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馬場 亮輔, 土屋 純
2016 年8 巻 p.
491-541
発行日: 2016年
公開日: 2026/09/05
ジャーナル
フリー
本研究は、体操競技の平行棒における「片腕支持1回ひねり支持(以下:ヒーリー)」の指導事例研究である。“単棒ヒーリー”を行うための基礎技である「ヒーリー」の運動技術と練習方法を、4 名の被験者を対象に指導し、馬場・土屋 (2015) の研究で明らかとされた技術習得のための練習方法を被験者への指導で検証すること、指導の個別の事例で問題解決に用いた練習方法を記述(報告)することを目的とした。
大学生体操選手4 名に指導を行った結果、各技術を習得し、「ヒーリー」を競技会で発表した者が2 名、競技会では発表できなかったものの練習時に一度以上成功させた者が1 名、キャッチ技術習得の練習段階まで進めることができた者が1 名という結果になった。
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短距離種目の重点強化による成功事例
塚越 さくら, 石井 泰光, 上野 みなみ, 黒川 剛, 山本 正嘉
2016 年8 巻 p.
472-490
発行日: 2016年
公開日: 2026/09/05
ジャーナル
フリー
電子付録
大学から自転車競技を開始した女子中距離選手が、4年間で全日本オムニアム選手権優勝に至った経緯について、短距離種目のパフォーマンス向上に着目して検討した。調査期間は2010 年4 月~2014 年8 月の4 年間とし、この期間に行ったトレーニングの内容、身体組成、体力要因の変化につい
て検討した。500m タイムトライアルの記録の改善状況をもとに、Ⅰ.初心者期、Ⅱ.ウェイト・短距離練習導入期、Ⅲ.パワー・技術改善期に分類した。Ⅰではロード練習を中心に行い、自転車競技に必要な自転車競技の専門的体力を向上させた。Ⅱでは短距離系の能力改善に重点を置いたバンク練習と
ウェイトトレーニングの導入によりパワーを出す感覚が掴めた。Ⅲでは、スタートから加速局面までの技術改善、最大パワーの向上、上肢および体幹の強化を行い、大幅なタイム短縮に繋がった。本対象者の競技力向上が成功した主な要因として、日本の競技者間ではこれまで重視されていなかった短距離
系の能力改善に重点を置いたこと、ウェイトトレーニングの工夫による筋力・パワーの向上、またスタートから加速局面における技術改善を図ったことなどが考えられ、これらは他の選手に対しても提案できる可能性が考えられた。
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小学校低学年・中学年・高学年を対象とした調査から
塩崎 七穂, 砂川 憲彦, 伊藤 博一
2016 年8 巻 p.
460-471
発行日: 2016年
公開日: 2026/09/05
ジャーナル
フリー
本研究では,小学1 年生(低学年),3 年生(中学年),5 年生(高学年)という幅広い学年の男女を対象に,メンコ遊びの成績とボール初速度との相関関係を検討した.また,得られた結果から,ソフトボール投げの記録を向上させる新たな教材・教具としてのメンコ遊びの可能性を学年別に考察した.3 年生男子と5 年生男子においては,メンコ遊びはソフトボール投げの記録を向上させる新たな教材・教具として有効である可能性があると考えられた.また,1 年生男子においては,メンコをひっくり返すほどの威力が未だ十分に備わっていない可能性があるため,メンコを的中させる技術を磨くことに重点を置くことが望ましいと考えられた.一方,1・3・5 年生女子にとっては,市販のゴム製コースターと体操マットを使用したメンコ遊びは難度の高いものであり,投げることの楽しさや喜びを味わうことができる(つながる)要素も少ないため,新たな教材・教具として導入することは適切ではないと考えられた.本研究で得られた知見は,小学校体育における各学年の指導内容の充実につながるものであると考えられた.
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中村 夏実, 藤田 英二, 竹島 伸生
2016 年8 巻 p.
449-459
発行日: 2016年
公開日: 2026/09/05
ジャーナル
フリー
電子付録
本研究は,バランスマスターを用いて大学カヌースプリント,セーリング,水泳選手の静的および動的バランス能を測定し,カヌー選手のバランス能の特徴を調べた。被験者はK 体育大学カヌースプリント,セーリングと水泳選手総数30名(平均年齢20.7 ± 1.2 歳)。バランステストは,バランスマスターを用い,バランス指標は重心移動(SV)と安定性の限界値(LOS)とした。SV は,固い台上および柔らかい台上での開眼および閉眼時とそれらを総合した変数(comp)で評価した。LOS は,初期到達点,最高到達点,反応時間,重心移動速度, 移動速度(MVL)および方向制御とした。テストは,左右前後斜め(前(F: 0 度), 右前 (RF: 45 度), 右(R: 90 度), 右後(RB:135 度),後(B: 180 度),左後(LB: 225度),左(L: 270 度),左前(LF: 315 度))の8方向条件と総合値(comp)を求めた。一元配置分散分析を用いて主効果(群間)を検討し,有意性が認められた場合には事後検定を行った。有意水準はP<0.05 とした。その結果,3群間の身長,体重およびBMI に有意差が認められなかった。静的バランス指標はいずれの指標も主効果(競技種目間)に有意性が認められなかった。動的バランス指標では,MVL で主効果(群間)に有意性が認められ,群間比較からカヌー選手が他の2群に比べてFMVL, RFMVL, LMVL とMVLcomp が有意に高かった。以上から,カヌー選手は水泳,セーリング選手に比べ,移動速度が速いという特徴が示された。しかし,カヌースプリントはカヤックとカナディアンと動作様式が異なることも明らかであり,これらの差異についてはさらに検討する必要がある。
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竹中 健太郎, 前田 明, 下川 美佳, 前阪 茂樹
2016 年8 巻 p.
