臨床血液
Online ISSN : 1882-0824
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55 巻, 6 号
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Picture in Clinical Hematology
総説
  • Navneet S. MAJHAIL, J. Douglas RIZZO, Stephanie J. LEE, Mahmoud ALJURF ...
    2014 年 55 巻 6 号 p. 607-632
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/06/27
    ジャーナル 認証あり
    造血細胞移植(HCT)技術及び支持療法の進歩が,HCT後の長期生存の改善を来たした。移植の新たな適応,臍帯血などの新しい細胞ソースの導入,あるいは高齢の患者を対象とした強度を緩和した前処置を用いた移植の導入も,HCT後生存者数の増加に貢献してきた。しかし,移植後生存者は,移植前,移植時,移植後の暴露や危険因子により晩期合併症のリスクにさらされている。HCT生存者に対するスクリーニング及び予防診療のガイドラインが2006年に発表された。移植専門家からなる国際グループが2011年に召集され,移植実務の変化やこのガイドラインの国際的な適用性を考慮しながら,現在の文献を検討し,ガイドラインを更新した。本報告では,自家及び同種HCTの小児及び成人生存者に対するスクリーニング及び予防診療の推奨の最新ガイドラインである。
第75回日本血液学会学術集会
Presidential Symposium
Symposium 4
症例報告
  • 湯淺 光博, 石綿 一哉, 杉尾 健志, 梶 大介, 太田 光, 辻 正徳, 山本 久史, 山本 豪, 森 有紀, 内田 直之, 伊豆津 宏 ...
    2014 年 55 巻 6 号 p. 682-686
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/06/27
    ジャーナル 認証あり
    症例は41歳の女性。非寛解の急性骨髄性白血病に対して非血縁者間骨髄移植を施行,18ヶ月後に再発し,再度非血縁者間臍帯血移植を施行したが5ヶ月後に再々発をした。サルベージ化学療法により白血病細胞は減少傾向であったが,移植片対宿主病を示唆する所見が他にない中,肝障害が出現し,1週間後より高ビリルビン血症,凝固因子欠乏,意識障害を来し急性型の劇症肝炎へと進展した。血液中の肝炎原因ウイルスの検索では単純ヘルペスウイルス2型(HSV-2) (2.34×104 copies/ml)が検出され,HSV-2による劇症肝炎と診断した。抗ウイルス薬の投与,血漿交換等を行ったが肝不全が進行し,劇症肝炎発症6日目に死亡した。造血幹細胞移植後のHSV-2による急性肝炎は極めて稀であるが,経過が急速で,重篤になりうるので,迅速な診断と治療介入を要する。
  • 滝沢 牧子, 横濱 章彦, 関上 智美, 小磯 博美, 石崎 卓馬, 三井 健揮, 小川 孔幸, 斉藤 貴之, 半田 寛, 塚本 憲史, 村 ...
    2014 年 55 巻 6 号 p. 687-691
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/06/27
    ジャーナル 認証あり
    症例は64歳,女性。1998年にBCR-ABL陰性の真性多血症と診断し,ヒドロキシカルバミドの投与を開始した。以後13年間外来通院し治療を継続していたが,2011年に白血球増多と血小板増多が出現し,フィラデルフィア染色体が陽性化した。この時点ではJAK2V617F変異は検出されず,ドミナントなBCR-ABL陽性クローンはJAK2V617F変異陰性と考えられた。慢性骨髄性白血病の併発と考えダサチニブによる治療を開始した。治療が奏効し,BCR-ABL mRNAは減少したが,JAK2V617F変異陽性クローンが再度出現し,血球増多の所見も見られるようになった。本例のように真性多血症の長期経過の後にBCR-ABL陽性クローンが出現する例はきわめて稀であり,その病因についての示唆に富む症例と考え報告する。
  • 山本 恵理, 山崎 悦子, 石山 泰史, 小山 哲, 石井 好美, 服部 友歌子, 中嶋 ゆき, 立花 崇孝, 宮崎 拓也, 萩原 真紀, ...
    2014 年 55 巻 6 号 p. 692-696
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/06/27
    ジャーナル 認証あり
    慢性骨髄性白血病(CML)の予後はチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)の登場により劇的に改善したが,一部にT315Iを始めとするBCR-ABL変異の出現により十分な治療効果を得ることが出来ない症例も存在する。今回我々はCMLに対する第二世代TKI治療中にT315I変異陽性の急性前骨髄球性白血病(APL)へ急性転化を来した症例を経験した。All-trans retinoic acid併用化学療法を行いPML-RARA mRNAが検出感度以下となり,亜ヒ酸とイマチニブの併用によりPh染色体が消失し,細胞遺伝学的完全寛解を達成して同種造血幹細胞移植を施行し得たので報告する。
  • 川野 宏樹, 鈴木 知秀, 石井 慎一, 若橋 香奈子, 川野 裕子, 定 明子, 皆川 健太郎, 高谷 具史, 山下 智也, 平田 健一, ...
    2014 年 55 巻 6 号 p. 697-702
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/06/27
    ジャーナル 認証あり
    症例は70歳と49歳の男性で慢性特発性血小板減少性紫斑病(ITP)の経過中に下肢深部静脈血栓症を合併し急性増悪による出血症状を呈した。いずれもステロイド抵抗性を示し,トロンボポエチン受容体作動薬(eltrombopag, romiplostim)を使用した。当初出血症状があり抗凝固療法は施行不能であったが,血小板造血の回復が得られ,ワーファリンの内服を開始することができた。近年,ITPの易血栓性病態としての側面が注目されつつあるが,血栓症を合併したITP急性増悪の報告はほとんどなく,またITPと血栓症の関連や病態は不明である。我々の2症例ではトロンボポエチン受容体作動薬投与後に幼若血小板数の増加が確認され血小板造血不全の病態が示唆された。トロンボポエチン受容体作動薬による血栓症の明らかな増悪は確認されなかったが,血栓症への影響は不明な点が多く,血栓症をモニタリングしながら抗凝固療法のタイミングを図る必要があると考えられた。
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