臨床血液
Online ISSN : 1882-0824
Print ISSN : 0485-1439
ISSN-L : 0485-1439
47 巻, 10 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
Picture in Clinical Hematology
第46回日本臨床血液学会総会
学会奨励賞
総説
臨床研究
  • 金 林花, 加藤 淳, 田部 陽子
    2006 年 47 巻 10 号 p. 1364-1371
    発行日: 2006/01/30
    公開日: 2008/03/14
    ジャーナル 認証あり
    慢性骨髄性白血病 (CML) 細胞に対するPI3K阻害剤, MEK阻害剤の単独およびSTI571併用による抗腫瘍効果をCML細胞株KBM-5およびSTI耐性誘導株KBM-5/STIとヒト骨髄間質細胞 (marrow stromal cell; MSC) との共培養システムを用いて検討した。CML細胞内のAKT, ERKリン酸化はMSCとの共培養によって亢進し, PI3K阻害剤およびMEK阻害剤はKBM-5/STI細胞に対して単独で良好なアポトーシス誘導効果を発揮した。KBM-5細胞では, PI3K阻害剤とSTI571の併用が有効性を発揮した。STI571, PI3K阻害剤およびMEK阻害剤のCML増殖抑制作用には, アポトーシス誘導とともに細胞周期の抑制が関与していた。これらの結果は, CML細胞の骨髄微小環境への定着と微小残存病変に対して複数の分子を標的とするmulti-molecular target therapyを模索する上でAKT, ERKリン酸化阻害の重要性を示すものである。
症例報告
  • 高嶋 秀一郎, 沼田 晃彦, 宮本 敏浩, 白川 剛, 木下 梨恵子, 加藤 光次, 竹中 克斗, 原田 直樹, 長藤 宏司, 谷口 修一, ...
    2006 年 47 巻 10 号 p. 1372-1376
    発行日: 2006/01/30
    公開日: 2008/03/14
    ジャーナル 認証あり
    症例は42歳, 女性。1998年にフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病に対して, 化学療法不応性の状態で, 非血縁者間同種骨髄移植を施行し, 完全寛解を維持していた。2005年に再発, imatinib併用化学療法後, 分子生物学的寛解状態で, 前回とは異なる非血縁ドナーから同種骨髄移植を施行, GVHD予防はtacrolimus (TAC) と短期methotrexateを併用した。Day21に右下肢に激烈な電激痛が出現, TACが誘因となったcalcineurin-inhibitor induced pain syndrome (CIPS) と診断した。免疫抑制剤をTACからcyclosporineに変更し, 各種鎮痛剤を用いて疼痛のコントロールを行い, 疼痛は徐々に自制内までに軽快した。造血幹細胞移植後に発症したCIPSの報告は少なく, 不明な点が多い。造血幹細胞移植医は, calcineurin-inhibitorの重篤な副作用として本疾患の存在に留意する必要がある。
  • 小池 道明, 押味 和夫, 上松 一永, 二谷 武
    2006 年 47 巻 10 号 p. 1377-1380
    発行日: 2006/01/30
    公開日: 2008/03/14
    ジャーナル 認証あり
    28歳時に高IgM症候群と診断された男性を報告する。幼少時より, 気道感染, 中耳炎を繰り返し, IgGの低値とIgMの高値がみられた。CD40リガンド遺伝子解析を行ったところ, 475-480において6塩基欠失と481においてT塩基からA塩基への変異が見られた。これらの所見より, 遺伝子X連鎖型1型高IgM症候群 (HIGM1) と診断した。HIGM1の25年生存率は20%と言われている。今回, 28才時に初めてHIGM1と診断された稀な症例を経験したので報告する。
  • 神保 絢子, 佐藤 一也, 生田 克哉, 稲村 純季, 細木 卓明, 進藤 基博, 大西 浩平, 三代川 斉之, 鳥本 悦宏, 高後 裕
    2006 年 47 巻 10 号 p. 1381-1386
    発行日: 2006/01/30
    公開日: 2008/03/14
    ジャーナル 認証あり
