臨床血液
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58 巻 , 3 号
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Picture in Clinical Hematology
臨床研究
  • 小野澤 枝里香, 柴山 春奈, 今留 謙一, 廿楽 明穂, 小山 高敏, 三浦 修, 新井 文子
    2017 年 58 巻 3 号 p. 189-196
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/04/06
    ジャーナル 認証あり

    慢性活動性Epstein-Barrウイルス感染症(CAEBV)の炎症発症機構を解明するため患者試料を用いて炎症性サイトカイン産生を検討した。患者11名を解析した。患者血清では健常者と比較しIFN-γ,TNF-α,IL-6の濃度が有意に高値であった。患者末梢血単核球ではIFN-γ,TNF-α,IL-6のmRNA発現が健常者と比較し高い傾向にあり,中でもIFN-γが有意に亢進していた。CD4,CD8,CD56陽性細胞分画ごとの解析では,EBV感染細胞分画でこれらのmRNAが高い一方,非感染細胞でもこれらのmRNAの発現は認められた。In vitroでT細胞株MOLT4へEBVを感染させるとIFN-γ,TNF-α mRNAの発現が感染前と比べ亢進した。以上より,CAEBVでは炎症性サイトカインはEBV感染細胞のみならず非感染細胞からも産生されるが,感染細胞ではEBV自身が産生に寄与すると考えられた。

  • 鳥畑 さやか, 向井 隆雄, 内橋 隆行, 松永 和秀, 三木 仁美, 安本 実央, 安武 夏海, 芦田 綾那, 榎本 明史, 濱田 傑, ...
    2017 年 58 巻 3 号 p. 197-203
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/04/06
    ジャーナル 認証あり

    同種造血幹細胞移植では,移植前処置の影響で口腔粘膜炎を認めることが多い。今回,前処置をフルダラビン(FLU)+ブスルファン(BU)12.8 mg/kg (FB12.8群),FLU+BU 9.6 mg/kg以下 (FB9.6群),FLU+メルファラン(MEL)140 mg/m2(FM群)の3群に分けて,口腔粘膜炎の発症時期,持続期間,重症度を後方視的に比較した。口腔粘膜炎の発症率はFB12.8群でもっとも高かった。FM群での発症時期は全例がday 7であった。口腔粘膜炎の治癒までの期間は,FB12.8群では平均では13.5日だったが,FM群では24.9日と有意に遷延した(p=0.0009)。Grade 3の口腔粘膜炎の発症率はFM群がFB12.8群に比べて有意に高率であった(p=0.03)。以上のように,FB12.8群は高率に口腔粘膜炎を発症するが,重篤になることなく比較的早期に治癒するのに対し,FM群では発症頻度は低いものの,早期に発症して治癒までに長期間要することが特徴であった。

症例報告
  • 飯野 宏允, 小川 孔幸, 柳澤 邦雄, 清水 啓明, 三井 健揮, 石埼 卓馬, 早川 正樹, 松本 雅則, 野島 美久, 半田 寛
    2017 年 58 巻 3 号 p. 204-209
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/04/06
    ジャーナル 認証あり

    血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)に対する標準治療は血漿交換(PEX)とステロイド治療であるが,その初期治療に十分な効果を示さない難治例が存在する。今回我々はTTP再燃の徴候を把握し,リツキシマブを迅速に投与したことにより,救命し得た症例を経験したため報告する。症例は40歳女性。下肢紫斑と貧血・血小板減少で前医を受診し,意識障害も出現したため当科転院。TTPの4徴候を呈し,ADAMTS13活性<0.5%,同インヒビター力価4.4 BU/mlよりTTPと診断。PEXおよびステロイドパルス療法が奏効し,一時インヒビターは検出感度以下となるも,第6病日に意識障害が再燃し,血小板減少の増悪,インヒビターの再上昇(3.3 BU/ml)を認めた。難治性TTPと判断し,第7病日より計4回のリツキシマブ投与を行った。治療に反応し,第20病日には完全寛解となり,以降再燃なく経過している。本例の経過および最近8年間に当院で経験した難治性TTPの5症例に対するリツキシマブ使用経験から,その有用性を見出したため,合わせて報告する。

