臨床血液
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57 巻, 7 号
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Picture in Clinical Hematology
臨床研究
  • ―関西骨髄腫フォーラムデータベースを用いた解析―
    小杉 智, 柴山 浩彦, 中谷 英仁, 木田 亨, 太田 健介, 金子 仁臣, 八木 秀男, 田中 宏和, 淵田 真一, 中谷 綾, 小林 ...
    2016 年 57 巻 7 号 p. 839-847
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/08/05
    ジャーナル 認証あり

    新規薬剤により骨髄腫患者の生存が延長すると共に,二次がん発生が問題になっている。今回,関西骨髄腫フォーラム(KMF)データベースを用い,2012年11月~2015年3月に登録された骨髄腫および関連疾患1571例について二次がん発生を解析した。観察期間(中央値31ヶ月)内に血液腫瘍が10例,固形がんが36例に発生していた(5年累積発生率:血液腫瘍1.0%, 固形がん3.7%)。未治療の無症候性骨髄腫およびMGUS症例では,固形がん発生を認める一方で血液腫瘍発生は認めなかったが,累積発生率においては治療例との間に有意差を認めなかった。一方,melphalan, bortezomib, lenalidomideおよびthalidomideの4剤それぞれの投与歴を見た場合,血液腫瘍発生への影響は統計学的に認められない一方,レナリドマイド投与歴のある患者で固形がん発生が多く認められた。より詳細な検討には,本データベースへのさらなる症例数の蓄積と,長期の観察が必要と考える。

  • 武本 重毅, ポルンクナ ラティオン, 日高 道弘, 河野 文夫
    2016 年 57 巻 7 号 p. 848-853
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/08/05
    ジャーナル 認証あり

    成人T細胞白血病(ATL)患者(n=32)の可溶性CD25 (sIL-2R)ならびにCD30 (sCD30)の治療開始前血清レベルとリンパ節病変ならびに節外病変との関係を調べた。血清sIL-2Rレベルはリンパ節病変(領域)数(ρ=0.660, P=0.001)と,血清sCD30レベルは末梢血中ATL細胞数(ρ=0.456, P=0.009)との間に正の相関を認めた。次に初回治療前の胸水ならびに肺門リンパ節腫脹を検討できた24例について,その肺病変と末梢血中ATL細胞数,血清LDHレベル,sIL-2Rレベル,sCD30レベルとの関係を調べた。その結果,末梢血中ATL細胞数と腫瘍性肺病変との関連が疑われた。観察されたsIL-2RおよびsCD30血清レベルの上昇からは,リンパ節病変あるいは節外病変との関連が示唆され,ATL病態に関わる生体内メタロプロテアーゼ活性の指標となるかもしれない。

症例報告
  • 江崎 麻衣子, 石井 一慶, 東 由子, 坪倉 幸恵, 吉村 英晃, 堀田 雅章, 中西 考尚, 藤田 真也, 中谷 綾, 佐竹 敦志, 伊 ...
    2016 年 57 巻 7 号 p. 854-858
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/08/05
    ジャーナル 認証あり

    症例は74歳,男性。食思不振,体重減少,ADL低下を主訴に当科を受診した。初診時,軽度意識障害を認めたが,明らかな原因を同定できなかった。IgD>2,000 mg/dlであり,骨髄穿刺では細胞が密のため吸引できず,生検と合わせてIgD/λ型多発性骨髄腫と診断した。第8病日に昏睡状態となり,NH3 484 μg/dlと異常高値を認め,高アンモニア血症による脳症と診断した。Dexamethasone (Dex)によるパルス療法,持続血液透析濾過法を施行したが,高アンモニア血症の改善は一時的であった。Bortezomib (Bor)+Dex療法を施行したところ,速やかに高アンモニア血症,意識障害の改善を認めた。高アンモニア脳症は骨髄腫の随伴症としては稀であり,かつ新規薬剤であるBorによる治療成績は明らかとなっていない。高アンモニア脳症は致死的な合併症であるが,Borは速やかに効果が期待できる治療法である。

  • 早瀬 朋美, 新島 瞳, 田中 大輔, 和田 聖哉, 川原 勇太, 翁 由紀子, 森本 哲
    2016 年 57 巻 7 号 p. 859-863
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/08/05
    ジャーナル 認証あり

    小児の未分化大細胞リンパ腫(ALCL)は化学療法に対する感受性は高いが約30%が再発する。再発例の多くは化学療法により再寛解に入るが,寛解維持できるのは30~60%に止まる。我々はanaplastic lymphoma kinase (ALK)陽性の再発ALCLの6歳男児に対しvinblastine単剤療法により再寛解を得た後,fludarabine/melphalan/全身照射3 Gyによる強度減弱前処置(RIC)を用い,HLA一座不一致の父をドナーとした骨髄移植を施行した。Graft-versus-host diseaseはgrade 1で,移植合併症なく経過し,移植後10か月の現在完全寛解を維持している。再発ALK陽性ALCLに対するRICを用いた同種造血幹細胞移植は移植関連死亡を減じ,かつ,graft-versus-lymphoma効果が得られる可能性があり,有用な治療法と考えられる。