438-448
発行日: 2016年
公開日: 2026/09/05
ジャーナル
フリー
電子付録
剣道における有効打突は、気剣体一致の打突がその条件となり、上肢(打突)と下肢(踏み込み)に動作の円滑な協調が求められる。剣道指導要領においては、その打突と踏み込みのタイミングについて「ほぼ同時に行わせる」ことが指導上の留意点として記されている。実際の鍛錬者における正面打撃動作のそのタイミングは、踏み込みよりも打撃が先行し、反対に初心者の場合は、打撃よりも踏み込みが先行する傾向が見られる。そこで本研究では、剣道鍛錬者の正面打撃動作における打撃から踏み込みまでの時間を定量することとした。専用に開発した時間差測定機器を用いて、鍛錬者126 名の打撃から踏み込みまでの時間を計測したところ、42.7ms(打撃から踏み込みまでの時間)で、打撃が踏み込みよりも先行することが明らかとなった。この結果は、気剣体一致における打撃と踏み込みのタイミングについての基準値を特定すると同時に、剣道初心者の指導における上肢と下肢の運動の協調面において、打撃と踏み込みのタイミングについての指標として活用できる。さらに、剣道鍛錬者においても正面打撃動作の習熟度を高めるための工夫に資する基礎資料としても、有益に活用し得ることが期待される。
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投球中の重心速度と投球速度との関係
綿谷 貴志
2016 年8 巻 p.
429-437
発行日: 2016年
公開日: 2026/09/05
ジャーナル
フリー
ウィンドミル投法は,ソフトボール競技にとって最も主流な投法である.本研究では,ウィンドミル投法中の重心速度と投球速度との関係について検証した.被験者は高校女子ソフトボール投手16 名であった.試技はウィンドミル投法によるストレート5 球とし,投球速度が最も大きかった試技を動作分析の対象とした.投球動作を「キック局面」「踏み出し局面」「リリース局面」の3 局面に分け,それぞれの重心平均速度を算出した.その後,各局面の重心平均速度と投球速度との相関分析を行った.その結果,キック局面および踏み出し局面における重心平均速度と投球速度との間に有意な相関関係が認められた.また,投球速度を向上させるうえでは,キック局面から踏み出し局面にかけて大きな重心速度を発揮し,リリース局面では重心速度を急激に減少させることが重要であることも示唆された.
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萩原 正大, 石井 泰光
2016 年8 巻 p.
411-428
発行日: 2016年
公開日: 2026/09/05
ジャーナル
フリー
本研究の目的は,セーリング競技における470 級のNT 選考レース時における選手艇の移動に関するGPS データを取得して,帆走局面別(スタート局面,アップウィンド,ダウンウィンド,リーチング)の帆走指標(帆走速度,帆走角度,VMG,帆走距離)における上位選手の特徴を検討した.その結果,以下の点が明らかになった.
1. スタート局面について,上位群では,スタート局面全体を通して,帆走速度とVMG が高く,特にスタート直後(0-5 秒後)から,すでに高い帆走速度とVMG を獲得していた.
2. アップウィンドについて,上位群では,帆走速度が高く,帆走角度が小さかった(帆走距離が短かった)ため,VMG が高かった.
3. ダウンウィンドについて,上位群では,帆走速度を高めることで高いVMG を獲得していた.一方で,帆走角度には,上位群と下位群に差が認められなかった.
4. リーチングについて,上位群では,ダウンウィンドと同様に,帆走速度を高めることで,高いVMG を獲得していた.
以上の知見は,セーリング競技(470 級)のNT 選考レースに出場するレベルの選手の特徴であり,国内トップレベルのレースで上位を獲得するための示唆になると考えられる.
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長谷川 太一, 藤田 英二, 竹田 正樹, 竹島 伸生
2016 年8 巻 p.
398-410
発行日: 2016年
公開日: 2026/09/05
ジャーナル
フリー
電子付録
本研究の目的は,ノルディックウォーキング(NW)に慣れた若年男性者15 名を対象に大型トレッドミルを用いて歩行速度と傾斜角度を変えたDiagonal style(DIA)とDefensive style(DEF)という2 種類のNWを行なわせ,筋電図(表面筋電図),酸素摂取量,エネルギー消費量やポーリング力などの指標を用いて,両歩行様式の生理的・力学的相違を検討することであった。対応のある3 元配置分散分析の結果から,僧帽筋,三角筋,広背筋,上腕三頭筋,大腿二頭筋,腓腹筋において主効果(歩行様式)が認められた。広背筋,上腕三頭筋,脊柱起立筋,大腿直筋,前脛骨筋において主効果(速度)が認められた。上腕三頭筋と腓腹筋において主効果(傾斜角度)が認められた。しかし,交互作用はいずれも認められなかった。筋活動水準はDIA が三角筋,広背筋,上腕三頭筋,腓腹筋で高く,DEF が僧帽筋と大腿二頭筋で高かった。ポーリング力は,主効果(歩行様式),(速度)および(傾斜角度),および交互作用(様式×速度)が認められたが,DIA がDEF より高かった。しかし,エネルギー消費量は,主効果(速度),主効果(傾斜角度)と交互作用(歩行様式×速度)で有意であったが,主効果(歩行様式)および交互作用(歩行様式×速度),(歩行様式×傾斜角度)と(歩行様式×速度×傾斜角度)が有意でなかった。今回の結果から両歩行様式では上肢と下肢の筋活動に若干の差異が認められたが運動中のエネルギー消費量に差異が認められなかった。そのため,いずれの運動もエアロビクス運動として同様の効果が得られるものとみられた。本測定ではいずれの指標ともに変動係数(CV)が極めて大きく,歩き方において個人差が大きいことが示され,対象者や,速度や傾斜角度など条件を変えて歩行様式の違いをさらに検討する必要があると考えられる。
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目付けの教えと基本技稽古の目付けに着目して
秋山 大輔, 磯貝 浩久, 萩原 悟一, 木村 公喜
2016 年8 巻 p.
388-397
発行日: 2016年
公開日: 2026/09/05
ジャーナル
フリー
本研究は,眼球運動測定装置を使用し,大学生剣道競技者がしかけ面と出ばな面の面技を打突する際,相手のどこを見ているのかという視線配置の特徴を明らかにすることを目的とした.被験者は,大学剣道部所属の男性11 名のうち,有効なデータであった7 名(年齢19.9±0.4 歳,段位3.3±0.5 段,競技歴13.6±0.9 年)を対象とした.上部(顔,目),中部(竹刀,拳,腕),下部(足)の注視領域割合の差異を検証した結果,しかけ面において,注視領域割合は中部が最も高く,次に上部が高かったが,中部と上部に大きな差はなかった.出ばな面の注視領域割合については,上部に集中して視線が配置される結果となった.中部の割合は低く,下部にはほぼ視線が配置されることはなかった.出ばな面の目付けにおいて,視支点を用い,周辺視を活用した目付けが実践されていることが確認できた.
