臨床血液
Online ISSN : 1882-0824
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54 巻, 12 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
Picture in Clinical Hematology
臨床研究
  • 谷口 広明, 今泉 芳孝, 牧山 純也, 糸永 英弘, 安東 恒史, 澤山 靖, 今西 大介, 田口 潤, 対馬 秀樹, 波多 智子, 長谷 ...
    2013 年 54 巻 12 号 p. 2159-2166
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/23
    ジャーナル 認証あり
    再発・難治性成人T細胞白血病リンパ腫81症例の初回救援治療の治療成績を後方視的に解析した。全生存期間中央値は3.9ヵ月と極めて予後不良であった。2年以上生存した症例は5例のみで,そのうち4例は救援治療として造血幹細胞移植もしくはドナーリンパ球輸注を施行し,残りの1例はモガムリズマブを使用していた。再発・難治性ATLでは通常の化学療法による長期生存は困難であり,移植治療による治療成績の改善が期待される。一方で,移植治療が困難な症例ではモガムリズマブの導入により予後が改善する可能性が示唆された。
症例報告
  • 佐藤 雄也, 中澤 温子, 黒澤 秀光, 福島 啓太郎, 奥谷 真由子, 萩澤 進, 杉田 憲一, 有阪 治
    2013 年 54 巻 12 号 p. 2167-2170
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/23
    ジャーナル 認証あり
    患児は3歳の男児。1歳6か月時に両手背の腫脹を認めた。受診時には血液検査所見に異常はなかった。腫脹部に生検を施行したが,その時点では炎症性の変化との診断にとどまった。しかし,18か月後,末梢血中に芽球が出現しmixed-linage leukemia (MLL)/AF9融合遺伝子を持つ急性単球性白血病(AMoL M5a)と診断した。1歳6か月時の生検組織を再度検査したところ,免疫染色にてCD68陽性細胞,fluorescence in situ hybridizationにてMLL/AF9のスプリットシグナルが確認された。本例は18か月をかけてmyeloid sarcomaよりAMoLへと進行したと考えられた。
  • 八木 ひかる, 尾崎 修治, 関本 悦子, 柴田 泰伸, 重清 俊雄, 佐竹 宣法
    2013 年 54 巻 12 号 p. 2171-2176
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/23
    ジャーナル 認証あり
    患者は64歳,男性。2006年8月より右肋骨の病的骨折や腰痛が出現し,同年12月に多発性骨髄腫(IgG-λ型,D&S病期IIIA, ISS 2期)と診断した。VAD療法による寛解導入の後,タンデム自家末梢血幹細胞移植を施行し完全奏効に至った。無治療で経過観察中であったが,2009年9月にM蛋白の出現を認め,再発と診断した。その後はレナリドミド+デキサメタゾン療法やボルテゾミブ+デキサメタゾン療法を施行し,25ヶ月にわたって部分奏効を維持していた。しかしながら,2012年2月に下腿浮腫や蛋白尿,胸水貯留が出現し,同年5月に心不全,腎不全により死亡した。病理解剖では全身の臓器にアミロイド沈着を認め,死因はALアミロイドーシスによる心不全,腎不全と考えられた。多発性骨髄腫の経過中にALアミロイドーシスを発症することは知られているが,再発後にALアミロイドーシスの急激な増悪を来した症例は稀であり,その合併に留意する必要がある。
  • 上田 里美, 宮腰 重三郎, 遅塚 明貴, 小島 理絵, 小笠原 壽恵, 宮本 鋼
    2013 年 54 巻 12 号 p. 2177-2181
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/23
    ジャーナル 認証あり
