臨床血液
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48 巻, 4 号
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第68回日本血液学会・第48回日本臨床血液学会合同総会
合同シンポジウム1
合同シンポジウム2
症例報告
  • 宮崎 浩二, 昆 伸也, 渡辺 卓郎, 栂野 富輝, 大坂 学, 鈴木 裕子, 檀原 幹生, 堀江 良一, 神田 善伸, 丸田 壱郎, 東原 ...
    2007 年 48 巻 4 号 p. 297-304
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/09/01
    ジャーナル 認証あり
    慢性骨髄性白血病の慢性期初期治療としてimatinibを開始し有効性が認められながらも1年以内に急性転化した興味深い稀少な2症例を報告する。症例1は血液学的完全寛解後,早期から付加的染色体異常を有する耐性クローンが出現し急性転化した。症例2は細胞遺伝学的寛解を得ながらも約8ヵ月で突然急性転化した極めてまれな症例である。このように早期に細胞遺伝学的寛解となった予後良好群においても突然急性転化をきたす症例が,極めて稀ではあるが存在するので,定量的PCR法などによる残存病変の注意深いモニタリングを継続することが不可欠であると思われる。
  • 三原 愛, 陳 建綱, 横山 健次, 上田 智基, 塚田 唯子, 淡谷 典弘, 森 毅彦, 池田 康夫, 岡本 真一郎
    2007 年 48 巻 4 号 p. 305-309
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/09/01
    ジャーナル 認証あり
    症例は31歳,男性。1996年に生体腎移植を受け,免疫抑制剤を内服中であった。2005年に嚥下時の違和感を自覚するようになり,精査にて左口蓋扁桃腫大と縦隔腫瘤を指摘された。左口蓋扁桃の生検では異型リンパ球のmonotonousな増殖を認め,post-transplant lymphoproliferative disorders (PTLD)が疑われた。免疫抑制剤の減量を行った効果はみられず,両側頚部リンパ節腫脹も出現した。再度施行した頚部リンパ節生検では,TdT, CD3, CD5, CD7, CD10, CD34陽性の未熟な異型細胞のびまん性の増殖を認め,T細胞受容体再構成を認めた。EBERは陰性であった。これらの結果からmonomorphic T細胞性PTLDと診断した。その後,各種の化学療法を行ったが効果はみられず,PTLDは白血化した。L-asparaginase, vincristine, dexamethasoneからなる化学療法(LVD 療法)を開始したところ,腫瘍融解症候群を伴い2コース後には完全寛解となった。T細胞性PTLDはB細胞性PTLDと比べて発症頻度は低いが,化学療法に抵抗性と報告されている。本症例の経過からL-asparaginaseを含む化学療法がT細胞性PTLDの予後を改善する可能性を示唆していると考えられた。
  • 仁多 美奈子, 新井 文子, 山本 晃, 坂下 千瑞子, 福田 哲也, 三木 徹, 小山 高敏, 村上 直己, 三浦 修
    2007 年 48 巻 4 号 p. 310-314
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/09/01
    ジャーナル 認証あり
    症例は19歳男性。汎血球減少症と播種性血管内凝固症候群(DIC)に加え,骨髄穿刺所見で93.6%の異型前骨髄球の浸潤と著明な血球貪食像を認め,血球貪食症候群(HPS)を伴う急性前骨髄球性白血病(APL)と診断した。感染症,膠原病の合併,薬剤内服歴は無くAPLによるmalignancy-associated HPS (MAHS)と考えた。All-trans-retinoic acid (ATRA)とidarubicinによる治療開始後DICは一旦改善したが,第11病日より肝脾腫とLDH上昇を伴い増悪した。骨髄ではAPL細胞は減少していたが,血球貪食像は残存していた。ATRA中止に加えdexamethasoneとetoposideの投与によりHPSは改善し,ATRA再開後も増悪せずAPLも完全寛解を得た。本例はAPLによるMAHSがATRA投与により増悪したと考えられた。
  • 山口 敢, 古賀 友紀, 住江 愛子, 齋藤 祐介, 松崎 彰信, 神野 俊介, 瀧本 智仁, 須田 正洋, 小田 義直, 武藤 敏孝, 高 ...
