臨床血液
Online ISSN : 1882-0824
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55 巻, 8 号
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Picture in Clinical Hematology
特集:血栓止血性疾患診療の最前線
総説
症例報告
  • 野坂 生郷, 庄野 孝, 米村 雄士, 猪山 賢一, 佐々木 裕, 遠藤 慎也, 奥野 豊, 満屋 裕明
    2014 年 55 巻 8 号 p. 948-952
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/02
    ジャーナル 認証あり
    症例74歳男性,大腸内視鏡検査にて直腸部に隆起病変を認め,生検にてCD20, CD79a陽性で直腸原発MALTリンパ腫(stage IE)と診断した。Helicobacter pylori陽性慢性胃炎を合併していたため,除菌療法を行ったところ,3ヶ月後には隆起病変が消失し,病理組織でも異常細胞は認められなかった。約1年寛解を維持していたが,再度隆起病変を認め,再発と診断した。再発メカニズムは不明だが,H. pylori除菌療法が直腸MALTリンパ腫にも有効であると思われ,除菌後も弧発性のままで進行も緩徐であることから,除菌療法は有効な治療法の一つであると考えられた。
  • 谷口 広明, 今泉 芳孝, 牧山 純也, 安東 恒史, 澤山 靖, 今西 大介, 田口 潤, 対馬 秀樹, 波多 智子, 宮﨑 泰司
    2014 年 55 巻 8 号 p. 953-957
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/02
    ジャーナル 認証あり
    クリオグロブリン血症(Cg)を合併した多発性骨髄腫(MM)に対する標準治療は確立していない。今回レナリドミドとデキサメサゾンの併用療法(Ld療法)が有効であった症例を経験した。症例は76歳,女性。主訴は右踵部の皮膚潰瘍,四肢の疼痛としびれであった。20年前にCg併発MMと診断された。以降MMに対しては従来の抗癌剤治療,そしてCg関連症状に対しては血漿交換療法など行われていたが,Cg関連症状のコントロールが困難となり治療目的で入院となった。入院後,血漿交換療法を施行し血清クリオグロブリン値は減少したが,皮膚症状の改善は認めなかった。Ld療法を開始後,血清M蛋白とクリオグロブリン値の減少とともに皮膚潰瘍,しびれ,そして疼痛も軽快した。
  • 佐藤 昌則, 黒田 裕行, 吉田 正宏, 宇佐美 信, 安部 智之, 櫻井 環, 藤井 重之, 前田 征洋, 藤田 美悧, 嘉成 悠介, 松 ...
    2014 年 55 巻 8 号 p. 958-964
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/02
    ジャーナル 認証あり
    肝脾原発CD5陽性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(CD5+ DLBCL)は,リンパ節腫脹を欠くが肝脾腫を呈し,肝の門脈域・類洞内や骨髄浸潤を認めるサブグループとして最近提唱された。症例は45歳,男性。2013年6月に発熱・倦怠感のため受診した。CTで肝脾腫と多発肝腫瘍を認めたが,リンパ節腫脹はなかった。超音波ガイド下肝腫瘍生検で門脈と類洞にCD5・CD20陽性リンパ腫細胞が浸潤し,高度の肝細胞変性を認め,肝脾原発CD5+ DLBCLと診断した。入院後白血化し,骨髄浸潤が明らかとなった。入院時の肝細胞増殖因子(HGF)は増加し,第7病日には肝機能障害とクレアチン値上昇を認めた。このため血漿交換と持続血液透析濾過法を併用して,rituximab併用CHOP療法を減量して行ったところ完全寛解を得た。HGFは急性肝障害の予測に役立つため,HGFの上昇をみた場合は血漿交換併用寛解導入療法が必要である。
  • 谷口 亜裕子, 池添 隆之, 竹内 麻子, 砥谷 和人, 吉本 光広, 谷岡 克敏, 北岡 裕章, 横山 彰仁
    2014 年 55 巻 8 号 p. 965-969
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/02
    ジャーナル 認証あり
    発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)に冠動脈血栓を伴うことは本邦では稀である。今回我々は,冠動脈血栓による心筋梗塞を発症したPNHに対して,エクリズマブが著効した症例を経験したため報告する。症例は56歳の男性。2011年5月に再生不良性貧血(AA)重症型と診断し,シクロスポリンと抗胸腺細胞グロブリン,酢酸メテノロンで治療を開始して血球回復傾向を示した。2012年10月に末梢血検査でPNH型赤血球を42.2%認めAA-PNH症候群と診断した。2013年8月,安静時に前胸部痛が出現し心臓カテーテル検査を施行した。右冠動脈内に多発血栓を認め,急性心筋梗塞として内科的に抗凝固療法を開始したが,以後も胸痛症状や心電図異常が頻回にみられた。冠動脈血栓は徐々に増加し新たな閉塞箇所も出現したため,エクリズマブを導入したところ速やかに多発血栓の消失が得られ,以後は再発なく経過している。
  • 柴崎 美緒, 住 昌彦, 武田 航, 桐原 健彦, 栗原 太郎, 佐藤 慶二郎, 植木 俊充, 廣島 由紀, 上野 真由美, 市川 直明, ...
    2014 年 55 巻 8 号 p. 970-974
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/09/02
    ジャーナル 認証あり
    症例は61歳女性。52歳時に右乳癌に対し乳房温存術・放射線療法の既往あり。2007年に濾胞性リンパ腫を発症しRFM療法(リツキシマブ,フルダラビン,ミトキサントロン)で完全寛解となり経過観察中,2010年に慢性期慢性骨髄性白血病(CML-CP)を発症した。イマチニブで細胞遺伝学的完全寛解(CCyR)となったが,2013年1月に末梢血でリンパ芽球を65%認めリンパ芽球性急性転化と診断,染色体検査でフィラデルフィア染色体とモノソミー7を認めた。ダサチニブでCCyR達成後,非血縁者間骨髄移植を行い経過は良好である。治療関連白血病はアルキル化剤やトポイソメラーゼII阻害薬による骨髄異形成症候群/急性骨髄性白血病が一般的だが,近年はフルダラビンが原因として注目されている。治療関連白血病の中でもCMLは報告が少なく,本例はフルダラビンを含む化学療法後の治療関連CMLとして貴重な症例と考える。
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