血液腫瘍の染色体異常はWHO分類の病型診断や治療効果の判定に重要な情報であり,独立した予後因子である。そのような特異的染色体異常は,切断点領域に存在する遺伝子に再構成を起こし,腫瘍化の初期変化に関与している。染色体切断点に存在する遺伝子の微小欠失やDNA切断点の正確な同定にゲノムアレイ解析は非常に有用であり,spectral karyotypingの1,000~10,000倍の解像力がある。Double-hit lymphomaで高頻度に認められる約60kbサイズの
CDKN2A/2B欠失の検出も容易であり,また,8q24転座による
PVT1再構成の相手遺伝子として
NBEAと
WWOXを多発性骨髄腫で同定した。さらに,double minute chromosomesを有する急性骨髄性白血病で認められた8q24のゲノム増幅から
PVT1-NSMCE2と
CCDC26-NSMCE2を同定し,その形成機構はクロモスリプシスと考えられた。
PVT1と
CCDC26はlong intergenic non-coding RNAs (lincRNAs)であり,これらのlincRNAsキメラ遺伝子が関与する腫瘍化の新規分子メカニズムが示唆される。新世代の分子細胞遺伝学は次世代シーケンサーの開発によって大きく展開することが期待される。
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