臨床血液
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54 巻, 5 号
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Picture in Clinical Hematology
第74回日本血液学会学術集会
シンポジウム3
シンポジウム4
臨床研究
  • 吉田 全宏, 金島 広, 中尾 隆文, 小川 吉彦, 日野 雅之, 中根 孝彦, 太田 忠信, 久村 岳央, 間部 賢寛, 山村 亮介, 山 ...
    2013 年 54 巻 5 号 p. 444-450
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/31
    ジャーナル 認証あり
    経口低分子トロンボポエチン受容体作動薬エルトロンボパグは既治療の特発性血小板減少性紫斑病(idiopathic thrombocytopenic purpura, ITP)に対する新規薬剤である。今回,大阪府下の4施設においてエルトロンボパグを使用したITP 22例の後方視的な解析を行った。観察期間の75%以上の期間で血小板数が5万/μl~40万/μlに維持できた場合を有効と定義した。本人希望により投与を中断した2例を除いた20例中13例(65%)で有効であった。有効であった13例のうち10例がプレドニゾロン換算で5 mgを超えるステロイド剤を内服していたが,そのうち7例で5 mg以下に減量が可能であった。治療前に出血症状が認められた19例中11例で出血症状の消失および改善を認め(エルトロンボパグ有効例10例中9例,無効例7例中2例),エルトロンボパグ有効例で有意に出血症状の改善が多かった(p=0.018)。エルトロンボパグの有効性に関連する因子の解析を行ったが,有意な因子は認められなかった。有害事象として発熱が1例,全身倦怠感が3例,頭痛が2例,筋肉痛が1例に生じた。重篤な有害事象として脳血栓が1例に生じた。エルトロンボパグは難治性ITPに対して有用な治療薬と考えられるが,長期的治療効果ならびに合併症を見極めた上で,ITP治療戦略上の位置づけを評価する必要がある.
症例報告
  • 長町 康弘, 山内 尚文, 村松 博士, 岡本 哲郎, 猪股 英俊, 野澤 えり, 小山 隆三, 井原 康二, 西里 卓次, 山田 秀久, ...
    2013 年 54 巻 5 号 p. 451-456
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/31
    ジャーナル 認証あり
    症例は,78歳女性。平成22年8月,近医で多発性骨髄腫(IgGκ type, stageIIIA, ISS III)と診断され,デキサメサゾン大量療法をするも効果無く,ボルテゾミブで2コース治療をされた。転居に伴い,同年11月当院入院。骨髄検査で形質細胞29.6%, IgG 5,539 mg/dlであった。入院時,両背部痛,軽度呼吸苦あり,胸部CTで,間質性肺炎と診断した。ステロイド投与で速やかに軽快したが,ボルテゾミブの関与を否定できなかったことから,レナリドミドによる治療を選択した。レナリドミド15 mgを2コース投与したが,間質性肺炎の再燃は認めなかった。又,形質細胞は0.4%, IgG 1,616 mg/dlと低下し,PRであった。白血球減少を認め,GCSFの投与を必要としたが,治療継続中であり,経過は良好である。レナリドミドの本邦PMS(中間報告)では,1,177例中,間質性肺疾患が3例報告されている。その投与量は,2例で25 mg, 1例で10 mgであった。転帰は1例が死亡,1例は未回復,1例は不明で,本症例においては,レナリドミドの投与量を,骨髄抑制後の再開投与量である15 mgとした。ボルテゾミブによる間質性肺炎症例に,レナリドミド投与をする場合,その投与量に関しての規定は無く,本症例は15 mg投与で安全に施行可能であった。文献的考察を含め報告する。
  • 皆川 健太郎, 川野 宏樹, 鈴木 琢真, 稲垣 忠弘, 来住 稔, 平田 珠希, 木村 祥子, 武地 美保, 小出 亮, 岩井 正秀, 片 ...
