臨床血液
Online ISSN : 1882-0824
Print ISSN : 0485-1439
ISSN-L : 0485-1439
49 巻, 5 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
Picture in Clinical Hematology No.27
第69回日本血液学会・第49回日本臨床血液学会合同総会
合同シンポジウム2
総説
症例報告
  • —症例報告と文献的検討—
    松原 康策, 田中 孝之, 滝 智彦, 中川 温子, 仁紙 宏之, 田村 彰広, 深谷 隆
    2008 年 49 巻 5 号 p. 325-330
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/09/05
    ジャーナル 認証あり
    症例は3ヶ月間に鼠径,腋窩,傍大動脈リンパ節の有痛性腫脹を認めたが,いずれも一旦自然退縮し,8ヶ月の間隔を経て再燃発症した未分化大細胞型リンパ腫(ALCL)の10歳女児である。病期はAnn Arbor分類でIIIAであった。病理所見でanaplastic lymphoma kinase (ALK)は細胞質に限局して発現していた。ALCL-99標準危険群に登録した。治療反応は良好で治療開始後26ヶ月の現在も寛解を維持している。逆転写ポリメラーゼ連鎖反応によりATIC-ALK融合転写産物を同定した。ALK陽性ALCLでは,現在までにALKとの融合遺伝子が7種類同定されている。しかし,nucleophosmin-ALK以外の報告は少なく,ATIC-ALK陽性ALCLは世界で本例も含めて10例しか報告がない。10∼20歳代に多く,予後が判明している6例中5例が長期生存していることが判明した。
  • 切詰 和孝, 今滝 修, 新谷 高理, 藤原 新太郎, 脇 房子, 大上 幸子, 大西 宏明
    2008 年 49 巻 5 号 p. 331-334
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/09/05
    ジャーナル 認証あり
    bortezomib投与による免疫抑制のため,bortezomib治療後12%の症例に帯状疱疹が合併することが知られている一方で,治療前の帯状疱疹の既往がbortezomib治療後の経過に影響することを示した報告はない。本症例では寛解していた帯状疱疹後の神経痛がbortezomib投与後に悪化を示した。症例は58歳男性,2006年6月発症のIgG λ型多発性骨髄腫である。MP療法とVAD療法が無効であった。2007年3月22日に帯状疱疹を発症したがvalaciclovirによる治療で治癒し,4月17日よりbortezomibを投与したところ,投与翌日から帯状疱疹発症部位の神経痛が再燃した。疼痛はbortezomib投与中止で軽快,経過中,帯状疱疹による皮疹の再燃は認められなかった。Bortezomibはウイルス感染の再燃所見を伴わず,帯状疱疹後の神経障害を悪化する可能性がある。
  • 川原 新平, 加藤 淳, 押味 和夫, 井田 博幸
    2008 年 49 巻 5 号 p. 335-339
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/09/05
    ジャーナル 認証あり
    63歳で診断したGaucher病I型について報告する。症例は男性。2005年8月の健診で血小板減少を指摘され,当科紹介受診。脾を臍下3横指,肝を1横指触知したが神経症状は認めなかった。WBC 2,900/μl, Hb 13.4 g/dl, Plt 5.4×104l, CTで脾内に不均一な腫瘤が多発し,骨髄穿刺でGaucher細胞を認めた。総酸性ホスファターゼ,アンギオテンシン変換酵素の高値,培養骨髄ストローマ細胞のグルコセレブロシダーゼ活性の低下,遺伝子解析にてN188S変異が同定された。以上の臨床所見からGaucher病I型と診断し,酵素補充療法を開始した。日本人のGaucher病は約100例報告されているが,われわれが知る限り,これまでの症例における診断時の最高齢は57歳である。血小板減少,脾腫を呈する症例では,高齢でもGaucher病を鑑別に挙げるべきであると考えた。
  • 鈴木 圭, 伊野 和子, 菅原 由美子, 水谷 実, 関根 隆夫, 片山 直之
    2008 年 49 巻 5 号 p. 340-343
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/09/05
    ジャーナル 認証あり
    症例は66歳男性。遷延する発熱を契機に多系統に異形成を伴う急性骨髄性白血病と診断された。Etoposide, AraCによる寛解導入療法が施行されたが無効で,各種培養や画像検査でも原因不明の発熱が持続した。次いで不穏症状,人格の変化とともに意思疎通が困難となり痙攣発作を来し死亡した。剖検所見では脳実質内に腫瘤形成はなかったがVirchow Robin腔に多数の白血病細胞の浸潤が見られ,中枢神経白血病(CNSL)が一連の発熱,意識障害,痙攣の原因と考えられた。CNSLではVirchow Robin腔が白血病細胞の浸潤経路のひとつとなっていることが示唆されたが,生前に繰り返し行った髄液検査や画像検査でもCNSLを診断することはできなかった。このような進展形式をとるCNSLは診断に難渋する可能性がある。本例はCNSLの診断や病態を理解する上で貴重な症例であると考えられ報告する。
短報
feedback
Top