気候変動に関わって注目されるロシアの森林について、吸収源としての評価、共同実施の現状と課題を中心として、既存の研究・資料に基づいて検討を行った。最新の成果によればロシアの森林は年間およそ2億7,000万トン程度の炭素を吸収していると推測されているが、依然として推定誤差が大きく、今後の研究が必要とされている。また、撹乱による炭素の排出が大きく、森林火災によって年間1億2,700万トンが排出されている。森林火災は主として人為的な要因によって生じるとされており、この対策が大きな課題である。森林に関わる共同実施で実行中のものは1件のみであるが、植林・森林火災保護については多くのプロジェクトをつくれる可能性はある。ただし、リスクが大きいために、その担保措置を講じること、ロシア国内における体制整備を行うことが欠かせない。
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