臨床血液
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48 巻, 5 号
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Picture in Clinical Hematology No.17
Picture in Clinical Hematology No.16 [訂正版]
第68回日本血液学会・第48回日本臨床血液学会合同総会
合同シンポジウム3
臨床研究
  • 藤巻 克通, 中世古 知昭, 大島 久美, 酒井 美和, 趙 龍桓, 神田 善伸, 西村 美樹, 金森 平和, 坂巻 壽
    2007 年 48 巻 5 号 p. 386-390
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/09/01
    ジャーナル 認証あり
    1994年1月から2004年12月までに関東造血幹細胞移植共同研究グループに所属する施設で同種造血幹細胞移植を施行した2002症例のうち移植前HBs抗原陰性・HBs抗体陽性で移植後B型肝炎を発症した7例について臨床的検討を行った。年齢中央値49歳で,男性5例,女性2例。ドナーはHLA一致同胞末梢血幹細胞が6例,HLA不一致非血縁骨髄が1例で,HBs抗原は全例陰性,HBs抗体は6例で陰性,1例で未検査であった。移植後5∼29ヶ月(中央値15ヶ月)でB型肝炎のreactivationをきたし,5例で慢性GVHDを合併していた。発症時のGPTは83∼1930(中央値318)。治療はlamivudine 5例,肝庇護剤1例,無治療1例。4例は肝機能も改善し生存中だが,肝不全で2例,原疾患増悪で1例が死亡した。移植前HBs抗原陰性・HBs抗体陽性でも移植後B型肝炎を発症することがあり,予防方法の確立が望まれる。
  • 宮崎 拓也, 尾鼻 孝滋, 高崎 啓孝, 田中 正嗣, 山路 聡, 藤巻 克通, 藤田 浩之, 金森 平和, 石ヶ坪 良明
    2007 年 48 巻 5 号 p. 391-396
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/09/01
    ジャーナル 認証あり
    欧米では腎性貧血患者において抗エリスロポエチン(EPO)抗体が関連した赤芽球癆(PRCA)が報告されている。本邦でのEPO関連PRCAの実態を明らかにするために,論文・学会報告を検索してアンケート調査を行った。17例の報告例のうち13例が解析可能であった。EPO製剤の投与方法は静脈投与9例,皮下投与2例,静脈及び皮下投与が2例であった。抗EPO抗体は皮下投与を受けた4例中3例で陽性であったが,静脈投与例では全例陰性であった。抗EPO抗体陽性3例のうち中和活性は2例で確認された。PRCA発症後に8例でEPO製剤が中止され,12例で免疫抑制療法が行われた。PRCAの改善は12例でみられた。本集計の結果から,EPO投与中に合併したPRCAには抗EPO抗体が関与する場合と偶発的合併症が混在していると考えられた。また,抗EPO抗体産生にはEPO製剤の皮下投与が関与していることが推測された。
症例報告
  • 小泉 和輝, 皆内 康一郎, 小谷 俊雄, 近藤 真, 高田 明生, 向井 正也
    2007 年 48 巻 5 号 p. 397-401
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/09/01
    ジャーナル 認証あり
    症例は55歳女性。左上腹部痛が出現し,当院消化器科を受診した。胃内視鏡で胃体中部に潰瘍を伴うBorrmann III型腫瘍を認め,生検の結果,CD30(+), CD4(+), CD20(-), ALK(-)を示すanaplastic large cell lymphoma (ALCL, ALK negative)と診断した。全身CTでは大動脈周囲リンパ節および左鎖骨上リンパ節腫大を認めた。化学療法としてCHOP療法を開始したが,治療抵抗性であり,また一般にALK陰性ALCLは予後不良であるため,自家末梢血幹細胞移植(auto-PBSCT)を併用した大量化学療法を行った。移植後完全寛解(CR)となり,現在無治療経過観察している。節外リンパ腫の病変として,胃悪性リンパ腫の多くはB細胞性リンパ腫であり,ALCLの報告は稀である。またALK陰性ALCLは予後不良であり,本症例のようなauto-PBSCT等の大量化学療法を含めた治療方法が必要と考えられ,文献的考察を加えて報告する。