    2007 年 48 巻 4 号 p. 315-320
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/09/01
    ジャーナル 認証あり
    症例は14歳男児。倦怠感を主訴に前医を受診。軽度の貧血,血小板減少および凝固異常を認めた。骨髄検査にてMPO陰性の異型細胞を89.6%認め,CD56のみ陽性であった。急性白血病の診断にて化学療法を開始したが,DICが急速に進行し当科に転院。造血能回復後の骨髄検査では異型細胞が56.0%を占め,表面マーカー検索ではCD56陽性,他の血球系マーカーは陰性であった。特殊染色ではMPO陰性,PAS, HHF35, desmin, MIC-2が陽性であった。RT-PCR法によりキメラ遺伝子PAX3/FKHRが検出され,胞巣型横紋筋肉腫と診断した。画像検査では傍腹部大動脈リンパ節の軽度腫大の他に原発と思われる腫瘤を認めなかった。横紋筋肉腫の骨髄浸潤は稀ではなく,CD56陽性,白血球抗原陰性の小円形異型細胞が骨髄に浸潤している症例では,本症の鑑別のため特殊免疫染色およびキメラ遺伝子検索などを施行する必要がある。
  • 藤井 輝久, 高田 昇, 木村 昭郎
    2007 年 48 巻 4 号 p. 321-325
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/09/01
    ジャーナル 認証あり
    低力価インヒビター保有血友病患者の止血には,凝固因子大量投与によってインヒビターを中和させる“中和療法”が選択されるが,その後引き続き持続輸注療法を行う場合,その量について苦慮する場合が多い。この度我々は,低力価インヒビター保有患者2例について凝固因子持続輸注療法を施行し,凝固因子製剤の薬物動態を考察した。両症例とも中和療法及び持続輸注療法により良好な止血が得られた。薬剤分布容積は症例2でインヒビター非保有患者に比べ3.7倍高値となり,クリアランスは2症例ともインヒビター非保有患者に比べ2∼3倍高値となった。インヒビター保有患者は非保有患者に比べ凝固因子クリアランスは高かったが,これは網内系臓器など血管外・間質に存在するインヒビターが関与していると考えられた。今後インヒビター保有患者の持続輸注例が増え採血ポイントを増やして検討をすれば,インヒビター保有患者の持続輸注量が分かるかも知れない。
  • 藤島 直仁, 藤島 眞澄, 猪又 美佳, 山中 康生, 斉藤 邦江, 亀岡 吉弘, 吉岡 智子, 斉藤 宏文, 高橋 直人, 廣川 誠, 澤 ...
    2007 年 48 巻 4 号 p. 326-331
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/09/01
    ジャーナル 認証あり
    症例は43歳女性。治療抵抗性膵炎および膵頭部腫瘤にて発症。末梢血の白血球数18200/μl,異型細胞25%, LDH 13410 IU/l,骨髄に空胞を伴うCD10, CD19, CD20陽性リンパ芽球様細胞を78.4%認め,t(8;14)(q24;q32)とt(14;18)(q32;q21)の染色体異常を同一クローンに認めた。以上よりt(8;14)とt(14;18)の染色体異常を伴うバーキットリンパ腫(BL)と診断した。Rituximabを併用したCODOX-M/IVAC療法により完全寛解が得られたが,自家末梢血幹細胞移植を控えた全脳照射中に早期再発し永眠された。t(8;14)とt(14;18)を有するBLでは,rituximabを併用した強力化学療法でも長期寛解は得られない可能性が高い。今後,症例の蓄積と有効な治療法の確立が必要である。
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