    2013 年 54 巻 5 号 p. 457-462
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/31
    ジャーナル 認証あり
    高齢者の再発難治性多発性骨髄腫におけるレナリドミド療法は外来治療が可能な反面,副作用の管理が困難で減量が推奨される。今回70歳以上の骨髄腫患者6例にレナリドミド5 mg 1日1回の超低用量治療を行った。中央観察期間は8.6か月と短いが4例にPartial response (PR)以上の反応を認め通常量で期待される効果と遜色ないものであった。主な有害事象は感染症であり,最初の数サイクルに認められた。その他は有害事象を最小限にとどまり,特にGrade 3/4の血球減少は1例も認めなかった。高齢者でもレナリドミドを減量せずに使用する施設もあるが,本例のように少量投与で効果の得られる場合もあり,前治療歴のある高齢者には有用であると思われる。現在前向き臨床試験を実施中である。
  • 山田 敦子, 杉元 啓二, 松野 圭, 筒井 深雪, 八幡 悠里子, 築根 豊, 小池 道明, 小松 則夫
    2013 年 54 巻 5 号 p. 463-467
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/31
    ジャーナル 認証あり
    68歳の女性。労作時の息切れで近医受診し,胸部レントゲンで,右大量胸水を認め,胸水中のCA125が高値であったことから,卵巣癌が疑われ,当院産婦人科を紹介され入院した。胸部CT検査で,右胸水と背側胸膜に肥厚を認め,胸腔鏡下での胸膜生検で,CD20, CD79a陽性の小~中細胞のリンパ球の浸潤がみられ,MALTリンパ腫と診断した。R-CHOP療法にて胸水は消失した。胸膜原発のMALTリンパ腫は,極めて稀であるが,日本からの報告が比較的多い。また,CA125は,胸水や腹水などを伴う進行したリンパ腫で高値を示すことがあり,本例でも高値を呈し,治療とともに減少した。
  • 飯塚 浩光, 吉見 昭秀, 山本 豪, 増田 亜希子, 南谷 泰仁, 市川 幹, 矢冨 裕, 黒川 峰夫
    2013 年 54 巻 5 号 p. 468-472
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/31
    ジャーナル 認証あり
    症例は68歳女性。55歳時に本態性血小板血症(ET)と診断され,以降ヒドロキシカルバミドにて加療されていた。2011年5月より貧血の出現を認め,骨髄では芽球の増加はないものの3系統に異形成を認め,骨髄異形成症候群(MDS)と診断された。染色体検査で5番染色体長腕の欠失を含む複雑染色体異常を認め,レナリドミドを開始したが,貧血の改善は認めず,有害事象から2コースで中止した。アザシチジンを導入したところ,貧血の改善を認め,細胞遺伝学的にも改善が得られた。しかしアザシチジン5コース後に急性骨髄性白血病(AML)への移行がみられた。AMLは化学療法抵抗性を示し,約5ヶ月後に死亡した。ETから移行したMDSに対して,アザシチジンは有効である可能性が考えられる。また5番染色体長腕の欠失を伴うMDSで,レナリドミド無効例に対してもアザシチジンは有効である可能性が示唆された。
  • 濱畑 啓悟, 小谷 槙一, 岡 智子, 右京 直哉, 渡辺 信和, 直川 匡晴
    2013 年 54 巻 5 号 p. 473-477
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/31
    ジャーナル 認証あり
    症例は26歳の女性。18歳時にALLを発症し,化学療法で寛解を得た。22歳時にALLの再発を確認し,再寛解導入後臍帯血移植を施行した。Day42の骨髄検査でリンパ芽球16%を認め,その後無治療で経過観察したが,骨髄検査で芽球比率は6%前後を推移し3年間無症状で経過した。骨髄中の芽球分画は臍帯血由来で,表面マーカーの推移について検討したところ,当初はCD10, CD19陽性のリンパ芽球でHematogones (HGs)と考えられたが,経過中にCD13, CD33陽性の骨髄芽球が出現し,その後臍帯血由来のdonor cell leukemia (DCL)としてのAMLを発症した。移植後早期に芽球が出現し長期間持続する場合,再発,HGs, DCLの可能性を考慮しつつ,芽球分画のキメリズム解析や芽球形態,細胞表面マーカーの推移を注意深く観察していく必要があると考える。
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