臨床血液
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53 巻, 1 号
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Picture in Clinical Hematology No.51
特集:臨床血液学今後の展望(2012年版)―赤血球系疾患―
特集:臨床血液学今後の展望(2012年版)―骨髄系疾患―
臨床研究
  • 高橋 渉, 仲村 祐子, 田所 治朗, 半田 智幸, 新井 ほのか, 鴇田 勝哉, 磯 桐子, 鶴見 茂治, 佐々木 光, 牧 和宏, 三谷 ...
    2012 年 53 巻 1 号 p. 71-77
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/25
    ジャーナル 認証あり
    再発・初回寛解導入不応CD33陽性急性骨髄性白血病に対するCAG-GOレジメン(ゲムツズマブ3 mg/m2をday5に1回投与)を考案し,不応4例と再発5例の合計9例の患者を治療した。9例中4例(44%)がCRあるいは血小板数の回復を伴わないCR (CRp)に到達した。CAG-GO療法後の全生存の中央値は10ヶ月である。CRあるいはCRpに到達した4例の無再発生存及び全生存の中央値は,それぞれ5.5ヶ月及び16ヶ月であった。全例にgrade 4の血液毒性が認められ,grade 3の肝毒性(22%)及び発熱性好中球減少症(44%)も観察された。肝中心静脈閉塞症/類洞閉塞症候群の発症及び治療関連死亡はなかった。44%の症例にCRあるいはCRpが得られたことは評価できるものの,症例数が少なく,CAG療法に対するGOの上乗せ効果の有無の評価は今後の課題である。
症例報告
  • 松木 絵里, 松本 公宏, 中谷 綾, 山根 明子, 加藤 淳, 岡本 真一郎
    2012 年 53 巻 1 号 p. 78-82
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/25
    ジャーナル 認証あり
    症例1は81歳男性。2007年7月に貧血を主訴に受診し骨髄線維症と診断。月4単位程度の赤血球輸血で経過観察していた。2009年6月より輸血後鉄過剰症に対しデフェラシロクス(DSX)の内服を開始し,投与4ヶ月後より貧血の著明な改善を認め,輸血より離脱。以後現在までヘモグロビン13g/dl程度を維持している。症例2は70歳女性。骨髄異形成関連の変化を有する急性骨髄性白血病に対し月4単位程度の赤血球輸血で経過観察していた。2010年1月より輸血後鉄過剰症に対しDSXの内服を開始し,投与2か月後より貧血の改善を認め,輸血を離脱。また投与開始後5ヶ月で末梢血中の芽球の消失と共に白血球数および好中球数の正常化を認めた。本症例のように鉄キレート療法により長期に輸血非依存状態を維持している症例並びに芽球の消失を認めた症例は極めて稀であり,作用機序の解明と共に今後の症例の蓄積と検討が必要と考える。
  • 森永 信吾, 高木 一孝, 定 明子, 松井 利充
    2012 年 53 巻 1 号 p. 83-86
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/25
    ジャーナル 認証あり
    特発性好酸球増多症候群idiopathic hypereosinophilic syndrome (IHES)の1歳女児例を経験した。発症時,末梢血白血球数70,600/μl(好酸球74%),発熱,肝腫大を認めたが,画像検査では明らかな臓器浸潤所見を認めなかった。骨髄検査で芽球の増加やFIP1L1-PDGFRα融合遺伝子や染色体の異常は認めず,クローナルなT細胞の増殖も認めず,二次性好酸球増加も否定され,IHESと診断した。また,血清IgE, IL-5, TARCは正常であった。ステロイドとトシル酸スプラタストの併用治療により臨床症状の改善と好酸球の減少を認めた。
  • 内田 慧美, 本間 りこ, 五十嵐 愛子, 倉田 盛人, 今留 謙一, 大本 英次郎, 三浦 修, 新井 文子
    2012 年 53 巻 1 号 p. 87-91
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/25
    ジャーナル 認証あり
