患者は48歳女性。発熱及び全身倦怠感にて来院。白血球数1,950/μl, Hb 8.2 g/dl, 血小板数8.0×10
4/μlと汎血球減少を認め,末梢血でCD5陽性Bリンパ球を9%, 骨髄ではCD10陽性Bリンパ球を35%認めた。血清可溶性IL-2受容体値は5,185 U/mlと高値であり,脾腫も認めたため,リンパ増殖性疾患が疑われたが,免疫グロブリン重鎖遺伝子はモノクローナルな再構成を認めなかった。甲状腺機能亢進症を認めていたため,チアマゾールにて治療開始するも,無顆粒球症となったため,甲状腺亜全摘術を施行した。以後,汎血球減少は回復し,血清可溶性IL-2受容体値も504 U/mlまで減少した。甲状腺摘出後15ヶ月後の骨髄ではCD10陽性B細胞は8%まで減少し,末梢血の解析では,CD5陽性B細胞は2%に減少した。以上の所見より甲状腺機能亢進症を背景にした多クローン性B細胞増多症と考えられた。
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