臨床血液
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53 巻, 4 号
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Picture in Clinical Hematology No.53
第72回日本血液学会学術集会
学会奨励賞受賞論文
第73回日本血液学会学術集会
シンポジウム5
シンポジウム9
総説
臨床研究
  • —小児がん研究4グループによる調査—
    古賀 友紀, 熊谷 昌明, 瀧本 哲也, 三間屋 純一, 中澤 温子, 堀部 敬三, 小林 良二, 鶴沢 正仁, 稲田 浩子, 森 鉄也
    2012 年 53 巻 4 号 p. 443-449
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/05/12
    ジャーナル 認証あり
    Hodgkinリンパ腫は小児がんの中でも予後良好な疾患の一つである。本邦における本疾患の発症は,年間10数例と極めて少ないため,これまでにまとまった報告がなされず,臨床的背景などの実態は明らかではなかった。今回,1985∼2000年に小児がん治療研究4グループにおいて治療を受けたHodgkinリンパ腫157例を対象として,その臨床的特徴,治療および予後について,後方視的に解析した。157例の内訳は男107例,女50例,発症年齢は中央値10歳1か月(1歳8か月∼17歳8か月)であった。病期はI: 37例(24%), II: 62 (39%), III: 40例 (26%), IV: 18例 (11%)であり,そのうちB症状を認めた症例が50例(32%)であった。ほとんどの症例がcyclophosphamide, vincristine, procarbazine, prednisolone (COPP), doxorubicin, bleomycin, vinblastine, dacarbazine (ABVD)を用いた化学療法を受けており,125例(82%)が6コース以上施行されていた。5年無病生存率は81.5%, 全生存率は94.8%であった。多変量解析により,高リスク,年齢(10歳以上)が予後不良因子としてあげられた。
症例報告
  • 小池 道明, 杉元 啓二, 筒井 深雪, 八幡 悠里子
    2012 年 53 巻 4 号 p. 450-454
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/05/12
    ジャーナル 認証あり
    66歳男性。下肢筋力低下,歩行障害で入院した。IgM 3,407mg/dlで,免疫電気泳動では,IgM κ typeであった。IgM-MGUSニューロパチーと診断した。その後,呼吸筋障害が出現して,呼吸器を必要とした。血漿交換とガンマーグロブリン大量療法後,リツキシマブを8クール施行したところ,しだいに末梢神経障害,運動障害が改善して歩行可能になった。
    71歳男性。腰痛,下肢のしびれ,歩行障害で入院した。IgM 1,553 mg/dlで,免疫電気泳動で,IgM λ typeであったため,IgM-MGUS neuropathyと診断した。リツキシマブ8クールを施行したところ,しだいに歩行可能になってきている。IgM-MGUSニューロパチーに対して,リツキシマブは有効な治療法と考えられた。
  • 本田 裕子, 宮地 良介, 守田 弘美, 稲垣 二郎, 楠原 浩一
    2012 年 53 巻 4 号 p. 455-459
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/05/12
    ジャーナル 認証あり
    症例はTリンパ芽球性白血病の13歳男児。維持療法中に再発し,第2寛解期にHLA完全一致同胞ドナーから骨髄移植を施行した。急性GVHDは認めず,Cyclosporine (CyA)を減量していたところ,day 117に呼吸苦が出現し入院した。胸部X線とCTでは両側にびまん性間質性陰影を認めた。気管支肺胞洗浄液の検査結果からニューモシスチス肺炎と診断し,ST合剤増量とステロイドを開始した。呼吸機能は一旦改善したが,ステロイドの減量とともに増悪し,day 139に縦隔気腫と皮下気腫が出現した。発症当初からβ-D-グルカンが陰性で経過していること,ステロイド減量と病勢が相関していることから,主たる病態は非感染性の間質性肺炎と考えステロイドを再び増量したところ,症状は速やかに改善した。造血幹細胞移植後に遅発性非感染性肺合併症からair-leak syndromeを発症した場合の死亡率は非常に高いといわれているが,早期に免疫抑制療法を強化することで救命できる可能性もあると考えられた。
  • 上山 潤一, 呉 彰, 奥野 啓介, 佐野 仁志, 田本 直弘, 神﨑 晋
    2012 年 53 巻 4 号 p. 460-464
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/05/12
    ジャーナル 認証あり
    t(8;21)/AML1-ETO陽性AMLは,予後良好群と考えられているが,そのうちKIT変異を伴う場合の明確な予後について,結論は得られていない。私たちは,造血細胞移植(HSCT)後に再発したKIT変異を伴う治療抵抗性AMLの16歳男子に対して,チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)の治療を実施した。イマチニブは,31日間投与するも治療効果が乏しかったため,ダサチニブに変更して87日間投与したが,重篤な鼻出血が持続したことから治療を終了した。今回の検討は,臨床症状とAML1-ETO定量値の変化を病勢の指標にTKIの効果を判断したが,経過中,病状は進行し,AML1-ETO値の改善は認められなかった。尚,TKI至適血中濃度の測定を行なっていない。KIT変異を伴うAMLに対するTKI治療は,ある一定の疼痛緩和効果をもたらしたかもしれない。しかしながら,TKI単独療法は,治療抵抗性の状況下においては考慮すべきではないと考えた。
  • 立花 崇孝, 高崎 啓孝, 田中 正嗣, 沼田 歩, 山崎 悦子, 瀬川 文徳, 藤澤 信, 丸田 壱郎, 石ヶ坪 良明, 金森 平和
    2012 年 53 巻 4 号 p. 465-468
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/05/12
    ジャーナル 認証あり
    症例は40歳,男性。急性骨髄性白血病の第1寛解期に非血縁者間同種骨髄移植を施行した。Day 101にvaricella-zoster virus (VZV)感染症を合併したが,抗ウイルス薬およびγグロブリン投与にて改善した。Day 119にしびれと複視を訴え,症状増悪のためday 147に入院した。頭部MRIおよび髄液検査などから免疫介在性脳脊髄炎と診断した。大量γグロブリン療法が奏功し,その後再燃を認めていない。免疫介在性脳脊髄炎は,稀な炎症性脱髄性中枢神経系疾患であり,同種移植後の発症報告は少なく,VZV感染症後に限定すると報告例はみられない。本症例の臨床経過や診断,治療は示唆に富み,文献的考察とともに報告する。
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