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山地 啓司, 高山 史徳, 鍋倉 賢治
2016 年8 巻 p.
375-387
発行日: 2016年
公開日: 2026/09/05
ジャーナル
フリー
これまで呼吸筋トレーニングが非運動時に一定のリズムで深くゆっくりした速さで繰り返す呼吸法で行われているが、必ずしも一致したトレーニング効果が得られていない.そこで、本研究はランニング中にノーズクリップを鼻部に装着して行う呼吸筋トレーニングが生理的機能の改善やランニングのパフォーマンスの向上に有効であるか否かを追究した.被験者はランニング習慣を有する大学生及び院生8名(男子3 名、女子5 名)とし、ノーズクリップを装着する4 名(ノーズクリップ群)と装着しない(コントロール群)4 名に区分し、4 週間後に両群が交代してさらに4 週間トレーニングを行うクロスオーバー実験を行った.トレーニング前・4 週間後・8 週間後の3 回にわたり、トレッドミルを用いた漸増負荷テストを実施した.その結果、ノーズクリップ群にのみall-out に達した時の走速度が6 m(2.4%)、持続時間が0.6分(4.8%)それぞれ延長し、さらに、換気性閾値の走速度が13 m/min(7.6%)増加した(p < 0.05).しかし、有酸素的な生理的応答ではその増加を証明する原因を明らかにできなかった.今後は呼吸筋のトレーニング期間(1 か月以上)を長くして、パフォーマンス向上の生理的メカニズムを究明する必要があろう.
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村上 俊祐, 髙橋 仁大, 村松 憲, 佐藤 文平, 佐藤 雅幸, 小屋 菜穂子, 北村 哲, 前田 明
2016 年8 巻 p.
361-374
発行日: 2016年
公開日: 2026/09/05
ジャーナル
フリー
本研究では,テニスの打球の速度と回転数を計測できる新たな機器(トラックマン)による測定結果の傾向を確認する(研究Ⅰ)とともに,サービスのボール速度(以下,サービス速度)とボールの回転数(以下,サービス回転数)との関係について,日本の14 歳以下トップ選手,日本トップ選手,さらに村松ら(2015)の示した世界トップ選手のデータを比較し,異なる競技レベルにおけるサービスの速度と回転数の実態を明らかにした(研究Ⅱ).本研究で用いたトラックマンによるボールの速度と回転数の測定は,従来行われてきたハイスピードカメラ及びスピード測定器による測定と同等の精度があり,即時にフィードバックできることから,トレーニング現場で有用なデータを提供できると考えられた.異なる競技レベルの選手におけるボールの速度と回転数との関係を検討した結果,ボールの速度と回転数の関係から選手の競技レベルを評価できる可能性が示唆された.ボールの速度と回転数の両方で高い数値を示すような打球が,質の高い打球であると考えられた.
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小学生を対象として
細川 賢司
2016 年8 巻 p.
343-360
発行日: 2016年
公開日: 2026/09/05
ジャーナル
フリー
スポーツやフィットネスにおいてよく見られるスクワットやランジといった基礎的動作は,優れた運動能力を発揮するための重要な基盤である.FMS は7 つのスクリーニングテストによってそれらの動作の質的評価を行い,機能不全の特定及び機能的動作の実現をサポートする.動作の質的水準の低下や身体的不器用さを示す子どもの増加が懸念されている昨今,体育・スポーツの指導現場においてFMS が適切に用いられることで,幼少年の体力向上に寄与する可能性がある.しかし,幼少年におけるFMS と運動能力の関係を調査した研究は少なく,体育・スポーツの指導現場におけるFMS の有用性を示すには知見が不足している.そこで本研究は,84 名の小学校4~6 年生の男子を対象とし,7 つのFMS テスト及び4 つの運動能力テスト(50m 走・立幅跳・反復横跳・遠投)を行い,両者の関係を調べた.その結果,50m,立幅跳,反復横跳においてFMS の全種目との間に有意な相関が認められた.また,FMS トータルスコア及び運動能力総合得点の偏相関分析においても有意な相関が認められた.(r=0.45,p<0.01).
以上のことから,学童期におけるFMS を用いた基礎的動作の質的評価と運動能力の間には確かな関係があることが明らかになった.従って,学童期の子どもを対象とした体育・スポーツの指導現場において,FMS による基礎的動作の質的評価は,優れた運動能力発揮に寄与する機能的動作の実現に有用な情報を提供すると考えられる.
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山本 健之, 縄田 亮太, 山田 快
2016 年8 巻 p.
335-342
発行日: 2016年
公開日: 2026/09/05
ジャーナル
フリー
電子付録
バレーボールにおいて、スパイクに対するディグを成功させることは重要な要素である。なぜなら、相手の得点チャンスを阻止することに加え、ディグから攻撃につながれば自チームの得点チャンスも期待できるためである。また、トータルディフェンスのコンセプトからも、ブロックによってコースが限定されたスパイクに対するディグの成功数の増加が求められる。ディグの基本的な方法に関しては一般的な指導教本に詳細に記述されているが、実際のプレーにおいて、その方法を用いても速度の高いスパイクに対応できない場面がある。実際に筆者は世界トップレベル選手のスパイクを受けてきたが、指導教本の方法では対応できないことを実感した。さらに、筆者が様々なディグ場面を見てきて「勿体ない」「惜しい」という印象を持つことが多かった。そのような背景から、試行錯誤を繰り返し、速度の高いスパイクに対する有効なディグ方法を検討してきた。そこで本研究では筆者が考案した高速度スパイクに対する具体的なディグ方法を提案することとした。ポイントは、ハンズダウンで手は軽く組んだ状態で構え、ボールヒット時に膝を前に出して、ボールの下に腰を入れるようにしながら、肘を伸ばそうとしないことである。また、そのときにセッターに返球しようとせず、自チームのコート上に上げようとすることである。
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武者 由幸, 府川 明佳, 山田 成臣, 大西 一政, 山口 真, 山地 健人, 鈴木 公一, 神戸 絹代, 川島 一明, 小田 宗宏, 小 ...
