臨床血液
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61 巻, 2 号
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Picture in Clinical Hematology
症例報告
  • 齊木 祐輔, 酒井 広隆, 内田 晶子, 上村 悠, 松縄 学, 磯部 泰司, 加藤 雅之, 富田 直人, 三浦 偉久男, 新井 文子
    2020 年 61 巻 2 号 p. 103-109
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/03/06
    ジャーナル 認証あり

    69歳,女性。白血球減少と血小板減少で当科を紹介された。異常前骨髄球は骨髄の70.5%を占め,MPO・CD33・CD117陽性,CD13弱陽性,CD2・CD34・CD56・HLA-DR陰性であった。染色体分析でt(12;17;15)(p13;q21;q22)を認め,FISHでPML-RARA融合シグナルが派生15番染色体にのみ検出された。急性前骨髄球性白血病(APL)と診断しATRAを開始した。PML-RARA陽性分葉核細胞(PMN)は2週目から末梢血に出現し6週目には陰性化し,PML-RARA陰性PMNは6週目から増加した。10週目に分子生物学的寛解を確認した。末梢血で経時的に腫瘍細胞の分化と正常造血の回復を定量することは,APLを安全に寛解導入する上で有用である。t(15;17)により形成される2つの融合シグナルのうち本例ではPML-RARAしか検出できなかったが,臨床像だけでなくATRAによる白血病細胞動態も標準転座のAPLと同様であった。これはAPLの発症にはPML-RARAの方が重要であることを示す細胞遺伝学的所見と考えられる。

  • 松浦 未乃莉, 輿石 めぐみ, 鈴木 潤, 鈴木 愛, 川島 一郎, 中嶌 圭, 桐戸 敬太
    2020 年 61 巻 2 号 p. 110-115
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/03/06
    ジャーナル 認証あり

    血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)では,自己抗体の出現などの自己免疫異常をしばしば伴う。また,少数例ではあるが骨髄線維化を伴う症例が報告されており,骨髄に浸潤した腫瘍細胞からのTGF-β等の産生が要因と考えらえている。一方,自己免疫が関与する骨髄線維症については,自己免疫性骨髄線維症(AIMF)という概念が提唱されている。AIMFにおける骨髄線維化は治療により速やかに改善するとされている。今回我々は,発症時にCoombs試験,抗核抗体,抗ds-DNA抗体,抗リン脂質抗体および寒冷凝集素が陽性であり,骨髄生検において高度の骨髄線維化(MF-3)を伴ったAITL症例を経験した。CHASE療法2コース後に,骨髄線維化は速やかに消失した。多彩な自己免疫異常の存在と臨床経過より,本症例で認めた骨髄線維化にはAIMF的な機序が関与していた可能性もある。

  • 小川 慶太, 田中 宏明, 久米 彩佳, 清水 亮, 糸林 詠, 鈴木 良夫
    2020 年 61 巻 2 号 p. 116-121
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/03/06
    ジャーナル 認証あり

    85歳男性。右眼瞼下垂・視覚異常を認め当院受診。単純MRIおよび血液検査にて異常所見を認めず重症筋無力症としてステロイド療法を開始したところ眼症状は自覚的に改善が見られていた。一方で食思不振が出現,増悪し,意識レベル低下,体動困難も認めたため,精査目的に入院となった。入院後に左眼内転障害および両側外転神経麻痺も認められるようになり,造影MRIにて複数の脳神経および一部の軟髄膜に造影効果を認めた。その後けいれん発作を惹き起こし,診断に至らないまま第10病日に死亡退院となった。剖検ではびまん性に混濁・肥厚したくも膜と,くも膜下腔に浸潤した異型リンパ球が指摘され,原発性軟髄膜リンパ腫(primary leptomeningeal lymphoma)の診断に至った。原発性中枢神経系リンパ腫の稀な一病型であり,画像所見から直ちに腫瘍性疾患を想定しにくいため,注意を要するべき疾患と考えられた。

  • 新井 康祐, 迎 純一, 秋山 めぐみ, 熊谷 二朗, 山本 晃
    2020 年 61 巻 2 号 p. 122-127
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/03/06
    ジャーナル 認証あり

    症例は76歳男性。息切れを契機に貧血を指摘され,当院に紹介された。網状赤血球と骨髄赤芽球の著減などから後天性赤芽球癆と診断した。CTでは両側肺野の斑状のすりガラス影と多発性縦隔リンパ節腫大を認めた。縦隔リンパ節生検により,idiopathic multicentric Castleman disease plasma cell type(iMCD PC type)と診断した。シクロスポリンを6週間投与したが効果はなく,プレドニゾロンに変更したところ,2週間後に網状赤血球が増加した。同時に肺野のすりガラス影は改善し,縦隔リンパ節腫脹も縮小した。赤芽球癆とCDを合併した症例は今までに3例報告されている。本例と同様にMCD PC typeと赤芽球癆の合併例は,いずれもステロイドを含んだ治療により網状赤血球の増加が得られている。赤芽球癆は第一選択にシクロスポリンを使用することが多いが,MCD PC typeとの合併例はステロイドを含む治療の方が有効である可能性がある。

短報
  • 宮澤 悠里, 石川 哲也, 杉崎 真人, 松本 彬, 明石 直樹, 内藤 千晶, 石埼 卓馬, 半田 寛
    2020 年 61 巻 2 号 p. 128-130
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/03/06
    ジャーナル 認証あり

    A 64-year-old male presented with a rapidly growing anterior mediastinal mass during the clinical course of atypical chronic myeloid leukemia. A needle biopsy performed for suspected myeloid sarcoma revealed the presence of Aspergillus abscess. Early diagnosis of mediastinal abscesses, which are associated with a high mortality rate, can prevent the progression of severity. Infectious abscesses should be considered for prompt qualitative diagnosis in patients with mediastinal masses. Thymoma, germ cell tumor, and malignant lymphoma are the most common anterior mediastinal tumors, whereas infectious abscesses should also be considered when myeloid sarcoma is suspected in patients with an underlying myeloid tumor.

誌上再現! Clinical Debate at JSH 2019
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