  • 吉藤 康太, 大科 貴宏, 園川 佐絵子, 野口 侑真, 鈴木 さやか, 田中 圭祐, 熊谷 隆志
    2016 年 57 巻 7 号 p. 864-868
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/08/05
    ジャーナル 認証あり

    症例は34歳男性で,東京都内の公園で草刈り作業をして頻回蚊に刺されていた。突然,発熱,倦怠感,脱力が出現したため内科に入院した。Reverse transcription polymerase chain reaction (RT-PCR)法でデングウイルス遺伝子が検出され,デングウイルスNS1蛋白も陽性であり,デング感染症の診断となった。対処療法で経過を見るも,発熱などの症状は持続した。さらに末梢血液にて白血球・血小板の著明な減少,フェリチンと可溶性インターロイキン2受容体の著明高値を認め,骨髄検査では貪食像を伴うマクロファージが増加した。以上より血球貪食症候群合併と診断した。ステロイドハーフパルス3日間投与により,速やかに解熱,全身状態の改善,血球の劇的な回復を認め,12日目に退院となった。血球貪食症候群を合併したデング感染症の報告は少なく,さらに本例は海外渡航歴のない国内発症デング感染症に合併した初の報告である。このような例での早期ステロイド投与の有効性も示唆された。

  • 松原 悦子, 山之内 純, 羽藤 高明, 竹内 一人, 新家 敏之, 安川 正貴
    2016 年 57 巻 7 号 p. 869-872
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/08/05
    ジャーナル 認証あり

    症例は81歳男性。発熱,意識障害,点状出血斑,溶血性貧血,血小板減少を認め,ADAMTS13活性1.0%未満,ADAMTS13インヒビター3.2 BU/mlで,血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)と診断した。血漿交換とステロイドパルス療法により寛解に至った。7か月後に右手の痺れ,溶血性貧血,血小板減少を認め,ADAMTS13活性1.0%未満,ADAMTS13インヒビターは19.4 BU/mlで,TTPの再発を確認した。血漿交換とステロイドパルス療法に加えてrituximabを投与したところ,速やかに症状,血小板数ともに回復した。現在,本邦ではTTPに対するrituximabは保険適用外使用であるが,本症例のように80歳代の高齢者にもrituximabは安全に投与可能であり,再発時でもADAMTS13インヒビターが高値の場合には早期にrituximabを投与することで寛解に至る可能性が示唆された。

短報
  • ―アンケート調査―
    片桐 誠一朗, 田内 哲三, 齋藤 優, 勝呂 多光子, 浅野 倫代, 吉澤 成一郎, 作田 寿理, 赤羽 大悟, 田中 裕子, 古屋 奈穂 ...
    2016 年 57 巻 7 号 p. 873-876
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/08/05
    ジャーナル 認証あり

    We conducted a questionnaire survey to assess the state of patients with CML after discontinuation of TKI therapy. Nine of 27 patients developed musculoskeletal pain after TKI discontinuation. One had discontinued nilotinib and eight had discontinued imatinib therapy. Median time to symptom development after discontinuation was 2 weeks. Four experienced grade 3 symptoms as per the CTCAE ver. 4.0. One had pain persisting over a period of 21 months. There was a significant difference between patients with and without symptoms as regards female gender and the probability of persistent MMR. Awareness of this withdrawal syndrome after TKI discontinuation is imperative.

  • 辻 隆宏, 持永 洋美, 山崎 浩, 津田 弘之
    2016 年 57 巻 7 号 p. 877-880
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/08/05
    ジャーナル 認証あり

    An 83-year-old woman was admitted to our hospital with a severe headache and purpura. She had previously been diagnosed with idiopathic thrombocytopenia purpura (ITP) and achieved complete remission with steroid therapy. Steroid therapy had been completed one week prior to the current admission. The recurrence of severe thrombocytopenia (<1.0×104 platelets/μl) was detected and a CT scan revealed pituitary hemorrhage without pituitary adenoma. She received steroid therapy combined with intravenous immunoglobulin, which resulted in the amelioration of ITP and improvements in the pituitary hemorrhage. Intracranial hemorrhage, which is the most serious bleeding manifestation in ITP, is relatively uncommon. Pituitary apoplexy in ITP is extremely rare.

