臨床血液
Online ISSN : 1882-0824
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49 巻, 2 号
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Picture in Clinical Hematology No.24
総説
臨床研究
  • 斉藤 明生, 宮澤 悠里, 磯田 淳, 初見 菜穂子, 松本 守生, 小島 勝, 澤村 守夫
    2008 年 49 巻 2 号 p. 82-88
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/09/05
    ジャーナル 認証あり
    血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AILT) 11例の臨床像と予後を検討した。年齢39歳∼85歳(中央値62歳)。全例病期III期以上で,B症状,肝脾腫,皮疹,胸腹水,多クローン性高ガンマグロブリン血症などが認められた。病理所見ではAILT with hyperplastic germinal centers 3例,typical AILT 4例,AILT with numerous clear cells 4例の3型に分類された。多剤併用化学療法が10例,自家末梢血幹細胞移植が1例に行われ,CR7例,PD4例で奏効率は63%, 生存期間中央値は20ヶ月であった。生存期間が122ヶ月に至る例も認められ,AILT with hyperplastic germinal centers症例や骨髄浸潤陰性例で長期生存が認められた。AILT症例は生存期間に幅があり,今後さらに症例を蓄積し,予後因子の解析,層別化が必要と思われた。
症例報告
  • 守田 玲菜, 橋野 聡, 高橋 正二郎, 金森 弘恵, 小野澤 真弘, 加畑 馨, 近藤 健, 今村 雅寛, 浅香 正博
    2008 年 49 巻 2 号 p. 89-93
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/09/05
    ジャーナル 認証あり
    顆粒球輸血(GTX)の併用により肺炎の増悪なく同種造血幹細胞移植を施行できた骨髄異形成症候群(MDS)の一例につき報告する。
    MDS-RAEB-2にて非血縁者間同種骨髄移植目的に当科入院したが,G-CSFや各種抗生剤にても改善しない肺炎を合併しており,GTXを施行しながら同種骨髄移植を施行した。ドナー,患者ともにGTXによる副作用は見られず,肺炎の増悪なく同種骨髄移植を施行できた。GTXの造血幹細胞移植症例での併用は成績の向上のみならず移植適応拡大の可能性も期待される。しかし,造血幹細胞移植時のGTXの影響について十分な検討がなされているとは言えず,今後さらなる症例の集積が必要と思われる。
  • 斉藤 貴之, 松島 孝文, 清水 啓之, 大崎 洋平, 山根 有人, 入澤 寛之, 横濱 章彦, 内海 英貴, 半田 寛, 塚本 憲史, 唐 ...
    2008 年 49 巻 2 号 p. 94-98
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/09/05
    ジャーナル 認証あり
    Candida guilliermondiiは,カンジダ属の約1%と稀であるが,近年抗真菌剤不応例が報告されている。症例は,マントル細胞リンパ腫の58歳男性。Fluconazole (FLCZ)の予防投与を行なっていたが,R-HyperCVAD療法開始41日目にC. guilliermondiiによるカンジダ血症を発症した。VRCZに変更後も,39°Cの発熱が持続し,血液培養で30日間陽性で(1→3)-β-D-glucanも>500 pg/mlと上昇したため,liposomal amphotericin B (L-AmB)とmicafungin (MCFG)の併用療法とした。変更6週後,真菌血症が消失を認め,VRCZ不応性のカンジダ血症に対し,MCFGとL-AmBとの併用で効果が認められた。R-HyperCVADなどの強力化学療法は,通常化学療法に較べて,真菌感染のリスクを高める可能性があると考えられた。
  • 柳町 昌克, 後藤 裕明, 横須賀 とも子, 梶原 良介, 藤井 久紀, 黒木 文子, 伊藤 秀一, 横田 俊平, 谷口 藍子, 繁平 有希 ...
    2008 年 49 巻 2 号 p. 99-103
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/09/05
    ジャーナル 認証あり
    非血縁臍帯血移植後に皮膚非結核性抗酸菌症を発症した家族性血球貪食症候群の症例を経験した。原病に対し4歳時に臍帯血移植を施行し,その後急性GVHDに対しmethylprednisolone, cyclosporin, mycophenolate mofetilを使用していた。移植6ヶ月後に下肢に虫刺様の皮疹を認め,皮疹が悪化したため移植7ヶ月後に皮膚生検を行い,非結核性抗酸菌症と診断した。当初は菌種の同定ができず,minocyclineとST合剤で治療を開始したが改善と悪化を繰り返していた。再度の培養検査でMycobacterium Chelonae感染症と確定診断した。皮疹や皮下結節が増悪し,鼠径リンパ節の有痛性腫大を認め,移植10ヶ月後から抗菌薬をamikacinとclarithromycinに変更したところ徐々に皮膚感染症は改善した。皮膚非結核性抗酸菌感染症はまれな感染症だが,造血幹細胞移植後などの免疫抑制状態では鑑別すべき疾患である。
  • 大塚 理恵, 安部 康信, 白土 基明, 末廣 陽子, 加留部 謙之介, 牟田 耕一郎, 西村 純二, 高〓 涼一
    2008 年 49 巻 2 号 p. 104-108
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/09/05
    ジャーナル 認証あり
    患者は48歳女性。発熱及び全身倦怠感にて来院。白血球数1,950/μl, Hb 8.2 g/dl, 血小板数8.0×104/μlと汎血球減少を認め,末梢血でCD5陽性Bリンパ球を9%, 骨髄ではCD10陽性Bリンパ球を35%認めた。血清可溶性IL-2受容体値は5,185 U/mlと高値であり,脾腫も認めたため,リンパ増殖性疾患が疑われたが,免疫グロブリン重鎖遺伝子はモノクローナルな再構成を認めなかった。甲状腺機能亢進症を認めていたため,チアマゾールにて治療開始するも,無顆粒球症となったため,甲状腺亜全摘術を施行した。以後,汎血球減少は回復し,血清可溶性IL-2受容体値も504 U/mlまで減少した。甲状腺摘出後15ヶ月後の骨髄ではCD10陽性B細胞は8%まで減少し,末梢血の解析では,CD5陽性B細胞は2%に減少した。以上の所見より甲状腺機能亢進症を背景にした多クローン性B細胞増多症と考えられた。
  • 樋口 由美子, 伊藤 俊朗, 松田 和之, 樋口 司, 日高 惠以子, 今川 英里, 宇原 美帆, 中澤 英之, 石田 文宏, 山内 一由, ...
    2008 年 49 巻 2 号 p. 109-114
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/09/05
    ジャーナル 認証あり
    61歳男性。trisomy 8を伴う白血病(M6)に対し,異性間同種末梢血幹細胞移植を施行した。11番染色体短腕上のマイクロサテライト領域を用いたキメリズム解析(PCR-STR)及び,8番染色体FISH法解析にて経過を観察した。移植10か月後に芽球の増加と,FISH法解析でtrisomy 8を示す細胞の増加を認め再発と考えられたが,PCR-STR法では100%ドナータイプであり,再発所見を示さなかった。そこで骨髄標本を用いたXY FISH法解析を行ったところ,芽球はレシピエント由来であることが確認された。この直後の染色体分析において,初発時の異常核型に加えてPCR-STR法で用いたマイクロサテライト領域を含む染色体の部分欠失del (11)(p10)という新たな付加異常が,解析した異常細胞全てに認められ,このことがPCR-STR法で再発を検出できなかった原因であった。
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