アジア変異型血管内大細胞型B細胞リンパ腫 (AIVL) は多彩な臨床症状と血球貪食症候群を呈し, 血管内で増殖する予後不良なリンパ腫である。症例は73歳男性。2002年7月にAIVLと診断され, CHOP療法を6コース施行後CRuとなった。半年後に再発を疑われ当院血液内科に紹介された。痴呆症状, 発熱と盗汗に加え肝脾腫を認めたが, リンパ節腫脹と皮膚症状はなかった。骨髄検査では血球貪食像が目立ち, 免疫染色でCD20, CD5陽性の大型異型Bリンパ球の血管内増生をみとめ, その他の所見も合致する事からAIVLの再発と診断した。Cladribine, mitoxantrone, dexamethasoneにrituximabを併用したCND-R療法を開始したところ, 速やかな解熱とともに痴呆症状および肝脾腫の改善が得られた。治療関連毒性はgrade4の好中球減少を認め, G-CSF併用下に同療法を4週ごとに継続した。重篤な非血液毒性は認めなかった。5コース後最低値44000/mm
3と血小板低下が目立つようになった。治療効果判定の骨髄検査ではCRが得られ, 治療終了後15ヶ月におよぶ寛解を維持している。低悪性度リンパ腫に対し有効性が示されているCND-R療法は, AIVLにおいても救援療法の候補の一つとして検討する価値があると考えられる。
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