スポーツパフォーマンス研究
Online ISSN : 2187-1787
9 巻
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  • 藤井 慶輔, 小山 孟志
    2017 年9 巻 p. 542-556
    発行日: 2017年
    公開日: 2026/08/08
    ジャーナル フリー
    多くの球技などのスポーツにおいて、競技レベルが上がるに従い、競技特有の身体接触や加減速などの動きの激しさが増すため、選手の運動出力が大きくなり、その一方で生理的応答が増大する。これらは高い競技レベルの相手との試合で初めて計測できると考えられるが、未だ定的に明らかになっていない。そこで本研究ではバスケットボールを対象に、経験的仮説である、高い競技レベル相手に後半で負荷が蓄積して何らかの運動出力や生理的応答の変化が見られる、という仮説を検証した。対象チームは関東大学バスケットボール連盟1部に所属するチームとし、対戦チームは同2 部、同1 部、B リーグ1 部(プロ)との各1 試合、計3 試合を計測した。試合前半においては、競技レベルが高いプロ相手には運動出力のレベルを高める傾向があるものの、心拍応答に関しては相手の競技レベルに関係ない傾向にあることが示された。しかし試合後半においては、移動距離・速度は対プロにおいても高いレベルを維持していたものの、出場時間あたりの高加速度の頻度は4 名中3 名で低下し、心拍最大後の最小値は2 名中2 名が増加(心拍の回復が低下)したことが明らかとなった。計測した選手数が少ないため今後はより多くの試合を計測する必要があるが、これらの指標が高い競技レベル相手に生じる物理・生理的負荷を示す指標になりうる可能性が示唆された。
  • 伝導技術に着目して
    佐藤 友樹, 土屋 純
    2017 年9 巻 p. 528-541
    発行日: 2017年
    公開日: 2026/08/08
    ジャーナル フリー
    マット運動における「伸膝前転」について、指導に必要な情報はすでに多く明かされているが、現在も習得・習熟のための指導方法あるいは練習方法の研究をしていく必要性がある。そこで、本研究では指導の実践Ⅰで小学生1 名、指導の実践Ⅱで小学生2 名を対象として、マット運動における「伸膝前転」の指導を行い、この技の技術獲得のための練習方法について有益な知見を得ることを目的とした。その結果、各対象者は伸膝前転の運動経過における腰角を大きく開く動作の習熟レベルが向上し、本指導で用いた練習方法が伝導技術における腰角を開く動作の習得・習熟に有効であることが示唆された。
  • 単一事例による実験的検討
    濱中 良, 永原 隆, 松尾 彰文, 小森 大輔, 加藤 忠彦, 近藤 亮介, 金高 宏文
    2017 年9 巻 p. 512-527
    発行日: 2017年
    公開日: 2026/08/08
    ジャーナル フリー
    本研究は,三段跳における異なる助走歩数による跳躍練習のための基礎資料を得ることを目的とした.そのために,大学男子三段跳競技者一人を対象に,助走歩数を2 歩から18 歩まで段階的に伸ばす際に,助走速度ならびにホップ・ステップ・ジャンプの跳躍パフォーマンスとそれに影響する変数(跳躍距離,支持時間,速度,地面反力,力積)がどのように変化するかについて,50m にわたり連続的に計測が可能な圧力板走行路を用いて検証した.また,折れ線回帰分析を用いて,助走歩数と跳躍パフォーマンスとの関係性の変化がどの歩数で生じるかについて検討した.その結果,助走歩数を増加させていく三段跳の跳躍練習では以下の点に留意して行うとよいと考えられた. ① 助走歩数8 歩(約15m)以下の場合と12 歩(約25m)以上場合における助走歩数の増減の影響がキネマティック変数で大きく異なる. ② 助走歩数8 歩(約15m)以下の場合は,助走歩数の増減で跳躍パフォーマンスの変数が大きく変動することに注意して行うべきであろう. ③ 12 歩(約25m)以上場合では助走歩数の増減で全助走と大きな差異が生じないことを理解し,練習の目的や体調に応じて活用するとよいであろう. ④ ステップ,ジャンプの踏切における水平速度の減少を最小限にできるように動作することを重視し,身体を鉛直に加速し持ち上げることに余り留意しないでよい可能性がある.