    症例は58歳女性。持続する高熱とリンパ節腫大,Epstein-Barr Virus (EBV)抗体価異常から,慢性活動性EBV感染症を疑われ当科を紹介された。末梢血EBV-DNA量は血漿で1.8×104 copies/mlと高値を認めたが,同疾患では通常高値をしめす単核球中EBV-DNA量は3.4×101 copies/μg DNAと低値であった。頸部リンパ節生検で混合細胞型古典的Hodgkinリンパ腫と診断,Hodgkin細胞はEBV陽性,臨床病期は4期であった。COPP療法で臨床所見の改善と血中EBV-DNAの低下を認め2コース目からABVD療法に変更し1コースで血漿中EBV-DNAが陰性化,4コースで寛解を得た。EBV陽性Hodgkinリンパ腫では血漿中EBV-DNA量が病勢を反映すると欧米から報告されているが本邦の症例でも同様の可能性があり,その末梢血中の局在は診断に有用であると考えられた。
  • 美濃 達治, 坂井 晃, 木下 未来, 吉田 徹巳, 三原 圭一郎, 今川 潤, 木村 昭郎
    2012 年 53 巻 1 号 p. 92-96
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/25
    ジャーナル 認証あり
    症例は,59歳女性。黄疸,腎不全,貧血,高カルシウム血症で緊急入院し,血清中にIgA-λ型のM蛋白を認め,骨髄(BM)検査で形質細胞を22%, 末梢血液検査の白血球分画で形質細胞を23.1%認めprimary plasma cell leukemia (pPCL)と診断した。Prednisolone (PSL), dexamethasone (DEX), methylprednisolone (mPSL)の投与後も総ビリルビンの増加を認めたため,bortezomib 0.7 mg/m2 (Day1, 4, 8, 11 for 3 weeks)をPSL (40 mg/day)との併用で開始したところ,総ビリルビン値の減少と全身状態の著明な改善を認めた。2コース目からbortezomibを1.0 mg/m2に増量したが,3コース開始直後に末梢神経障害(peripheral neuropathy: PN)のため中止した。その後1ヵ月の経過観察後の効果判定はvery good partial response (VGPR)であり,予後不良とされるPCLに対する新規治療薬の効果が期待できる。
  • 牛木 隆志, 新國 公司, 吉田 千絵, 柴崎 康彦, 石川 達, 増子 正義, 高井 和江
    2012 年 53 巻 1 号 p. 97-104
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/25
    ジャーナル 認証あり
    症例は35歳男性。口腔内出血で来院し,急性前骨髄球性白血病と診断された。all-trans-retinoic acid (ATRA)を併用した寛解導入療法を行い,PCR法にてPML/RARA fusion geneの分子遺伝学的寛解状態が確認されたが,長期の血球回復不全,大量腹水,腎機能障害が出現した。CTにて肝表の凹凸不整を認め,肝生検により自己免疫性肝炎及び門脈圧亢進症と診断した。肝予備能が良好であり地固め療法2コース行ったが門脈圧亢進症による汎血球減少のため地固め療法の継続が不可能と判断し,ATRAによる維持療法(45 mg/m2, day1~14) 8コースへ移行した。その後,門脈圧亢進症の増悪は認めず,5年間寛解を維持している。本例は門脈圧亢進症を有する症例においてATRAが長期にわたり使用可能であることを示唆する。
  • 町田 久典, 篠原 勉, 畠山 暢生, 岡野 義夫, 中野 万有里, 飛梅 亮, 岩原 義人, 大串 文隆
    2012 年 53 巻 1 号 p. 105-109
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/02/25
    ジャーナル 認証あり
    症例47歳女性。朝食後に嘔吐,その後意識が消失したため救急搬送されてきた。身体所見では,軽度の眼球結膜の黄疸と貧血を認める他に異常なく,神経学的異常所見もみられなかった。末梢血ではHb 5.2g/dl, Plt 0.6×104lと著明な貧血と血小板減少を認めたが,白血球数・分画には異常なく,間接ビリルビンの増加と軽度の肝障害を認める他は生化学検査にも異常はなかった。以上より自己免疫性溶血性貧血と特発性血小板減少性紫斑病の合併であるEvans症候群を疑い,赤血球及び血小板輸血,ステロイド治療など行ったが改善なく,入院第4日に脳梗塞を発症した。
    脳梗塞の発症後にADAMTS-13活性及び抗原の著減が判明し,血栓性血小板減少性紫斑病(thrombotic thrombocytopenic purpura: TTP)と診断された。血小板減少を伴う溶血性貧血を見た場合,TTPを疑い,早期にADAMTS-13活性及び抗原を測定し,確定診断を行い,血小板輸血は慎重に行うことが重要である。
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