臨床血液
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46 巻, 9 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
臨床研究
  • 北詰 浩一, 森 啓, 樋口 敬和, 島本 健至, 富田 直人, 奥村 廣和, 山中 慎一, 高井 和江, 蔵 良政, 澤田 海彦, 小峰 ...
    2005 年 46 巻 9 号 p. 1031-1037
    発行日: 2005年
    公開日: 2009/07/28
    ジャーナル 認証あり
    悪性リンパ腫治療研究会は1997年∼2002年のHBsAg陽性のHBVキャリアまたはB型慢性肝炎に合併した悪性リンパ腫症例についてlamivudineによる重症肝炎予防の効果を検討した。登録症例は18例で,年齢39∼73歳(中央値53歳),男性8例,女性10例。HBe抗体(HBeAb)陽性者は13例であり,肝生検は8例に行われた。結果はlamivudine投与中にHBV-DNA量の増加を認めた例はなかった。また副作用は認めず,全例でリンパ腫への予定治療を完了できた。投与中止後2例でウイルス量が増加したが,再投与で正常化した。ウイルス量の増加とともにHBeAb値が低下した。最終転帰は生存14, 死亡4で,死因は全て原疾患に帰せられた。Lamivudineの中止時期についてはさらに検討を要するが,HBeAb値の動きも判断指標として有用と考えられた。今回の検討対象からは除外したが,既感染状態にあり,lamivudine中止後に重症肝炎で死亡した1例も経験された。既感染例への予防投与についても検討が必要と考えられる。
症例
  • 土岐 典子, 入澤 寛之, 斉藤 泰之, 佐倉 徹, 宮脇 修一
    2005 年 46 巻 9 号 p. 1038-1043
    発行日: 2005年
    公開日: 2009/07/28
    ジャーナル 認証あり
    症例は38歳男性。2001年12月発症の急性骨髄性白血病(M2)で,寛解導入に3回の化学療法を要した。予後不良と判断し2002年5月human leukocyte antigen (HLA) 1座不一致の同胞より同種骨髄移植を施行した。急性graft-versus-host disease (GVHD)はDay14に皮膚にgrade 2が出現したが,methylprednisolone sodium succinate (mPSL)の投与にて改善し,prednisolone (PSL)をDay104に中止し,Day112に退院した。慢性GVHDは認めず,creatinine (Cr)の上昇もあるため,cyclosporine (CsA)を徐々に減量し,Day165にて中止した。Day179に皮疹が出現したため,CsAを100mg/dayで再開した。Day186に発熱を認めたため,入院した。胸部computed tomography (CT)では間質性肺炎を認め,慢性GVHDに伴って出現している事から,肺GVHDと考え,PSLの投与を開始した。肝障害,皮疹は改善したが,肺GVHDは改善せず,縦隔気腫,皮下気腫を合併し,Day206に死亡した。本例は,慢性肺GVHDとしての間質性肺炎が急速に進行した稀な症例と思われた。
  • 鈴木 真優美, 中川 雅史, 清水 義文, 末村 正樹, 佐藤 文三
    2005 年 46 巻 9 号 p. 1044-1048
    発行日: 2005年
    公開日: 2009/07/28
    ジャーナル 認証あり
    症例は33歳男性。23歳時,十二指腸原発悪性リンパ腫に対し化学療法を施行中に、大量出血を合併し膵全摘術を受け寛解を得,無治療で経過観察されていた。1999年8月頃より貧血が出現し鉄剤静注にても改善せず,他院で精査されたが原因不明のまま輸血が行われていた。その後輸血頻度が増加し,2000年9月,当院精査入院となった。諸検査の結果,鉄欠乏の他,血中ビタミンB6 (B6)低値を認め,鉄に加えB6を点滴投与した結果,輸血をせずにHb10g/dlを維持可能となった。B6内服テストではB6の血中濃度の上昇を認めなかった。以上の結果から,貧血を難治化させた原因として,吸収不良によるB6欠乏が示唆された。B6はヘム合成系の補酵素として赤血球造血に必要であるため,その欠乏は小球性低色素性貧血を来たすとされている。原因不明の小球性低色素性貧血症例に遭遇した場合,B6欠乏も念頭にいれた精査が必要と考えられた。
  • 井口 豊崇, 横山 健次, 三石 正憲, 陳 建綱, 池田 康夫, 岡本 真一郎
    2005 年 46 巻 9 号 p. 1049-1054
    発行日: 2005年
    公開日: 2009/07/28
    ジャーナル 認証あり
    症例は58歳,男性。2002年4月に濾胞性リンパ腫(Grade2)が再発し,rituximab (375 mg/m2/w)とFND療法3コース施行後,部分寛解を得た。同年11月にMCVAC療法を前処置として自家末梢血幹細胞移植を施行した。Day19に発症した右下葉の肺炎は気管支鏡検査の結果,肺胞洗浄液から結核菌が検出されたため,抗結核剤(INH, RFP, EB, PZA)にて4カ月後には軽快した。Day43には出血性膀胱炎,day47にはサイトメガロウイルス抗原血症,day75にはカリニが疑われる肺炎を発症し,各々対症療法,ST合剤にて一カ月後に軽快治癒した。移植後2年完全寛解を維持している。自家移植後に結核,ウイルスによる重複感染症を併発することは稀である。本例では移植前のrituximabおよびfludarabineによる細胞性免疫の低下がその発症に関与したと考えられた。
  • 高橋 健, 原 武志, 吉川 武志, 下村 順子, 鶴見 寿, 山田 鉄也, 冨田 栄一, 森脇 久隆
    2005 年 46 巻 9 号 p. 1055-1059
    発行日: 2005年
    公開日: 2009/07/28
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    症例は51歳男性。平成12年8月両側頚部リンパ節腫大を主訴に受診。右頚部リンパ節生検にてt(14;18)(q32;q21)を有する濾胞性リンパ腫(Grade 2)(臨床病期IIIA)と診断された。当初無治療にて経過観察されていたが,6カ月後,骨盤内リンパ節腫脹に伴う水腎症を合併したため当科入院となった。CHOP療法4コースに加え,40Gyの放射線療法を施行し部分寛解を得た。治療開始後4カ月にてnumb chin syndromeを呈し,骨髄穿刺にてt(14;18)に加えてt(8;22)(q24;q11)を含む複雑核型を有するBurkitt型形質転換が確認された。急性リンパ性白血病に準じて救援療法を施行するも早期に再燃し,平成13年9月7日死亡した。濾胞性リンパ腫からの早期のBurkitt型形質転換は稀と考えられた。
  • 横手 耐治, 秋岡 寿一, 中山 聖子, 岡 智子, 原 聡志, 山野 剛, 辻 求, 花房 俊昭
    2005 年 46 巻 9 号 p. 1060-1064
    発行日: 2005年
