チロシンキナーゼ阻害薬(tyrosine kinase inhibitor, TKI)により,多くの慢性骨髄性白血病(chronic myeloid leukemia, CML)患者で長期の予後が得られる一方,CMLの日常診療においては,TKI治療の長期化に伴う有害事象マネジメントの重要性が増している。なかでも心血管系有害事象(vascular adverse events, VAEs)は,患者の生命に直結する疾患が多く含まれていることから,個々の患者状況に応じたTKIの選択を行い,リスクのある患者においては予防的な治療介入も含め適切に対処していく必要がある。本稿においては,TKI治療患者におけるVAEsについて,現時点で明らかとなっているその病態,および本邦で投与可能な5種類のTKIにおける合併頻度,さらにはリスクマネジメントについて最新の知見を含め概説する。
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