症例は63歳,男性。治療抵抗性の骨髄異形成症候群の白血化に対してhydroxyurea (hydroxycarbamide)が投与された。当初500 mg/日から開始されたが,効果不十分であったため,投薬開始5日目から1,500 mg/日へ増量された。投薬開始8日目に悪寒,発熱,嘔吐が出現し,当院外来を受診した。受診時,前日に44, 59 IU/
lであったaspartate aminotransferase (AST)およびalanine aminotransferase (ALT)が5,098, 3,880 IU/
lまで上昇し,緊急入院となった。各種ウイルス検査は陰性であった。Hydroxyureaを中止し,保存的な加療により肝機能異常は急速に改善し,約2週間で前値にまで回復した。肝障害出現時に施行したhydroxyureaによる薬剤リンパ球刺激試験がstimulating index 2.0と陽性であった。Hydroxyureaの副作用として肝障害は知られているが,発熱や消化器症状を伴うこれらの一連の病態の機序として薬剤アレルギーの関与を示した報告は少ない。アレルギーが関与した場合,急激かつ重篤な肝障害を惹起する可能性があり,慎重な管理が求められる。
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