    53歳女性。左側胸部痛の精査のため入院。胸部CT検査で内部均一な左胸壁腫瘤像と左胸水を認めた。血液検査にて貧血, 血清IgGおよびカルシウム (Ca) の高値を認め, 血清免疫電気泳動ではIgG-λ型M蛋白を検出した。また血清neuron specific enolase (NSE) の高値を認めた。腫瘤生検および骨髄穿刺にて細胞質CD38およびIgG-λ陽性の異常形質細胞の増殖を認め, 胸壁の形質細胞腫を伴うIgG-λ型多発性骨髄腫と診断した。形質細胞腫および骨髄クロットのNSE免疫染色にて腫瘍細胞の細胞質がび漫性に染色され, NSE産生多発性骨髄腫と考えた。化学・放射線療法により胸壁腫瘤の消失と骨髄形質細胞数, 血清NSEの正常化を認め, その後自家末梢血幹細胞移植を施行し再燃を認めていない。NSE産生多発性骨髄腫は本例が2例目の報告であるが, 胸壁形質細胞腫・胸水・高Ca血症等の共通点を認め興味深い1例と考えられた。
  • 辻村 朱音, 宮村 耕一, 鍬塚 八千代, 稲本 賢弘, 徳永 正浩, 大庭 拓, 寺倉 精太郎, 鈴木 律朗, 伊藤 雅文, 村瀬 卓平, ...
    2006 年 47 巻 10 号 p. 1387-1392
    発行日: 2006/01/30
    公開日: 2008/03/14
    ジャーナル 認証あり
    アジア変異型血管内大細胞型B細胞リンパ腫 (AIVL) は多彩な臨床症状と血球貪食症候群を呈し, 血管内で増殖する予後不良なリンパ腫である。症例は73歳男性。2002年7月にAIVLと診断され, CHOP療法を6コース施行後CRuとなった。半年後に再発を疑われ当院血液内科に紹介された。痴呆症状, 発熱と盗汗に加え肝脾腫を認めたが, リンパ節腫脹と皮膚症状はなかった。骨髄検査では血球貪食像が目立ち, 免疫染色でCD20, CD5陽性の大型異型Bリンパ球の血管内増生をみとめ, その他の所見も合致する事からAIVLの再発と診断した。Cladribine, mitoxantrone, dexamethasoneにrituximabを併用したCND-R療法を開始したところ, 速やかな解熱とともに痴呆症状および肝脾腫の改善が得られた。治療関連毒性はgrade4の好中球減少を認め, G-CSF併用下に同療法を4週ごとに継続した。重篤な非血液毒性は認めなかった。5コース後最低値44000/mm3と血小板低下が目立つようになった。治療効果判定の骨髄検査ではCRが得られ, 治療終了後15ヶ月におよぶ寛解を維持している。低悪性度リンパ腫に対し有効性が示されているCND-R療法は, AIVLにおいても救援療法の候補の一つとして検討する価値があると考えられる。
短報
  • 宮崎 拓也, 田口 淳, 尾鼻 孝滋, 山路 聡, 小原澤 英之, 藤巻 克通, 金森 平和, 石ヶ坪 良明
    2006 年 47 巻 10 号 p. 1393-1395
    発行日: 2006/01/30
    公開日: 2008/03/14
    ジャーナル 認証あり
    We report on a 70-year-old male who developed cavernous sinus syndrome as the initial symptom of multiple myeloma. He was admitted with diplopia and ptosis in October 2004. The diagnosis of multiple myeloma and cavernous sinus syndrome due to a gross mass at the sinus base were made. Cerebral computed tomography revealed that the lesion occupied the sphenoid sinus and involved the oculomoter nerve. He underwent local irradiation of the mass followed by systemic chemotherapy. The symptoms caused by the mass disappeared after the treatment. Clinicians need to be aware of the rare manifestation of multiple myeloma.
feedback
Top