臨床血液
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45 巻, 5 号
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第45回総会
学会シンポジウム4. 血管病変をめぐる新たな展開
合同シンポジウム2. Molecular basis of hematopoiesis
臨床研究
  • 高橋 功, 依光 聖一
    2004 年 45 巻 5 号 p. 372-377
    発行日: 2004年
    公開日: 2009/07/28
    ジャーナル 認証あり
    高知県におけるITPの疫学的側面について検討した。過去14年間(1989年4月1日∼2002年3月31日)の新規登録者は523例,男性192例(36.7%), 女性331例(63.3%), 女性/男性(F/M)比は1.7であった。また,小児(≤14歳),成人(15∼64歳),高齢者(≥65歳)の比率は各々24.9%, 51.6%, 23.5%で,年齢層別にみたF/M比は小児0.8, 成人3.0, 高齢者1.3と成人に比較し高齢者では性差が有意に縮小していた。人口10万人当たりの平均年間発症数をI期('89∼'90), II期('91∼'92), III期('93∼'94), IV期('95∼'96), V期('97∼'98), VI期('99∼'00), VII期('01∼'02)で検討したが,新規発症数は有意に増加し,年齢層別検討では高齢者での増加が著明であった(I期:0.90, II期:0.67, III期:1.89, IV期:3.52, V期:3.05, VI期:4.10, VII期:3.17, P<0.05)。高齢者人口の増加とともに高齢者におけるITPの増加が推測されるが,今後,Helicobacter pyloriに対する除菌療法をふくめた高齢者ITPに対する至適治療体制の構築が望まれる。
  • 森 美貴, 和田 英夫, 珠玖 洋, 八木 秀男, 松本 雅則, 藤村 吉博
    2004 年 45 巻 5 号 p. 378-382
    発行日: 2004年
    公開日: 2009/07/28
    ジャーナル 認証あり
    ADAMTS13の発見によって,血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の病態の解明が著しく進歩し,TTPの確定診断が可能になった。しかし,血栓性微小血管障害(TMA)様病態を示す症例及びTTP症例の一部に,ADAMTS13が著明低下しない症例が存在する。今回,32例のTMA様症例を,急性期におけるADAMTS13活性によって著明低下群(<3%: 13例)と中等度低下群(6∼70%: 19例)に分け,臨床病態・予後,止血系分子マーカー等を比較検討した。著減群は全てにインヒビターがみられ,血漿交換(PE)が奏効し13例中11例が寛解となった。中等度低下群は,TTP: 7例,溶血性尿毒症症候群(HUS): 7例,薬剤性HUS (D-HUS): 3例,VOD: 1例,IVL: 1例が混在し,ADAMTS13活性は,それぞれ,6∼51%, 28∼70%, 46∼54%, 26%, 28%を示した。中等度低下を示したTTP群は,7例中4例が死亡,1例は神経症状が遷延化し,血管内皮細胞マーカーのTM, t-PA·PAI-1Cが高値傾向を示した。今回の検討で,ADAMTS13活性の検討は,TMA様病態の鑑別診断や治療方針の上で有用であることが示唆された。また,ADAMTS13活性が中等度低下のTMA病態には,血管内皮細胞障害が何らかの関与をしている可能性が示唆された。
症例
  • 村瀬 和幸, 松永 卓也, 瀧本 理修, 高平 尚季, 藤見 章仁, 竹内 直子, 照井 健, 新津 洋司郎
    2004 年 45 巻 5 号 p. 383-386
    発行日: 2004年
    公開日: 2009/07/28
    ジャーナル 認証あり
