臨床血液
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53 巻, 5 号
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Picture in Clinical Hematology No.54
第73回日本血液学会学術集会
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症例報告
  • 中川 靖章, 飯塚 浩光, 西山 小百合, 阿部 有, 日下 さやか, 関根 理恵子, 鈴木 憲史
    2012 年 53 巻 5 号 p. 521-525
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/06/08
    ジャーナル 認証あり
    II型肺胞上皮細胞などに発現しているMUC1分子に属するシアル化糖蛋白抗原で,間質性肺炎の活動性の指標となるKL-6の高度上昇を認めた63歳女性のBJP-λ型多発性骨髄腫(Durie/Salmon分類IIIb, International Staging System (ISS) III)の症例を報告する。初診時にKL-6は22,030 U/mlと高値であったが,surfactant protein D (SP-D)は正常で,CT上間質性肺炎を認めなかった。免疫染色でKL-6陽性骨髄腫細胞を認め,KL-6産生多発性骨髄腫と診断した。MUC1は染色体1q21にコードされており,本例では1番染色体欠失を認めた。病勢とKL-6の上昇は一致した。bortezomibなどの化学療法に抵抗性であり,胸水の増加を認め,永眠した。KL-6が高値を示す多発性骨髄腫は化学療法抵抗性であり,造血幹細胞移植を含めた新たなる治療戦略が必要である。
  • 山本 正英, 粂川 華恵, 佐々木 宏治, 村田 諭孝, 大木 学, 黒須 哲也, 福田 哲也, 新井 文子, 村上 直己, 三浦 修
    2012 年 53 巻 5 号 p. 526-530
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/06/08
    ジャーナル 認証あり
    61歳女性。再生不良性貧血に対しcyclosporin Aで治療を行うも反応せず,発熱・腹痛で入院。左付属器周囲の腫瘤と子宮癌を認めた。発熱性好中球減少症に対しcefepimeを開始したが左付属器炎に進行しmeropenemに変更。変更後から薬疹が出現し,同時期に末梢血,骨髄で異型性を認めた形質細胞の著明な増加を認めたが,免疫グロブリン軽鎖に偏倚はなく,M蛋白も認められなかった。反応性形質細胞増加と診断し,dexamethasoneの投与にて速やかに薬疹は軽快し,形質細胞も消失した。反応性形質細胞増加は悪性腫瘍,慢性感染,自己免疫疾患,溶血性貧血などに伴い生じることが知られているが,薬疹に伴い生じた報告は無い。時に本例の様に異型性のある形質細胞が著明に増加し形質細胞腫瘍との鑑別が形態学的に困難となる。そのためフローサイトメトリーや免疫染色を用いた病理検査を積極的に行い診断するべきである。
  • 筒井 深雪, 小池 道明, 小松 則夫
    2012 年 53 巻 5 号 p. 531-534
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/06/08
    ジャーナル 認証あり
    症例は44歳,男性。発熱,頸部リンパ節腫脹で発症した急性リンパ性白血病(ALL)。JALSG ALL202プロトコールによる寛解導入療法を開始し,第20, 22, 24病日にL-アスパラギナーゼ(L-asp)を投与した。第26病日にビリルビンの上昇と肝機能障害を認めた。第30病日には凝固障害,肝性脳症を認め,劇症肝炎と診断した。血漿交換を施行するも効果なく,第32病日に肝不全のため死亡した。経過から1週間前に投与していたL-aspによる劇症肝炎が原因と考えられた。L-aspによる副作用は過敏症,高アンモニア血症,凝固障害,膵炎,痙攣,アナフィラキシー,肝機能障害,血栓症などである。L-aspはALLやNK/T細胞性リンパ腫など造血器悪性腫瘍の治療に使用される。稀ではあるが,本症例のように重篤な肝障害による死亡例も報告されているので,成人でL-aspを使用した症例について後方視的研究を行い,L-aspによる肝障害や劇症肝炎の危険因子を検索する必要があると思われる。
  • 徳重 淳二, 植木 俊充, 佐藤 慶二郎, 藤川 祐子, 清水 郁夫, 赤羽 大悟, 住 昌彦, 上野 真由美, 市川 直明, 小林 光
    2012 年 53 巻 5 号 p. 535-539
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/06/08
    ジャーナル 認証あり
    症例は56歳男性。前医にて急性骨髄性白血病(AML with myelodysplasia-related changes; AML with MRC)と診断され,idarubicin/cytarabine併用療法などによる寛解導入療法を受けるも寛解導入不能で,移植目的で当科に転院した。非寛解状態で骨髄非破壊的前処置を用い臍帯血移植を施行した。移植後day12に血球貪食症候群(Hemophagocytic syndrome; HPS)を発症し,ステロイドパルス療法を行ったが改善せず,etoposide少量(50 mg/m2)投与を3回行ったところ血球貪食症候群は軽快しday35に生着し,完全寛解を得た。移植後早期にHPSを合併するとステロイドを始めとした治療に抵抗性で,高率に生着不全に陥るため予後不良とされているが,本症例は移植後早期のHPSに対しetoposide少量の複数回投与が安全かつ有効である可能性を示している。
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