  • 肩甲骨周囲筋機能不全の一症例
    長﨑 進, 福島 秀晃, 三浦 雄一郎, 森原 徹
    2017 年9 巻 p. 501-511
    発行日: 2017年
    公開日: 2026/08/08
    ジャーナル フリー
    電子付録
    男子体操選手における肩関節脱臼術後の吊り輪競技復帰に向けたリハビリテーションを検証した.検証作業として倒立・懸垂動作及び吊り輪動作における肩甲骨周囲筋群(僧帽筋各線維・前鋸筋)の動作筋電図を施行した.得られた筋電図波形から倒立と懸垂動作課題において健側との比較を行った.対象者は懸垂及び吊り輪動作において患側の肩甲骨挙上・内転筋(僧帽筋上部・中部線維)と下制筋(僧帽筋下部線維・前鋸筋)の筋活動に漸増・漸減パターンが認められなかった.リハビリテーションとして肩甲骨挙上・内転筋と下制筋の筋活動に漸増・漸減パターンを再獲得する目的として,重錘を持たせた側臥位での肩関節外転-内転運動を行った.運動療法後,吊り輪動作が可能となり,運動療法前・後における吊り輪動作の筋活動パターンに改善を認めた.体操競技復帰を目指したリハビリテーションでは筋力強化に加えて肩甲骨周囲筋の円滑な筋活動パターンの再獲得を行う運動療法が必要である.
  • 大石 祥寛, 渡邊 夏海, 蔭山 雅洋, 亀田 麻依, 前田 明
    2017 年9 巻 p. 481-500
    発行日: 2017年
    公開日: 2026/08/08
    ジャーナル フリー
    本研究は,低負荷全力ペダリングトレーニングが球技スポーツ選手4 名の疾走能力に及ぼす影響について検討した.トレーニングは負荷1.0 kp での7 秒間の全力ペダリング運動を用い,5 本 × 2 セットを週3 回4 週間実施した.疾走能力の評価として25 m 走タイムおよび0―10 m 区間のピッチ・ストライドの変化を観察した.その結果,25 m 走タイムは4 名中3 名が短縮した.また,0―10 m 区間のピッチ・ストライドのトレーニング前の特性およびトレーニングによる変化はそれぞれの被検者で異なるものであった.各被検者の疾走の変化様相を検討した結果,4 週間の低負荷全力ペダリングトレーニングは,スタートダッシュ時のピッチが低い球技選手やショートスプリント後半の加速率が低い球技選手に対しては疾走能力向上の有効性が高く,スタートダッシュ時のピッチの優位性が高い選手には有効ではないものと考えられた.
  • 橋本 直, 森 寿仁, 黒川 剛, 山本 正嘉
    2017 年9 巻 p. 466-480
    発行日: 2017年
    公開日: 2026/08/08
    ジャーナル フリー
    チェーンにかかる力の動態を定量できる自転車エルゴメーター(Wattbike,Wattbike 社製,UK)を用いて,自転車競技のロード競技で求められるペダリング技術を定量的に評価することを試みた.被験者は男子大学生8 名とし,その内訳は自転車競技ロード選手3 名,トラック選手3 名,自転車競技の未経験者2 名であった.各被験者は回転数を95rpm に固定して,様々な仕事率で多段階のペダリング運動を行った.その結果,ロード選手ではトラック選手や自転車競技の未経験者に比べて,同一の仕事率におけるチェーンにかかる力の最大値(Max.F)が低く,最小値(Min.F)が高い傾向を示すとともに,Max.F に対するMin.F の割合も高値を示した.また,ペダリングの再現性の指標として算出したMax.FやMin.F の変動係数(CV)についても,ロード選手が最も低い値を示した.したがって,これらの指標を用いることで,ロード選手に求められる技術のよしあしを定量的に評価できることや,その評価結果をもとにトレーニング処方にも活用できる可能性が考えられた.
  • 細川a 賢司, 佐藤 哲史
    2017 年9 巻 p. 437-465
    発行日: 2017年
    公開日: 2026/08/08
    ジャーナル フリー
    電子付録
    現在,幼児の体力は継続的に低下傾向を示しており,特に調整力の未発達が懸念されている.そこで本研究では,保育現場での利便性・実用性に優れたコーディネーション運動として「ライントレーニング(佐藤,2015)」に着目し,5 歳児を対象にその成就度を検証した.対象は,兵庫県の私立保育所に在籍する5 歳児クラス15 名(男子8 名,女子7 名)であった.約1ヶ月の事前実践期間と約2 ヶ月(10 週間)の本実践期間を設定し,本実践期間の前半約1 ヶ月(5 週間)ではライントレーニングの基本ステップ,後半約1 ヶ月(5 週間)では応用ステップの指導・実践を,20~30 分/回/週の頻度で行った.ステップの習得状況については,毎週成就度判定テストを行い,0~3 点の4 段階で評価した.その結果,本実践期間の前半を通して,基本ステップの成就度得点は全ての種目で有意に向上し,80%以上の幼児が2 点(テンポは一定ではないがミスなくステップを完了できる)以上を獲得した.また,本実践期間の後半を通じて,全ての幼児で10 種類以上の基本・応用ステップが習得された.以上の結果から,今回実施したライントレーニングの基本・応用ステップは,短時間・短期間の指導・実践によって成就度の有意な向上と多様なステップの習得が認められ,保育現場における運動指導・援助方法の1 つとして十分活用可能であることが明らかになった.