特集:小児血液疾患における遺伝子変異の探索
  • 真部 淳
    2016 年 57 巻 7 号 p. 881
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/08/05
    ジャーナル 認証あり
  • 伊藤 悦朗, 土岐 力, 照井 君典
    2016 年 57 巻 7 号 p. 882-890
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/08/05
    ジャーナル 認証あり

    遺伝性骨髄不全症候群(IBMFS)は,骨髄不全,外表奇形,発がん素因を特徴とする遺伝性疾患の総称である。臨床所見が極めて多彩であるため,診断が困難なことがしばしばある。主なIBMFSには,Diamond Blackfan貧血(DBA), Fanconi貧血(FA), 遺伝性鉄芽球性貧血(CSA), congenital dyserythropoietic anemia, Shwachman Diamond症候群,先天性角化不全症などがある。次世代シークエンサーを用いた網羅的遺伝子解析の進歩により,これらの疾患の原因遺伝子が次々と明らかにされてきた。本邦でも,全エクソン・シークエンスにより,DBA, FAや先天性血小板減少症の新規原因遺伝子が同定された。この総説では,IBMFSの病因を理解するために次世代シークエンサーを用いて行われたDBA, FA, CSAに関する本邦の研究成果を紹介する。

  • 高木 正稔, 浦山 ケビン
    2016 年 57 巻 7 号 p. 891-899
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/08/05
    ジャーナル 認証あり

    小児急性リンパ性白血病発症の遺伝的背景についてこれまで多くの研究がなされて来た。独立した因子に注目した症例対照研究からゲノムワイド関連解析(GWAS)へと研究の手法は変遷し,様々な小児急性リンパ性白血病発症にかかわる遺伝子多型が同定された。これまで薬剤・毒物代謝関連遺伝を中心に症例対照研究が数多くなされてきたが,GWASで得られた疾患感受性遺伝子座の多くは細胞分化に関連する転写因子に関連したものであった。今後の研究の進展がこれらのギャップを解消するものと考える。

  • 森山 貴也
    2016 年 57 巻 7 号 p. 900-909
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/08/05
    ジャーナル 認証あり

    小児急性リンパ性白血病(ALL)を代表とする血液悪性疾患の発症を考える上で,白血病細胞が呈する遺伝子変異の関与は古くから知られていたが,近年ではゲノムワイド関連解析(GWAS)の発達により生殖細胞系列(germline)の遺伝子変異も深く病気の発症に関与していることが知られるようになった。PAX5ETV6などの転写因子に対する生殖細胞系列変異が家族性ALLを引き起こすことが明らかになって以降,家族性ALLは従来考えられていたよりも臨床上まれな現象ではないと考えられ始めている。生殖細胞系列の遺伝子変異という特性上,変異が持つ意味合いは小児期だけに留まることではなく,生涯にわたる問題であり,またALL発症患者のみではなく病気未発症の血縁者(変異のキャリア)に対しても何かしらのアプローチの必要性を示唆している。本総説では特にPAX5およびETV6に関連した家族性ALLについて概説する。

  • 田中 庸一
    2016 年 57 巻 7 号 p. 910-918
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/08/05
    ジャーナル 認証あり

    小児白血病の治療で使用される薬剤は患者間で薬物動態や薬剤反応性に差があり,治療変更を必要とする患者が存在する。薬物治療への反応性の違いの要因として,遺伝要因がある。6-メルカプトプリン(6-MP)やメトトレキサートの反応性について,遺伝要因との検討が複数報告されている。6-MPに対する反応性の予測は,欧米人ではTPMT遺伝子多型が有用だが,日本人ではその多型頻度が約2%であり,有用性は低い。近年,アジア人種の6-MP反応性に関連が強い因子としてNUDT15遺伝子多型が報告されている。小児白血病治療で用いる薬剤と遺伝子多型との関連性は,欧米人を中心に報告されている。しかし,人種により多型頻度が異なることもあり,欧米人の報告が日本人に利用できるかは不明な点が多い。今後,日本人小児白血病患者において,遺伝要因と薬剤反応性との関連性を明らかにし,治療の個別化に繋げていくことが期待される。

  • 吉田 健一
    2016 年 57 巻 7 号 p. 919-924
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/08/05
    ジャーナル 認証あり

    急性白血病,特に急性リンパ性白血病は小児では最も多くみられる腫瘍であり,小児白血病の予後は近年極めて改善しているが,いったん再発すると予後は依然として不良である。近年,SNPアレイや次世代シークエンサーなどを用いた遺伝子解析により小児白血病再発のメカニズムや再発において重要な役割を果たしている遺伝子異常が明らかになってきている。

第77回日本血液学会学術集会
Symposium 2
  • 加藤 尚志, 前川 峻, 永澤 和道, 奥井 武仁, 谷崎 祐太
    2016 年 57 巻 7 号 p. 925-932
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/08/05
    ジャーナル 認証あり