    症例は31歳女性,妊娠12週時の定期健診にて貧血,血小板減少を指摘され当科紹介となる。自己免疫性血小板減少を合併する骨髄異形成症候群(不応性貧血)と診断した。mPSL及びγglb大量投与を用いて治療したが奏効せず,大量血小板輸血後に帝王切開で健児を分娩した。分娩後に貧血は自然に改善したが,血小板減少は改善しなかった。再度PSLを投与したところ,PAIgGの低下と共に血小板数の上昇を認めた。これまでMDSの妊婦の血小板減少に対しPSLが奏効した症例の報告はなされておらず,示唆に富む症例と考えられる。
  • 大口 裕人, 齋 敏明, 濱崎 洋一, 亀岡 淳一, 佐々木 毅
    2004 年 45 巻 5 号 p. 387-392
    発行日: 2004年
    公開日: 2009/07/28
    ジャーナル 認証あり
    症例は51歳,女性。2002年1月,急性骨髄性白血病(AML, M1)の診断で当科入院し,寛解導入療法を施行中,発熱および胸部X線上浸潤影が出現した。抗生剤,fluconazoleで加療するも改善を認めず。喀痰培養および血清学的検査上有意な所見は得られなかったが,肺真菌症を疑い,amphotericin Bを開始したところ,臨床症状の改善をみた。ところが,経過中,突然大量喀血を来し出血多量により死亡した。剖検の結果,肺ムコール症から大動脈気管支瘻を形成していたことが明らかとなった。ムコールは血管侵襲性が高く,肺ムコール症における致死的な大量喀血の報告はこれまでにも散見されるが,大動脈からの出血例は本例を含め4例しかなく,極めて稀であり報告する。
  • 坂田 尚己, 佐藤 恵実子, 澤田 明久, 安井 昌博, 井上 雅美, 河 敬世
    2004 年 45 巻 5 号 p. 393-396
    発行日: 2004年
    公開日: 2009/07/28
    ジャーナル 認証あり
    症例は31歳の女性。1999年1月頃より繰り返す発熱と咽頭痛で発症。12月に左頸部リンパ節腫脹が認められ,生検で悪性リンパ腫の疑いとされた。血清EBウイルス抗体価の異常および末梢血中にEBウイルスDNA (EBV-DNA)が検出されたため,慢性活動性EBウイルス感染症(CAEBV)と診断した。2001年12月よりCHOP, CA大量を用いた化学療法を施行したところ,末梢血中のEBV-DNA量は移植前に検出感度以下となったため,fludarabine, melphalanの前処置でHLA一致の同胞より骨髄移植を施行した。現在まで移植後14か月を経過するが寛解を維持している。移植後83日より生理が認められ,316日の血清LH, FSH値も正常範囲内であった。RISTは,化学療法でEBV-DNA量が著減したCAEBVには安全で有効な治療法であり,晩期障害を軽減し,QOLを高める可能性が考えられた。
  • 酒井 リカ, 丸田 壱郎, 山崎 悦子, 上條 亜紀, 田口 淳, 兵 理絵, 田中 正嗣, 藤巻 克通, 長尾 大, 与芝 真, 石ケ坪 ...
    2004 年 45 巻 5 号 p. 397-401
    発行日: 2004年
    公開日: 2009/07/28
    ジャーナル 認証あり
    症例は21歳,女性のB型肝炎ウイルスキャリア。2000年9月に発熱,頚部リンパ節腫大を主訴に入院。EBウイルス抗体価は初感染パターンを示し,末梢血EBV-DNAが陽性,骨髄では血球貪食像を認めた。EBウイルスの初感染に伴う血球貪食症候群と診断し免疫化学療法を施行したが治療抵抗性であった。治療途中よりlamivudineを開始したが,重症肝炎を合併した。血漿交換,免疫療法,抗ウイルス療法にて肝炎が軽快後,lamivudine併用下でHLA一致の弟より同種末梢血幹細胞移植を施行した。以後,B型肝炎の再燃はなかった。移植後に末梢血EBV-DNAは消失したが,急性GVHDの治療中に再燃した。Day169にDLI後,EBV-DNAは漸減消失した。感染細胞がホスト由来かドナー由来かの鑑別は困難であったが,DLIがEBV-AHSに対する同種移植後のEBV-DNAの再燃に対し有効であった。
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