    公開日: 2009/07/28
    ジャーナル 認証あり
    症例は35歳女性。慢性骨髄性白血病(慢性期)と診断し,imatininb投与にて外来通院していた。病状が移行期に進展したため,imatinibを増量したところ,下腹部痛,口内炎,全身衰弱が著明となり,入院となった。Interferon αと少量のAra-C療法に変更となったが,急性転化をきたしたため,imatinib mesylateを増量し再投与した。芽球は著明に減少したが,口内炎の再増悪,大量下血を認めた。下部消化管内視鏡,出血シンチグラフィー施行したところ,大腸,小腸からの出血が示唆された。Imatinib投与後に口内炎などの粘膜障害を来した際には,消化管出血を念頭におく必要があると思われた。
  • 宮崎 香奈, 桝屋 正浩, 山口 素子, 井坂 利史, 中瀬 一則, 小林 透, 中村 栄男, 珠玖 洋
    2005 年 46 巻 9 号 p. 1065-1070
    発行日: 2005年
    公開日: 2009/07/28
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    症例は62歳,女性。1998年5月,follicular lymphoma (FL), grade 3a (CS III A, IPI high-intermediate risk)と診断。CHOP療法8コースにて完全寛解後,同年11月再発。MINE療法2コースで再度寛解となり,VP-16での前処置後末梢血幹細胞採取を行なった。1999年5月,自家末梢血幹細胞移植(autologous peripheral blood stem cell transplantation; auto PBSCT)施行。同年9月,有痛性両側頚部リンパ節腫大が出現し,同部生検にてangioimmunoblastic T-cell lymphoma (AILT)と診断した。CVP変法にて移植後5年以上無病生存中である。本例はFL・AILT合併例でなく,FLに対するauto PBSCT後に移植後リンパ増殖性疾患としてのAILTを発症したと考えられた。
短報
  • 上野川 久美, 八田 善弘, 大城 周, 萩倉 一博, 高橋 典明, 蔵 良政, 山崎 哲男, 赤柴 恒人, 澤田 海彦, 堀江 孝至
    2005 年 46 巻 9 号 p. 1071-1073
    発行日: 2005年
    公開日: 2009/07/28
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    Bronchoesophageal fistulae associated with lymphomas are generally associated with chemo-radiotherapy. We report here an unusual case of lymphoma with a therapy-unrelated bronchoesophageal fistula. Previously, only 10 similar cases have been reported. A 70-year-old male was diagnosed as having gastric diffuse large B-cell lymphoma in May 1998. In January 1999, he noted a cough after eating and drinking. Because of the presence of a febrile temperature, productive cough and dyspnea, he was referred to our hospotal and diagnosed as having aspiration pneumonia. Antibiotics did not improve his symptoms. When tracheal intubation was performed with bronchoscopy, a bronchoesophageal fistula was revealed. Malignant lymphoma cells were found around the fistula in the biopsy specimen. The patient died of pneumonia after treatment with airway stenting and chemotherapy. Induction of necrosis by chemotherapy or low blood flow with stenting and dopamine probably caused enlargement of the fistula.
  • 正木 康史, 澤木 俊興, 下山 久美子, 唐澤 博美, 河南 崇典, 福島 俊洋, 川端 浩, 小川 法良, 和野 雅治, 菅井 進, 廣 ...
    2005 年 46 巻 9 号 p. 1074-1077
    発行日: 2005年
    公開日: 2009/07/28
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    A 46-year-old man with relapsed and refractory diffuse large B-cell lymphoma after salvage therapy (EPOCH and ESHAP regimens) was treated with continuous low-dose CPT-11 (irinotecan hydrochloride) at 30 mg/day (20 mg/m2/day) for three consecutive days every week. The patient's general condition and both LDH and CRP, tumor related markers, improved dramatically. Complete remission was achieved after a 10-week cycle of therapy without severe adverse effects. Unfortunately, the lymphoma relapsed after allogeneic hematopoietic stem cell transplantation, low-dose CPT-11 therapy was used again to palliate tumor symptoms for 12 months. This therapy may be a useful salvage and palliative chemotherapy for relapsed and refractory lymphoma.
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