    造血系は進化の過程で殆どの脊椎動物に保持され,中でも赤血球の存在は,脊椎動物に共通している。多様な動物種を対象とする比較生物学的アプローチは,生物の仕組みの理解の基礎になるのと同時に,未知の生体制御系の探索に展開可能である。最近ではゲノム情報を活用したオミクス解析や,全RNAシークエンシングなどの網羅的分子検索も可能になった。この技術革新によって,かつては分子実験手段を欠いた「非モデル」動物であっても,「モデル」動物化が急速に実現しつつあり,発見研究のパラダイムシフトとなりつつある。実験血液学においてもヒトやマウスに対象を限ることなく,様々な動物種の血球形態・機能,造血制御,造血因子の構造や作用などの解析を進めることによって,造血制御の多様性・普遍性の探求が可能である。特に動物の進化を考察する上で,赤血球造血は殆ど全ての脊椎動物で共有されている指標として位置づけることができる。

  • 布村 渉
    2016 年 57 巻 7 号 p. 933-943
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/08/05
    ジャーナル 認証あり

    地球が誕生して46億年,地球上に原始生命体が登場してから約38億年の歴史からすれば,Homo sapiens(ヒト属ヒト)の繁栄十数万年は点ほどにしかならない。原始的な生命体の営みによって地球上に酸素がもたらされ,多くの生物は酸素を利用することで,より効率のよいエネルギー産生系を確立してきた。好気的呼吸をする生物にとって酸素は不可欠であり,酸素運搬の担い手である赤血球は,その進化と共に機能や形状を巧みに変化させてきた。私達の興味は,哺乳類だけが他の脊椎動物と異なりエネルギーを使って核を放出すること,つまり,脱核することにある。生物の進化は偶然の重なりの結果であるが,その偶然によって子孫を残すに至ったことには相応の意味があるはずだ。赤芽球の脱核のメカニズムと生物学的意義について,進化学的視点に立ち,哺乳類と恐竜類が共に進化した中生代約2億年とヒトの赤芽球・赤血球の知見を統合して考察したい。

  • 杉山 大介, 田中 由香, 湯岑 綾子, 小島 直子
    2016 年 57 巻 7 号 p. 944-950
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/08/05
    ジャーナル 認証あり

    赤血球造血には,一次造血と二次造血の二つの波がある。マウス胎仔の二次造血は卵黄嚢で始まり,肝臓,脾臓,骨髄へと移行する。胎仔肝臓は,赤血球系細胞増殖・成熟が起こる主要臓器であり,SCF, TPO, IGF2等を発現するニッチ細胞の解析が活発に行われてきた。以前我々は,DLK1陽性肝芽細胞がEPO, SCF, 細胞外マトリックスを発現して胎仔肝臓造血に寄与することを報告した。肝芽細胞はタンパク質分解酵素をコードする遺伝子を高発現することから,高分子タンパク質がペプチド断片へ切断されて造血制御に寄与するという仮説に基づいて検討を行い,新規ペプチドKS-13を考案した。KS-13, およびその改変型であるSL-13Rは生体外でヒト臍帯血由来造血幹・前駆細胞数を増加させることが確認されている。本稿では,特にニッチ細胞に焦点を当てた胎生期赤血球造血の外的制御,ニッチ由来ペプチドの同定,将来の臨床応用について述べる。

  • 川端 浩, 坂本 宗一郎, 増田 太郎, 内山 達樹, 大森 勝之, H. Phillip KOEFFLER, 高折 晃史
    2016 年 57 巻 7 号 p. 951-958
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/08/05
    ジャーナル 認証あり

    赤血球造血系はヘム合成のために大量の鉄を消費する。造血に必要な鉄は主にマクロファージと腸管上皮から,トランスフェリン(Tf)と結合した形で供給される。最近,Tfの主な受容体であるトランスフェリン受容体1が,鉄貯蔵蛋白フェリチンの受容体でもあることが明らかにされた。正常造血系細胞の中では赤芽球が選択的にH鎖主体のフェリチン(Hフェリチン)を取り込む。高濃度のHフェリチンは赤血球造血を抑制する。もう1つのTfの受容体であるトランスフェリン受容体2は,肝臓ではヘモクロマトーシス関連蛋白のHFEと複合体を形成して鉄のセンサーとして働き,鉄代謝制御ホルモンのヘプシジンの発現に関わる。赤血球系前駆細胞ではエリスロポエチン受容体と複合体を形成し,赤血球数を調節する。本稿ではこれらの鉄と赤血球造血をつなぐ液性因子とその受容体に焦点を当てて,分子進化,構造,および機能について論ずる。

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