症例は71歳男性。2005年から血球減少と腎障害で通院。2009年10月より右耳介下部に暗紫色の皮下腫瘤が出現し増大。皮膚生検で,真皮から皮下にかけて異型細胞が増生し,免疫染色ではCD123+, CD56+, TdT+, CD4+, CD7+, CD3-, CD20-, CD79a-, CD10-, CD68-, CD163-, myeloperoxidase (MPO)-, naphtol-ASD-chloroacetate (ASD-Ch) esterase-でありblastic plasmacytoid dendritic cell neoplasm (BPDCN)と診断した。骨髄はrefractory cytopenia with multilineage dysplasia (RCMD)の所見で,病変は皮膚に限局。2010年1月よりABVD療法開始。1クール後皮下腫瘍は消失。その後,脳梗塞と間質性肺炎を合併。休薬減量しながら投与を続け,寛解を持続。BPDCNは稀で予後不良であり,長期寛解持続には造血幹細胞移植が必要とされる。本症例は高齢で腎障害があり移植できず,ホジキンリンパ腫の標準治療であるABVD療法を施行し,1年9ヶ月以上寛解を持続している。現在まで本疾患にABVD療法を用いた報告はないが,移植のできない症例には試みる価値のある治療と思われる。
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