2016 年8 巻 p.
318-334
発行日: 2016年
公開日: 2026/09/05
ジャーナル
フリー
陸上長距離選手のコンディションや競技パフォーマンスに及ぼす乳たんぱく質強化乳飲料(試験飲料)の継続摂取の影響を調べた。
試験飲料を16 週間継続摂取し、その間に、身体計測および血液生化学検査(0 週、4 週、8 週間後)を行うとともにVisual Analogue Scale(VAS)によるアンケート調査(0 週、4 週間後)も行った。その結果、高負荷のトレーニングによる体重、筋肉量の減少が見られたが、試験飲料の摂取によってクレアチンキナーゼ(CK)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、乳酸脱水素酵素(LD)の各検査値は改善された。血清浸透圧の検査値からは、水分保持機能の改善の可能性が考えられ、また、アンケート調査の結果からは、トレーニング後の口渇感、トレーニング翌朝の体調・体全体の疲労感に関するVASの数値の改善も見られた。そして、試験飲料の継続摂取16 週後に催された10,000m 走のタイムトライアルにおいて、13 名中12 名の選手が摂取前のベストタイムを更新した。以上の結果から、乳たんぱく質の継続摂取が、筋損傷の抑制や疲労感の改善をもたらし、コンディッション作りや競技パフォーマン
スの向上に寄与する可能性が示唆された。
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本山 清喬, 小森 大輔, 金高 宏文, 西薗 秀嗣
2016 年8 巻 p.
302-317
発行日: 2016年
公開日: 2026/09/05
ジャーナル
フリー
電子付録
フライングスプリット(以下FS とする)は,大腿四頭筋やハムストリングスを鍛えるトレーニング運動として広く実施されている.トレーニングの実践現場では,前脚における膝関節と足関節の位置関係の違いによる動作条件が異なったものが存在する.一つ目は,膝関節を足関節より前に出して踏み込む(四
頭筋型FS)もので,二つ目は膝関節を足関節より前に出さないように踏み込む(ハム型FS)ものである.本研究ではトレーニング運動としてのFS における前脚接地時の膝関節と足関節の位置関係の違いが前脚の関節トルクに及ぼす影響について,一名の被検者を用いて実験的に検証した.
その結果,ハム型FS は四頭筋型FS より接地局面で有意に大きな股関節伸展トルクを発揮していた.さらに,膝関節においてハム型FS は四頭筋型FS では生じていない屈曲トルクを接地局面で発揮していた.このことから,ハム型FS は四頭筋型FS よりもハムストリングスの力発揮が顕著で股関節伸筋群の活動が大きいことが推察された.
従って,トレーニング運動としてFS を実施する場合は,運動実践者が強化したい筋群に応じて動作条件を適切に選択することが重要といえよう.
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小木 智映子, 渡辺 輝也
2016 年8 巻 p.
284-301
発行日: 2016年
公開日: 2026/09/05
ジャーナル
フリー
電子付録
本研究の目的は初心者を対象とした卓球におけるフォアハンドドライブの新しい指導法を開発することにあった。そこでまず,卓球の指導書に掲載されたフォアハンドドライブの指導法,自分自身が初心者として経験した指導法,さらに指導者として初心者を対象にフォアハンドドライブの指導を実施するなかで辿りついた指導法を組み合わせることによって,14 の学習段階からなるフォアハンドドライブの新しい指導法を作成した。続いて,その指導法の有効性を検証するために,卓球を専門的に練習した経験をもたない大学生5 名を対象として,作成された指導法を利用した指導実験を行った。この指導実験では,課題達成までに要した学習時間に差はあるものの,5 名の被験者のうち4 名が90 分の学習を通して「フォアハンドドライブによる5 球目攻撃」(学習段階14)を習得することができた。また,残りの1 名の被験者についても,各々の学習段階の課題達成に他の被験者よりも相対的に長い時間を要したが,「攻めるフォアハンドドライブ」(学習段階12)を習得するという課題までは順調に達成することができた。
以上の結果から,本研究で開発された指導法には一定の有効性が認められた。
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エリートレベルのアイスホッケーキャンプ参加者のマインドセットの分析
デイビッド エルメス
2016 年8 巻 p.
252-283
発行日: 2016年
公開日: 2026/09/05
ジャーナル
フリー
本稿では、エリートレベルの短期キャンプに参加したアイスホッケー選手にインタビュー形式のアンケートを行い、得られた回答の分析を通して、彼らの考え方を考察した。16 歳から22 歳までの27 人の選手に対して、半構造化面接を実施し、今回のキャンプに参加した理由、キャンプやホッケー全般に対する個人的な目標、キャンプのコーチや他の参加者に対して期待するものを尋ねた。
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石原 暢, 黒田 裕太, 小松 鴻佑, 水野 眞佐夫
2016 年8 巻 p.
239-251
発行日: 2016年
公開日: 2026/09/05
ジャーナル
フリー
本研究は,大学バスケットボールプレーヤーを対象に,トレーニング前後の認知機能,主観的疲労感,主観的運動強度,およびフリースローパフォーマンスとの関係を明らかとすることを目的とした.対象はバスケットボール選手10 名とした.全ての対象者に対し1 時間のバスケットボールのトレーニングの前後でフリースローパフォーマンス,抑制機能と主観的疲労感の評価を実施した.トレーニング終了直後に主観的運動強度を測定した.認知機能の指標として,ストループカラーワードテストを用いて抑制機能を評価した.その結果,トレーニング前後でフリースローの成功率に変化は認められなかった.トレーニング前後で抑制機能は促進され,主観的疲労感が増大した.抑制機能の変化と主観的疲労感の変化および主観的運動強度の間に負の相関関係が認められ,また,抑制機能の変化とフリースロー成功率の変化の間に正の相関関係が認められた.本研究により,バスケットボールトレーニング前後で抑制機能が促進される一方で,主観的運動強度が高く,主観的疲労が増大した者は抑制機能促進が軽減されることが明らかとなった.フリースローの正確性の維持・向上には抑制機能が重要な役割を担い,主観的疲労,主観的運動強度はフリースローの正確性に与える影響が比較的小さいことが示された.プレーに伴う抑制機能の維持・促進を図ることでフリースローパフォーマンスの維持・向上に寄与することが提言された.
