症例は,78歳女性。平成22年8月,近医で多発性骨髄腫(IgGκ type, stageIIIA, ISS III)と診断され,デキサメサゾン大量療法をするも効果無く,ボルテゾミブで2コース治療をされた。転居に伴い,同年11月当院入院。骨髄検査で形質細胞29.6%, IgG 5,539 mg/d
lであった。入院時,両背部痛,軽度呼吸苦あり,胸部CTで,間質性肺炎と診断した。ステロイド投与で速やかに軽快したが,ボルテゾミブの関与を否定できなかったことから,レナリドミドによる治療を選択した。レナリドミド15 mgを2コース投与したが,間質性肺炎の再燃は認めなかった。又,形質細胞は0.4%, IgG 1,616 mg/d
lと低下し,PRであった。白血球減少を認め,GCSFの投与を必要としたが,治療継続中であり,経過は良好である。レナリドミドの本邦PMS(中間報告)では,1,177例中,間質性肺疾患が3例報告されている。その投与量は,2例で25 mg, 1例で10 mgであった。転帰は1例が死亡,1例は未回復,1例は不明で,本症例においては,レナリドミドの投与量を,骨髄抑制後の再開投与量である15 mgとした。ボルテゾミブによる間質性肺炎症例に,レナリドミド投与をする場合,その投与量に関しての規定は無く,本症例は15 mg投与で安全に施行可能であった。文献的考察を含め報告する。
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