    72歳男性。2009年7月,立ちくらみを主訴に当院受診,骨髄異形成症候群(MDS) RAEB-2と診断された。CA療法を1回,low-dose Ara-Cを2回施行し,第一寛解期の2010年1月に臍帯血移植を施行した。2011年9月再発し,アザシチジン(AZA) 100 mg/日7日間皮下注射を開始した。血液状態をみながらAZA 100 mg/日7ないしは5日間投与を計9コース施行し,再発後一年経過時,GVHDの出現や輸血依存や合併症もなく生存している。MDS臍帯血移植後再発症例に対してAZA投与を行われている報告例が散見されるがその有用性は定まっていない。移植後再発に対してAZAの至適投与量,期間,サイクル数を検討していく上で今後,症例の蓄積が必要であると考えられた。
  • 重岡 徹, 山縣 大樹, 石堂 亜希, 富永 貴元, 亀井 敏昭, 高橋 徹
    2013 年 54 巻 12 号 p. 2182-2186
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/23
    ジャーナル 認証あり
    患者は89歳,女性。寒冷凝集素価上昇を伴う溶血性貧血の精査のため当院へ紹介。末梢血の赤血球凝集は加温で減弱し,寒冷凝集素症(CAD)と診断した。骨髄穿刺では異常細胞の浸潤なく,CTは脾腫を認めたのみであった。感染や膠原病の合併もなかった。ステロイド療法は無効で溶血は進行し,その頃から血小板減少,せん妄,発熱,破砕赤血球の出現がみられた。ADAMTS13活性の低下もあり,溶血はCADと血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の合併によると判断された。剖検で傍大動脈リンパ節腫大と脾腫を認めた。免疫染色で脾,肝,骨髄,傍大動脈リンパ節にCD20陽性異型リンパ球の浸潤があり,びまん性大細胞型B細胞リンパ腫が判明したため,CADもTTPも二次性と考えられた。潜在するリンパ腫の解明において剖検の重要性を示す症例であった。CADの診断時には,注意深くリンパ腫の合併を除外することが重要である。
  • 油田 さや子, 森 毅彦, 加藤 淳, 甲田 裕也, 小橋 澄子, 菊池 拓, 佐分利 益穂, 岡本 真一郎
    2013 年 54 巻 12 号 p. 2187-2191
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/23
    ジャーナル 認証あり
    症例は39歳(症例1)と57歳(症例2)の女性で,急性リンパ芽球性白血病,濾胞性リンパ腫に対し,同種骨髄移植を受けた。移植片対宿主病の治療あるいは予防のためにtacrolimusが経口で投与されていた。移植後17ヶ月(症例1)と2ヶ月(症例2)に血清ナトリウムが123.5 mEq/l, 125.6 mEq/lまで低下した。Tacrolimusの血中濃度トラフ値は10 ng/ml前後であった。1日尿中ナトリウム排泄量は186.8 mEq/日,375.7 mEq/日と著明に増加していた。Tacrolimusによるナトリウム喪失性腎症と診断し,tacrolimusを減量し,両例共に血清ナトリウムは正常化した。Tacrolimusによるナトリウム喪失性腎症は腎移植後の報告は少数ながらあるが,同種造血幹細胞移植後の報告はこれまでにない。同種造血幹細胞移植患者においてもtacrolimusの副作用の一つとして広く認識される必要がある。
  • 黒田 裕行, 石川 和真, 定免 渉, 吉田 正宏, 山田 充子, 安部 智之, 櫻井 環, 藤井 重之, 前田 征洋, 松野 鉄平, 佐藤 ...
    2013 年 54 巻 12 号 p. 2192-2198
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/01/23
    ジャーナル 認証あり
    症例は77歳,男性。原発性骨髄線維症(PMF)に対してthalidomideとprednisolone (PSL)の治療で良好な経過であったが,顔面・体幹・四肢の広範な皮下出血のため再診した。APTT延長と第VIII因子活性低下およびインヒビターを認め,後天性血友病A (AHA)と診断した。入院時よりPSLとcyclophosphamideを併用したが,免疫抑制療法後まもなく右大腿四頭筋内出血を認め,活性型プロトロンビン複合体製剤により止血した。このためrituximabを投与したが,咽頭蓋血腫を合併して呼吸困難となり,遺伝子組み換え型活性型第VII因子製剤とステロイドパルス療法を行った。Rituximab併用免疫抑制療法によりAHAは改善したが,Pneumocystis肺炎のため死亡した。剖検でPMFから急性骨髄性白血病への転化を確認した。
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