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石原 暢, 黒田 裕太, 川上 雄一, 水野 眞佐夫
2016 年8 巻 p.
229-238
発行日: 2016年
公開日: 2026/09/05
ジャーナル
フリー
テニス競技において,競技関連体力(例えば,敏捷性)が高い者は高い競技パフォーマンスを発揮することが示されているが,テニスシングルスプレー時の認知機能と競技パフォーマンスの関連は明らかとなっていない.本稿では,エリート女子ジュニアテニスプレーヤー対象とした,シングルスゲーム時の認知機能の経時的変化と競技パフォーマンスの関係の一事例を報告する.対象者は全国大会ベスト8 の実績を持つ14 歳の女子テニスプレーヤー1 名とし,シングルスゲーム時(1 セット)の認知機能と競技パフォーマンスを測定した.認知機能はLocal-global Task を用い,チェンジコート毎(2 ゲーム毎)に認知処理速度・正確性および注意シフトを評価した.競技パフォーマンスは2 名のテニスインストラクターの目視によりコートサイドで記録した.注意シフトとラリー中のショットのエラー,ポイント取得率に強い相関関係が認められ,注意シフトが低下したゲームにおいてショットのエラーが増大し,ポイント取得率が低下した.本研究により,シングルスゲーム時における注意シフトの低下を予防することが競技パフォーマンスの維持に寄与することが示唆された.
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津野 天兵, 井上 智博, 萬久 博敏, 和田 智仁
2016 年8 巻 p.
216-228
発行日: 2016年
公開日: 2026/09/05
ジャーナル
フリー
本稿では、チーム単位で実施可能な映像・分析サポート手法を提案するとともに、サポートに対するコーチおよび選手の反応からその有効性と今後の改善点を検討した。本稿で提案するサポート手法では、特別なシステムや機器を使用せずクラウドサービスやスマートフォン、表計算ソフトなど一般的に利用可能なもののみを使用し大学チームでも実施できるように配慮した。また、コーチからの要望に応じて大会期間中におけるクラウドを活用した遠隔サポートも試みた。これらの映像・分析サポートに対し、選手やコーチからはよい反応が得られた。提供した情報はトレーニング期から試合前後を含め頻繁に利用され、また選手もこれらが競技力向上に貢献していると感じており、本サポートが競技力向上の一助となり得たと考えられる。
今回実施した映像・分析サポートの手法は、他のチームや他の種目においても応用可能なところも多く、スポーツにおける情報通信技術活用の参考になると考えられる。
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石井 泰光, 榮樂 洋光, 布野 泰志, 萩原 正大, 中村 夏実
2016 年8 巻 p.
199-215
発行日: 2016年
公開日: 2026/09/05
ジャーナル
フリー
電子付録
The present study examined some physical factors involved in the hike-out duration of sailors differing in age and experience. The participants were 44 men and 20 women sailors who were competing in a sailing race. Measurements of the physical fitness of participants in the single hand group who were under 18 years old included a hike-out test, a 20-meter shuttle run, grip strength, push-ups, chin-ups, trunk curl-ups, and a wall-sit test. For the single hand and double hand groups of participants who were over 18 years old, isometric knee extension strength, a Wingate test (30 seconds), and 30-second sit-ups were added. Hike-out tests were conducted on a hike-out bench, keeping an isometric extension of the knees and hips. The goal for the hike-out posture was to keep the center of the thigh at the end of the bench, and keep the height of the shoulders at knee height. No differences were found in hike-out duration between the single hand under-18-years-old group, the single hand above-18-years-old group, and the double hand above-18-years-old group. On the other hand, regardless of gender, the hike-out duration at the international level was significantly longer than at the domestic level.
The correlations of hike-out duration with the 20-meter shuttle run and the trunk curlup test (for men only) results were significant. Aerobic endurance capacity was judged to be a physical factor for defining hike-out duration. In contrast, a significant correlation of hike-out duration with isometric knee extension strength, which had been reported in previous studies, was not observed. The present results suggest that the hike-out test proposed here may be a useful method for evaluating hike-out duration in sailing.
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髙山 史徳, 宮﨑 喜美乃, 山本 正嘉
2016 年8 巻 p.
180-198
発行日: 2016年
公開日: 2026/09/05
ジャーナル
フリー
本研究は,76.7 km トレイルランニングレースで女子総合優勝を果たしたトレイルランナーのレース16
週間前からのトレーニング状況,レース中のペースおよび心拍数の変動を基にレースの成功要因を提
示した.得られた主な結果を以下に示す.
1) 先行研究と比べ,トレーニング量は低い傾向にあったが,中強度以上のトレーニング時間が約5 割
を占めていた.
2) 鍛錬期においては,週末に連日して50 km 前後のトレイルランニングを行い高い負荷をかけていた
一方で,平日の負荷は低く,めりはりのあるトレーニングを行っていた.
3) レース約2 週間前に37 km トレイルランニングレースに出場した以降は,トレーニング量を著しく低
下させることでテーパリングを行っていた.
4) 過去に出場したレースに比べ,レース終盤に至るまで速いペースを維持し,心拍数も高かった.こ
れは,レースやトレーニング経験に加え,事前にペース戦略を立てたことが影響していると考えられ
る.
以上の結果より,本選手が優勝に至った要因として,起伏のあるコースを超長時間にわたり走る競技
に特化したトレーニングを行っていたのに加え,優れたペース配分能力を身につけたことが影響したと
考えることができる.
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藤田 英二, 幸福 恵吾, 竹田 正樹, 竹島 伸生
2016 年8 巻 p.