  • 村上 紘一, 森 毅彦, 加藤 淳, 清水 隆之, 小橋 澄子, 櫻井 政寿, 杉田 香代子, 長谷川 直樹, 村田 満, 岡本 真一郎
    2017 年 58 巻 3 号 p. 210-215
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/04/06
    ジャーナル 認証あり

    ヒトの口腔内常在菌であるCapnocytophaga species (spp.)による感染症の報告は少ない。我々はこれまでに造血器腫瘍治療後の好中球減少期にCapnocytophaga spp. による菌血症を発症した症例を4例経験したので報告する。菌血症を発症した時点で口腔粘膜障害を伴っていた症例は3例あり,2例はほかの菌種との混合感染であった。また2例はフルオロキノロン系抗菌薬が感染予防目的に投与されていた中で菌血症を発症した。全例が抗菌薬治療で改善し,その後の治療経過で再燃を認めなかった。近年,Capnocytophaga spp. ではフルオロキノロン系抗菌薬耐性株やβラクタマーゼ産生菌株の報告があり,フルオロキノロン系抗菌薬投与中のbreakthrough感染症や発熱性好中球減少症に対する経験的治療無効例の起因菌として注意が必要である。Capnocytophaga spp. は発熱性好中球減少症における起因菌の一つとして想起すべき菌種であり,今後,至適治療を確立するために症例および薬剤感受性を含めたデータの蓄積が必要である。

  • 池田 昌弘, 大庭 梨菜, 吉識 由実子, 新垣 清登, 武井 智美, 宮崎 寛至, 阿部 有, 塚田 信弘, 石田 禎夫, 鈴木 憲史
    2017 年 58 巻 3 号 p. 216-221
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/04/06
    ジャーナル 認証あり

    症例は32歳女性,妊娠11週。伝染性単核球症を発症し,寛解した2週間後に発熱・食思不振・両側季肋部痛を主訴に受診した。入院時の採血で白血球・血小板減少,フェリチンの上昇を認め,血球貪食症性リンパ組織球症(HLH)と診断された。診断時epstein-barr virus(EBV)の増加を認め,EBV-HLHと考えられた。胎児の温存を目指してdexamethasone単剤で治療を行ったが治療抵抗性であり,etoposide・cyclosporinを併用し,寛解を得た。現在,etoposide終了から10ヶ月の時点で寛解を維持している。妊娠中のEBV-HLHは稀であるが,妊娠に伴う細胞性免疫の変化がEBV-HLHの発症に寄与する可能性が指摘されている。

  • 佐賀 智之, 石原 敏道, 金川 実千代
    2017 年 58 巻 3 号 p. 222-227
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/04/06
    ジャーナル 認証あり

    Froin症候群は,髄液の膠様凝固,蛋白量増加,キサントクロミーという共通の所見を特徴とし,脊髄腫瘍によるクモ膜下腔閉塞や髄膜炎などで認められるが,血液腫瘍での報告はない。今回,Froin症候群を示した悪性リンパ腫髄膜浸潤の2例を経験した。症例1は66歳男性,末梢性T細胞リンパ腫-非特定型の再発に対する化学療法中に意識障害を認めた。症例2は84歳男性,びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫に対する化学療法中に両下肢の疼痛と麻痺を来した。髄液検査では2例ともFroin症候群を来しており,細胞診でリンパ腫細胞を認めた。著しい蛋白高値に比して細胞数は正常~軽度増加であり,細胞数と病勢は乖離していた。Froin症候群を来した血液腫瘍の報告は自験例が最初だが,異常所見が軽度のものを含めると潜在的な未診断症例が存在する可能性がある。血液腫瘍においても髄液検査に際してFroin症候群を念頭におく必要がある。

