりリンパ腫関連血球貪食症候群を疑った。腹部CTで肝に多発性の低吸収域を認め,肝機能は急速に悪化した。頸部腫瘤の生検で悪性リンパ腫と診断し,THP-COP療法後肝機能はすみやかに改善したが,十二指腸潰瘍の穿孔により死亡した。Ferritin 5,429.3ng/ml, sIL-2R 13,900U/ml, IL-6848pg/ml, IFN-γ70.0IU/ml, TNF-α229pg/mlと高値を示した。組織学的にはkaryorrhexisを伴った高度な壊死を呈するリンパ腫で,CD3, CD8陽性,CD4, CD20陰性,TIA-1, Granzyme B, EBER陽性で,TCRβ鎖及びγ鎖遺伝子に再構成バンドを認め,EB virus関連末梢性T細胞リンパ腫と診断した。剖検では多発性肝細胞壊死巣を認めたが肝へのリンパ腫浸潤はきわめて軽度であった。血球貪食症候群における肝細胞障害にcytokinesの関与を示唆する興味ある症例と考えられる。
短報
アンケート調査報告
  • —九州血液疾患治療グループ(K-HOT)アンケート調査—
    石塚 賢治, 池田 柊一, 和泉 洋一郎, 今村 豊, 鵜池 直邦, 魚住 公治, 宇都宮 與, 河野 文夫, 久富木 庸子, 権藤 久司, ...
    2003 年 44 巻 7 号 p. 483-490
    発行日: 2003年
    公開日: 2009/07/28
    ジャーナル 認証あり
    九州血液疾患治療グループ(K-HOT)は九州内22施設の血液内科で組織される。造血器腫瘍治療時の感染症対策の現状を把握するため,2001年11月から2002年4月にグループ内アンケート調査を行った。回収率は一次調査86%(22施設中19施設),一次調査回答施設を対象にした二次調査89%(19施設中17施設)であった。成人T細胞白血病/リンパ腫ではスルファメトキサゾール・トリメトプリム(ST)合剤や結核既往例での抗結核薬の予防投与が広く行われ,顆粒球コロニー刺激因子の投与タイミングが他疾患より早い特徴があった。自家造血幹細胞移植(自家SCT)時のアシクロビル,免疫グロブリン製剤(Ig)やST合剤投与は簡略化が見られた。一方,同種SCT時のIg総投与量は施設間で大きく異なっていた。本調査は,支持療法の現状を把握する上で非常に有用である。
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