  • 福島 啓太郎, 藤澤 正英, 仲島 大輔, 松永 貴之, 萩澤 進, 黒澤 秀光, 杉田 憲一, 有阪 治
    2007 年 48 巻 5 号 p. 402-406
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/09/01
    ジャーナル 認証あり
    Voriconazole (VRCZ)が奏効した深在性真菌症の小児白血病4例を経験した。1歳から6歳の3例はVRCZ 4 mg/kg/回の投与では血中濃度が低く,臨床的にも有効ではなかった。5.3∼12 mg/kg/回に増量することで良好な血中濃度が得られ,臨床的にも効果が得られた。一方,13歳男児例では,4 mg/kg/回の投与で十分な血中濃度が得られた。副作用として,1例で一過性の視覚異常がみられたのみであった。白血病化学療法時の深在性真菌症で,VRCZは小児患者においても有効でかつ安全な治療手段と思われた。ただし,成人での用量は3∼4 mg/kg/回であるが,小児ではクリアランスが大きいため,体重あたりの投与量は成人に比して高用量に設定する必要があると考えられた。また,薬物代謝の個人差もあり,小児では血中濃度を測定しながら投与量を調整していく必要があると思われた。
  • 黒田 裕行, 松永 卓也, 坂牧 純夫, 小池 和彦, 照井 健, 根田 寛, 石谷 邦彦, 信岡 純, 木田 雅也, 渡辺 秀樹, 新津 ...
    2007 年 48 巻 5 号 p. 407-411
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/09/01
    ジャーナル 認証あり
    症例は75歳,男性。汎血球減少の精査の目的で2005年10月30日に入院となった。骨髄では芽球が30.4%存在し,血球異形成も認めたため,WHO分類でのacute myelogenous leukemia with multilineage dysplasia (AML with MLD)と診断した。また直接クームステストが陽性であり,PAIgG値の上昇を認めた。本症例に対してprednisoloneを併用したCAG療法を施行したところ,完全寛解となり,同時に直接クームステストの陰性化とPAIgG値の正常化とともに貧血と血小板減少の改善を認めた。しかし,AMLの再発時に直接クームステストが再び陽性となり,PAIgG値も再上昇した。直接クームスおよびPAIgGが陽性であったAML with MLDはこれまで報告がなく,本症例ではAML with MLDが血球減少の原因である可能性が示唆された。
  • 進藤 基博, 佐藤 一也, 神保 絢子, 細木 卓明, 生田 克哉, 佐野 文子, 西村 和子, 鳥本 悦宏, 高後 裕
    2007 年 48 巻 5 号 p. 412-417
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/09/01
    ジャーナル 認証あり
    59歳男性。2004年9月急性骨髄性白血病と診断。侵襲性肺アスペルギルス症(IPA)及びカンジダ血症を併発しmicafungin,amphotericin B (AMPH-B)の投与にて改善した。寛解導入療法を施行せず,骨髄非破壊的前処置による臍帯血移植を施行。IV度の急性移植片対宿主病を発症しステロイド投与が長期化した。この間IPAの再燃を懸念しvoriconazole (VRCZ)を使用していたが,胸部CT上両肺野に浸潤影が出現,喀痰からムコールが検出され肺ムコール症と診断した。AMPH-Bを投与するも喀血し死亡した。ムコール症は白血病などの易感染者に発症し,急激な経過をたどる予後不良の真菌感染症である。近年,造血幹細胞移植(SCT)時の真菌感染予防薬としてVRCZを投与後のムコール症の発症が海外から報告されており,本邦においてもSCTを施行時には十分注意すべき真菌感染症と考えられた。
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