  • 熊谷 拓磨, 佐藤 葉子, 輿石 めぐみ, 大石 沙織, 末木 侑希, 中嶌 圭, 三森 徹, 桐戸 敬太
    2017 年 58 巻 3 号 p. 228-232
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/04/06
    ジャーナル 認証あり

    骨髄線維化は,原発性骨髄線維症(primary myelofibrosis, PMF)をはじめとする骨髄増殖性腫瘍で認められることが多いが,急性骨髄性白血病や悪性リンパ腫あるいは多発性骨髄腫などの様々な血液悪性腫瘍にも合併する。このため,骨髄線維化を認めた場合には,その基礎疾患を正確に診断することが重要である。PMFにおいては,約10%の症例はJAK2V617F,MPLもしくはCALR変異のいずれをも有しておらず,triple negative PMFとして知られる。Triple negative PMFとほかの疾患に起因する二次性骨髄線維化とを鑑別することは時に困難なことがある。今回我々は,当初triple negative PMFが疑われるも,18F-FDG-PETの所見をきっかけに,びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の骨髄浸潤と診断し得た症例を経験したので報告を行う。

  • 西浦 伸子, 氏本 大介, 藤田 二郎, 前田 哲生, 中川 幸延, 柏木 浩和, 織谷 健司, 冨山 佳昭, 金倉 譲
    2017 年 58 巻 3 号 p. 233-238
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/04/06
    ジャーナル 認証あり

    67歳男性。1ヶ月前から増大する右背部巨大筋肉内血腫,および著明な貧血を認め入院となった。また,10年前より水疱を伴う皮疹を下腿に認めていたが,今回の筋肉内血腫の出現と同時に,全身に皮疹の拡大を認めていた。APTTが119秒と著明に延長しており,第VIII因子活性は1%以下に低下,FVIII inhibitorは153.1 BU/mlと著増していたことから後天性血友病A(AHA)と診断した。皮疹の生検にてC3の沈着を認め自己免疫性水疱症(ABD)と診断,また甲状腺腫大および甲状腺特異抗体を認めたことより橋本病の合併も明らかとなった。遺伝子組換え活性型第VII因子製剤を使用し止血を図るとともに,免疫抑制療法としてprednisoloneおよびcyclophosphamideパルス療法を行いAHAおよびABDの改善を認めた。本症例は橋本病およびABDに合併したAHAとしては初めての報告である。

  • 寺倉 精太郎, 隂地 真晃, 入山 智沙子, 後藤 辰徳, 牛島 洋子, 島田 和之, 石川 裕一, 西田 徹也, 早川 文彦, 村田 誠, ...
    2017 年 58 巻 3 号 p. 239-242
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/04/06
    ジャーナル 認証あり

    心臓浸潤を伴う悪性リンパ腫は,その特殊な発症部位と稀な発症頻度から診断の遅れや治療選択に苦慮することが多い。今回我々は当院で経験された3例の臨床的特徴と治療経過について報告する。症例は32歳,74歳,64歳の男性で,3例とも右心系に心臓病変の主座を認めた。CTガイド下生検および開胸生検を施行し,1例は縦隔原発大細胞型B細胞性悪性リンパ腫,残る2例はびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫と診断された。3例とも心不全・不整脈の合併を認め,化学療法後の心不全・不整脈等の症状の一時的増悪の懸念から慎重を期して治療強度の低い化学療法あるいはステロイド投与から開始したが,後には治療強度を高めることによって2例で寛解導入が可能であった。心臓病変の存在により心不全および不整脈の合併を認める際は,悪性リンパ腫の可能性も念頭に迅速な画像診断・組織学的検索が必要であり,確定診断後には重篤な合併症なく化学療法が施行可能である。

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