165-180
発行日: 2016年
公開日: 2026/09/05
ジャーナル
フリー
本研究は,地域在住で自立しているがフレイルな高齢者9 名を対象に8 週間に亘るノルディックウォーキング運動(NW)教室を開催し,機能的体力と歩行およびバランス能の評価における運動効果について検討した。測定項目は,機能的体力としてArm Curl(AC),Chair Stand(CS),Up & Go(UG),
Functional Reach (FR),Back Scratch (BS),Sit & Reach(SR)および12 分間歩行(TW),歩行およびバランス能として,普通と自発的最大速度による8m 歩行,20 秒間のその場足踏みテストを用いた。トレーニング時間と頻度は,20 分/日,2.2 ± 1.9 日/週であった。結果,機能的体力としてのAC,CS およびUG が有意に改善した。BS とTW は改善が認められなかった。一方,歩行およびバランス能では,自発的最大速度歩行時のストライド長のみに有意な増加が認められ,その他の項目には明らかな変化が認められなかった。以上から,フレイルな高齢者におけるNW の実践は,全身持久性能力や歩
行およびバランス能に対する改善が顕著でないが,筋力への効果が大きいように思われた。ストライド長は運動前に小さい人ほど大きな改善率を示したことから,日頃の運動や身体活動の低下が顕著である,より歩行能の低い人ほど改善が期待できることが考えられ,有効な運動様式とみられた。
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第28 回全日本大学女子駅伝で6 位初入賞(シード権獲得)を果たした事例をもとに
松村 勲, 金高 宏文, 小森 大輔, 中畑 敏秀, 瓜田 吉久, 田中 克典
2016 年8 巻 p.
152-164
発行日: 2016年
公開日: 2026/09/05
ジャーナル
フリー
本研究は,大学女子駅伝における目標達成のためのトレーニング戦略の一事例を提示するとともに,そのトレーニング戦略の有効性を検討したものである.本事例の対象チームは,全日本大学女子駅伝対校選手大会において2009 年は14 位であったが2010 年に6 位入賞し,九州地区での初のシード権を獲得したK大学陸上競技部の女子駅伝チームであった.その過程を分析ならびに検討した結果,女子駅伝チームの目標達成に向けたトレーニング戦略のポイントとして,以下のことが確認された.
1)目標設定は現実的で達成可能なものとすること.
2)目標達成に向け,なすべきトレーニング内容や状態を数値として明確に示すこと.
3)大会前(大会月)に出走者もしくはそれ以上の人数が,狙いとしたトレーニング内容(設定タイム)を実行(なすべき状態に)できるようにすること.
4)対象チームが従来から実践していた独自のトレーニング組み立て方を活用できていたこと.
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レセプション動作の修正を目指した3 か月間の取り組み
坂中 美郷, 村田 憲亮, 青木 竜
2016 年8 巻 p.
139-151
発行日: 2016年
公開日: 2026/09/05
ジャーナル
フリー
電子付録
本研究は、大学女子バレーボール部に所属するY 選手のレセプション動作を修正するための練習を3 か月間行うことによってレセプション技術が向上した事例を提示し、バレーボールにおける競技力向上のための基礎資料を提供することを目的とした。レセプションにおけるY 選手の問題点は、①両足を左右真横に開いて構えているために、前後のボールに対応できず、前のボールにはすぐに膝をつき、後ろのボールには上体の起立と後傾がみられること、②体に引き付けた腕を振り出すことによってボールをコントロールしようとしていることの2 点であった。問題点を修正する取り組みとして、「練習A:面づくり」、「練習B:チャンスボールを『ポン』と当てるだけ」、「練習C:ボールをセッターへ向けて転がす」の3 つを3 か月間実施した。その結果、動作の問題点を修正し、試合におけるレセプション成功率を向上させることができた。今回の取り組みは、Y 選手のパフォーマンス向上のために有効であったことが示唆された。
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投擲時の動作課題が槍の初速度に及ぼす影響を手がかりに
黒木 晋次, 本山 清喬, 松村 勲, 小森 大輔, 瓜田 吉久, 金高 宏文
2016 年8 巻 p.
128-138
発行日: 2016年
公開日: 2026/09/05
ジャーナル
フリー
本研究は,槍投げ初級者が導入練習として実施する目標立ち投げ練習の動作課題を検討するために,実験的に動作課題を変えた場合の投擲パフォーマンス(リリース時の初速度等)への影響を検討した.被験者は,槍投を専門とする大学競技者(専門群)5 人と槍投げ以外の陸上競技を専門とする大学陸上競技者(非専門群)5 人を対象とした.以下の異なる2つの動作意識で行う目標立ち投げ練習試技A と試技B を10m と15m の目標設置距離で行わせ,リリース時の初速度,右胴体の傾き及び起こし回転角度を比較した.試技A は槍のリリース後に右足を前方へ踏み出さないもので,試技B は右上半身(右胴体)を目標物に当てるような感覚で投げ,槍のリリース後に勢いで,右足を前方へ踏み出す方法である.
その結果,以下のことが明らかとなった.
1) 専門群,非専門群ともに,目標設置距離に関わらず,試技B は試技A に比べ初速度が有意に大きかった.
2) 右胴体の傾き及び起こし回転角度は,目標設置距離に関わらず,試技B が試技A に比べ左足接地時からリリースまでの上半身の前方への移動が有意に大きく,身体がより前に倒れながら槍をリリースしていた.
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西谷 直樹, 大沼 勇人, 立正 伸
2016 年8 巻 p.
117-127
発行日: 2016年
公開日: 2026/09/05
ジャーナル
フリー
電子付録
本研究の目的は,歩隔の違いが,短距離走中の速度および動作に及ぼす影響について明らかにすることであった.大学の陸上競技部に所属する男子選手7 名に自由試技(Free)および2 種類(0 cm,40cm)の歩隔の条件下で,最大努力の60 m 走を行わせた.疾走動作の撮影を4 台のハイスピードカメラを用いて行い,身体の11 箇所に貼付した反射マーカーの三次元座標値を取得した.また,各マーカーの座標値を矢状面および水平面に投影し,疾走動作を分析した.分析によって得られた時空間変数および下肢動作等のデータについて,3 つの条件間で多重比較を行った.その結果,走速度は,歩隔の違いによる影響を受けなかった.しかし,ステップ長は,0 cm 試技よりも40 cm およびFree 試技で有意に長かった.一方,ステップ頻度は,40 cm 試技よりも0 cm 試技で有意に高かった.また,他の試技に比べ,40 cm試技では,スイング期の膝関節最小角度,接地時の膝および足関節角度が大きく,支持期中の水平面の骨盤回旋角度の振幅が小さかった.本研究により,異なる歩隔で短距離走を行った場合,中間疾走局面の走速度は変化しないものの,ステップ長およびステップ頻度,下肢動作は変化することが明らかとなった.これらの結果は,トレーニングにおいて,歩隔を変えることが,疾走のパフォーマンス向上を目的としたステップ長やステップ頻度を操作する技術トレーニングの手段の一つとして有効であることを示唆するものである.
