症例は67歳女性における急性白血病。幼弱な芽球は細胞質は顆粒を有せず,PO(-), ES(-), PAS(+)であった。フローサイトメトリーではCD7, CD10, CD19, CD13, CD34, HLA-DRが陽性であり,CD7とCD34, CD10とHLA-DR, CD19とCD13を共発現した。染色体検査では-7, t(9;22)(q34;q11.2)を,遺伝子検査ではminor
BCR/ABL chimeric mRNA, IgH, TCRの再構成を認めた。これらの所見は多系統のマーカーを発現する芽球のクローナルな増殖を示唆した。発現するmarkerのlineage specificityの重点に議論は残るがlineage不明の急性白血病と診断した。鑑別診断としてはCML, B-ALLがあげられる。Ph1+ALLの治療を開始したが,当初の化学療法に対する血液学的反応性は不良で芽球は残存し,著明な血球減少症が出現した。次いでimatinib mesylateを投与したが心不全を発症し19病日に死亡した。
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