近年、中山間地域各地で開設されている直売所は、地元産の農林産物やその加工品を消費者に直接販売し、新たなマーケティング手法として注目され、農林家経済に寄与することが期待されている。また、農林業・中山間地域側と消費者としての都市住民との交流の場としても位置づけられており、中山間地域活性化へのステップとしても期待されている。中山間地域の直売所において地場産品をどのくらい扱っているか、どのくらい地域のPR効果があるのか調査することにより、実際にどの程度農林家経済に貢献しているかを明らかにすることが求められる。そこで、本論文では約8割が中山間地域に立地している「道の駅」に着目し、2003年9月にアンケート調査を実施した。その結果、「道の駅」は、全国の農林水産物直売所の平均販売額と比較して規模が大きく、取扱品目も特に中山間地域においては農産加工品や特用林産物の取扱もある程度みられ、「道の駅」が中山間地域における地場産品の新たな市場性獲得、農林家経済への寄与という役割を一定程度果たしていた。また、「道の駅」の開業によって観光客が増加し、雇用効果もあったという直接的な経済効果と交流の増大も認められた。さらに、今後の対策として、減農薬・無農薬産物の取扱や栽培履歴の把握(トレサビリティの重視)等、食の安全・安心をより一層進める方向とともに、消費者と顔の見える関係でのサービスの充実化についても重視されていることが明らかになった。
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