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平田 圭, 吉本 隆哉, 山本 正嘉
2016 年8 巻 p.
100-116
発行日: 2016年
公開日: 2026/09/05
ジャーナル
フリー
The present study reports successful treatment of a long-distance runner who could not train for three months because of pain in his right foot. He was given a positive rehabilitation training program that was developed based on an unconventional idea, and, after his return to running, greatly improved his best record in the 5000-meter run.
The participant was a male university long-distance runner who specialized in 5000- meter runs. During training on August 8, 2014, he got plantar fasciitis in the bottom of his right foot. For three months after that, he received rehabilitation training including bicycle exercise using a bicycle ergometer and water exercise. The purpose of this was so that he could feel that his running training strength and subjective motion strength corresponded.
After the rehabilitation training, he improved his best record in the 3000-meter and 5000-meter runs 20 and 28 days respectively after his return to racing.
These results suggest that positive rehabilitation training after foot trouble may not only limit the decrease in physical strength but also improve the athlete’s running performance after returning to the sport.
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3・4 歩目の跳躍歩の延伸を目指した1 事例の検討
小森 大輔, 近藤 亮介, 松村 勲, 瓜田 吉久, 金高 宏文
2016 年8 巻 p.
88-99
発行日: 2016年
公開日: 2026/09/05
ジャーナル
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電子付録
本研究では、助走路に接地位置の目安マーカーを設置した状態で立五段跳を行わせ、その際の総跳躍距離および各跳躍歩に及ぼす即時的な影響について報告するとともに、目安マーカーを用いた立五段跳トレーニングの可能性を探った。対象は、大学男子混成競技者1 名であった。効果の検証には、5 歩の総和である総跳躍距離、各跳躍歩の跳躍距離・接地時間・滞空時間・跳躍速度、測定前後における各跳躍歩の跳躍比率、連続写真を用いた。なお、本研究で設定した目標跳躍比率は、1 歩目から順に14.9%、17.4%、19.6%、21.1%、26.9%であった。
Pre 測定の跳躍比率は1 歩目から順に14.8%、17.2%、18.3%、20.4%、29.3%であった。目標跳躍比率を用いた結果、Post 測定の跳躍比率は1 歩目から順に14.3%、17.2%、19.0%、21.0%、28.5%へと変化し、目標跳躍比率へ近づいた。特に、3・4 歩目の跳躍距離ならびにその割合が大きくなり、総跳躍距離が15.32m から15.51m まで0.19m 延伸し、即時的効果が認められた。
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インタビュー調査からの検討
村上 貴聡, 平田 大輔, 佐藤 周平
2016 年8 巻 p.
76-87
発行日: 2016年
公開日: 2026/09/05
ジャーナル
フリー
審判員は試合を円滑に進行していく必要があるにも関わらず,選手,観客,メディアなどから多様なプレッシャーがかかる状況下にある.試合の生起に関わる重要な立場の割に,これまで審判員における心理特性の検討は行われていなかった.そのためトップレフェリーの心理特性を明らかにすることは,
現場での実践に貴重な示唆を与えると考えられる.そこで,本研究ではトップレフェリー7 名を対象に,審判員に必要な心理特性についてインタビュー調査を行い,探索的に検討した.内容分析を行った結果,7 つのカテゴリー(心理的スキルの発揮,心理技法の活用,状況認識,コミュニケーション,態度・表情,モチベーション,審判規則の習熟)が抽出された.今後は,本研究を基礎資料として,トップレフェリーの心理面に関する情報や審判員特有のメンタルトレーニングプログラムなどを提供することが期待される.
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田村 充, 蔭山 雅洋, 枦木 翔, 中村 夏実, 前田 明
2016 年8 巻 p.
64-75
発行日: 2016年
公開日: 2026/09/05
ジャーナル
フリー
電子付録
本研究は, 高校カヤックカヌー選手を対象に, 脚伸展を伴う片手牽引トレーニングがカヤックカヌースプリント競技の50m 全力漕タイムに及ぼす影響を明らかにすることを目的とした.
被検者は, 高校男子カヤック選手12 名とし, 脚伸展を伴う片手牽引トレーニングを行うトレーニング(Tr) 群6 名と行わないコントロール (Con) 群6 名に分類した. 脚伸展を伴う片手牽引トレーニングは,左右各12 回×3 セット (セット間の休息時間は2 分) とし, 週3 回×4 週間で計12 回行った. トレーニング前後の測定値を対応のあるt 検定を用いてそれぞれで比較した結果, Tr 群は, カヌーエルゴメータおよび水上での50m 漕タイムが有意に短縮した (p < 0.05). またTr 群は, 最大および平均の発揮パワーが, 有意に増大した (p < 0.05). 一方, Con 群は, トレーニング前後に有意な差は認められなかった. これらの結果より, 脚伸展を伴う片手牽引トレーニングは, 最大および平均の発揮パワーが増大することに加え, カヌーエルゴメータおよび水上の50m タイムが短縮することが示唆された.
よって, 脚伸展を伴う片手牽引トレーニングは, 50m 全力漕タイムを改善するための有効なトレーニングであると示唆された.
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室伏 由佳, 水落 文夫, 谷田部 かなか, 藤谷 博人, 武者 春樹
2016 年8 巻 p.
47-63
発行日: 2016年
公開日: 2026/09/05
ジャーナル
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本研究の目的は, 陸上競技ハンマー投選手が,オリンピックに向けて準備・調整を行う過程において有用なパフォーマンスの評価指標について検討することである. そのために,オリンピック4 大会(2000-2012 年)とオリンピック本番までに出場した当該シーズンの競技会(事前競技会)におけるリザルトデータを収集した. オリンピックの記録(OG)とシーズンベスト(SB)に対する達成率(OG/SB), 事前競技会記録の個人内平均値(AVG)と標準偏差(SD)を求めた. これらの評価項目間の関係性ならびに, オリンピックの成績との関連性を検証した.
