高知県におけるITPの疫学的側面について検討した。過去14年間(1989年4月1日∼2002年3月31日)の新規登録者は523例,男性192例(36.7%), 女性331例(63.3%), 女性/男性(F/M)比は1.7であった。また,小児(≤14歳),成人(15∼64歳),高齢者(≥65歳)の比率は各々24.9%, 51.6%, 23.5%で,年齢層別にみたF/M比は小児0.8, 成人3.0, 高齢者1.3と成人に比較し高齢者では性差が有意に縮小していた。人口10万人当たりの平均年間発症数をI期('89∼'90), II期('91∼'92), III期('93∼'94), IV期('95∼'96), V期('97∼'98), VI期('99∼'00), VII期('01∼'02)で検討したが,新規発症数は有意に増加し,年齢層別検討では高齢者での増加が著明であった(I期:0.90, II期:0.67, III期:1.89, IV期:3.52, V期:3.05, VI期:4.10, VII期:3.17, P<0.05)。高齢者人口の増加とともに高齢者におけるITPの増加が推測されるが,今後,
Helicobacter pyloriに対する除菌療法をふくめた高齢者ITPに対する至適治療体制の構築が望まれる。
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