症例は55歳女性。左上腹部痛が出現し,当院消化器科を受診した。胃内視鏡で胃体中部に潰瘍を伴うBorrmann III型腫瘍を認め,生検の結果,CD30(+), CD4(+), CD20(-), ALK(-)を示すanaplastic large cell lymphoma (ALCL, ALK negative)と診断した。全身CTでは大動脈周囲リンパ節および左鎖骨上リンパ節腫大を認めた。化学療法としてCHOP療法を開始したが,治療抵抗性であり,また一般にALK陰性ALCLは予後不良であるため,自家末梢血幹細胞移植(auto-PBSCT)を併用した大量化学療法を行った。移植後完全寛解(CR)となり,現在無治療経過観察している。節外リンパ腫の病変として,胃悪性リンパ腫の多くはB細胞性リンパ腫であり,ALCLの報告は稀である。またALK陰性ALCLは予後不良であり,本症例のようなauto-PBSCT等の大量化学療法を含めた治療方法が必要と考えられ,文献的考察を加えて報告する。
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