1) 投擲競技では, PB やSB を基準に-4%までの記録をトップコンディションと評価すべきと提案されている. 男女ともに決勝進出した上位群は下位群に対して, OG/SB の平均値が有意に高く, トップコンディション値を超えていた.
2) OG に対するPB, SB, 事前競技会記録と事前競技会トップ3 記録(TOP3)の各AVG および SD の相関分析の結果, 男女ともに、事前競技会AVG>TOP3AVG>SB>PB, の順に中等度以上の正の相関が認められた.
以上より, 事前競技会AVG とOG との間にもっとも強い関連性が認められたことから, PB やSB を目指すことのみならず,事前競技会AVG を高めるよう努めることが,オリンピックでの好ましい結果につながりうることが示唆された. 更に, PB は他の指標よりOG との関連が低かったことから,PB との対比以外のパフォーマンス評価方法として, SB ならびにSB に対する-4%記録を併用することが,準備過程におけるパフォーマンスの適正評価という点において有用であると考えられる.
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ある中学男子剣道競技者の誤習得・改善過程の事例分析より
近藤 亮介, 金高 宏文
2016 年8 巻 p.
36-46
発行日: 2016年
公開日: 2026/09/05
ジャーナル
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剣道競技における冴えのある打撃に関連する「手の内」の問題は,打突指導において必ず当面する問題であるといわれている.筆者は中学1 年生時に誤った打突動作における手の内を習得(誤習得)したことを契機に,打突技能を低下させた.
本研究では,筆者が中学生期に経験した動作改善過程の事例分析より得られた実践知について報告する.重要と考えられた主な実践知は,以下の3 つであった.
1. 使用する竹刀の規格変更を行った際には,竹刀の長さや重さの増加に起因して打突動作時の動作感覚に違和感が生じていないか,特に右手・右腕の力みがないかを点検する必要がある.
2. 打突動作時に右手・右腕に力みを生じている者が伸びのある打突動作へと改善するためには,右手を左手側にわずかにずらす手の内によって打突動作を行うことが有効と考えられる.
3. 右手・右腕が過度に力んだ打突動作を身につけてしまった際の改善法として,まずは極端に右手を左手側に近づけた状態で大きな素振り(伝達型素振り)を行い,剣尖への力の伝達感を確認・補強することが有効と考えられる.
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小学5 年生を対象とした調査から
渡辺 利信, 砂川 憲彦, 佐藤 和, 伊藤 博一
2016 年8 巻 p.
24-35
発行日: 2016年
公開日: 2026/09/05
ジャーナル
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電子付録
ソフトボール投げの記録を向上させるためには,上肢の振り動作よりもむしろ投動作の起点である下肢動作の改善が重要である.特に,踏込脚の膝関節伸展動作と,その際の足底への大きな荷重を獲得することは重要である.
スポーツ医科学の分野において投動作トレーニングとして注目されている「真下投げ」では,踏込脚の膝関節伸展動作が顕著に現れ,その際の足底への荷重最大値は通常の投球時よりも増大する.この真下投げは,日本の伝統的な外遊びである「メンコ」を模倣した投動作トレーニングである.
そこで本研究では,ソフトボール投げの記録を向上させる新たな教材・教具としてメンコ遊びが有効であるのではないかと考え,小学5 年生を対象にメンコ遊びの成績とソフトボール投げの記録との相関関係を検討してみた.その結果,男子においてのみ,メンコ遊びの成績が良い子どもはソフトボールをより遠くに,より速く投げられることがわかった.以上から,男子においては,メンコ遊びの成績を向上させることでソフトボール投げの記録が向上する可能性がある.
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大垣 亮, 桑原 康平
2016 年8 巻 p.
14-23
発行日: 2016年
公開日: 2026/09/05
ジャーナル
フリー
本研究は,男子大学生ハンドボール選手を対象に,プレシーズン期に肩関節の関節可動域と回旋筋力を測定し,肩関節の傷害リスクの有無でその特性を比較した.男子大学生ハンドボール選手15名が本研究に参加した.過去に投球時に肩痛を経験した選手や,前方不安定性を有する選手,腱板機能に対するスペシャルテストで陽性が有った選手は,リスク群(6名)に分類し,他の選手は健常群(9名)に分類した.全ての選手は,投球側および非投球側の肩関節可動域と,回旋筋力を測定した.プレシーズン期で関節可動域は著明な差はなかったが,肩関節の傷害リスクが高い選手では,投球側の肩外旋筋力が低かった.肩外旋筋力は,男子大学生ハンドボール選手におけるプレシーズン期のメディカルチェックで重要な評価になると考えられた.今後は,傷害リスクの高い選手に対する肩外旋筋力の改善が,傷害予防に貢献するかを確認する必要があると考えられた.
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中須 賀巧, 阪田 俊輔, 杉山 佳生
2016 年8 巻 p.
01-13
発行日: 2016年
公開日: 2026/09/05
ジャーナル
フリー
本研究の目的は,運動部活動における動機づけ雰囲気が自己開示,満足感に及ぼす影響について検討することである.大学の運動部活動に所属する選手138 名(男子80 名,女子58 名,平均年齢20.1±1.04 歳)を対象に調査を実施した.調査内容には,運動部活動における動機づけ雰囲気測定尺度(熟達雰囲気4 項目,成績雰囲気4 項目),自己開示測定尺度(4 項目),満足感(クラブ自体への満足感2 項目,部員への満足感2 項目)を設定した.変数間の影響を検討するために共分散構造分析を行った.分析の結果,成績雰囲気は自己開示および両方の満足感(クラブ自体への満足感,部員への満足感)と影響を示すパスは確認されなかった.一方,熟達雰囲気は自己開示に影響を与え,その自己開示が両方の満足感(クラブ自体への満足感,部員への満足感)に影響を与えることを示すパスが確認された.これは,熟達雰囲気であると強く認知されることによって,選手の自己開示が促進され,クラブ自体やそこでの部員との人間関係に対して満足だと思えるのではないかと示唆される.以上のことから,将来的に運動を継続するためには,熟達雰囲気を強調した運動部活動を実施していくことが重要であると考えられた.
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