  • 「突っ込み型」と「横落ち型」に対する事例から
    小山田 和行
    2017 年9 巻 p. 428-436
    発行日: 2017年
    公開日: 2026/08/08
    ジャーナル フリー
    電子付録
    中学校の保健体育の授業において「武道」の必修に伴い全国の約64%の学校が「柔道」を選択している.「前回り受身」は受身の中でも習得に最も時間を要する.このことから本研究では,体育系大学生で柔道未経験者の的確ではない動きを「突っ込み型」と「横落ち型」の2パターンに分類し,前回り受身の習得の新たな指導法を提案した.「突っ込み型」は体操の前転のように頭部から畳への突っ込みを防ぐため,両腕の道衣の上から赤帯を結び付ける「レッドストリング法」で指導した.「横落ち型」は回転時の畳への接着順序(小指→手首→肘→肩→腰→足)を無視した形での横転を正確なものとするため長い棒を持たせたまま前回りさせる「ロングスティック法」で指導した.「レッドストリング法」では回転時の視線を固定することで首が捻られ頭部を打たなくなった.「ロングスティック法」では回転時の動きを制限することで畳への接地順序を正確にすることができた.両指導方法は,アンケート結果でも自己意識として改善が確認できた.よって「突っ込み型」に対しては「レッドストリング法」が,「横落ち型」に対しては「ロングスティック法」が有効な指導方法である可能性が示唆された.
  • 暑熱環境および脱水率との関係について
    東 善一, 森原 徹, 松井 知之, 瀬尾 和弥, 平本 真知子, 来田 宣幸, 盛房 周平
    2017 年9 巻 p. 416-427
    発行日: 2017年
    公開日: 2026/08/08
    ジャーナル フリー
    本研究では京都府高等学校選抜チームのマレーシア・シンガポール遠征にメディカルスタッフとして帯同した.熱帯地域への遠征では熱中症対策を要すが,現場の暑熱環境と熱中症の関係については不明である.そこで熱中症予防に対する取り組みと実際の暑熱環境および脱水率との関係を明らかにすることを目的とし,取り組みの有用性について検討した.選手18 名を対象に遠征前では熱中症に関する講演,サポート体制の整備と確認,遠征中では天気と体調の確認,グラウンドの暑熱環境の測定,練習前後における体重減少量を用い,脱水率の算出および測定したデータのフィードバックによって熱中症の注意喚起を行った.湿球黒球温度は24℃以上であり熱中症を生じるリスクは高かったが,熱中症を生じた選手および3%以上の脱水率を示した選手はいなかった.熱中症予防の取り組みを通して選手自身の脱水に対する認識は向上し,熱中症の予防に有用だったと考える.また,各選手の脱水率では湿球黒球温度や湿度あるいは運動時間と同様の順に高値を示した選手など様々であり,各選手によって脱水率に影響を及ぼしやすい因子が異なることを認識し,個別対応すべきであると考える.
  • 女子中学生を授業の対象とした場合
    淺井 雄輔
    2017 年9 巻 p. 402-415
    発行日: 2017年
    公開日: 2026/08/08
    ジャーナル フリー
    中学校学習指導要領保健体育編にもソフトボールは含まれており,教育現場で実践されているが,すべての生徒がソフトボールを楽しめているとは言えない.なぜなら,ベースボール型の球技のルールは理解するには難しく,ゲームを成立させるには,捕球・送球の高い技能とどこに投げるかといった状況判断力が要求される.従って,本研究の目的は,初心者に対するベースボール型球技のルール学習を目的とした体系的ミニゲームの提案をすることであった.問題点として,走塁に関するルール,アウトにする方法の複雑さ,投球されたボールをバッティングする技能と捕球送球に関する技能が難しく,ゲームが成立しないために意欲的に取り組めないと言える.加えて,ルールとして,得点するには4 つの塁を経ることが絶対条件であり,得点するまでに時間がかかり,楽しみを見出せないと考えられる.それらを解決するために,ルールを簡素化したミニゲームを提示した.提案したミニゲームを用いて中学生に授業を行った結果,ルール理解が促進し,意欲的に取り組める生徒が多くいたが,捕球・送球に関しては技能が向上したと感じていない生徒もおり,課題も残された.今後の展望として,守備者がゲームを行いながら技能を高めることができるルールの改善が求められる.
  • 個人の剣道技術の特性にも着目して
    徳田 祐貴, 石川 貴典, 後藤 健介, 竹中 健太郎, 前阪 茂樹, 山本 正嘉
    2017 年9 巻 p. 386-401
    発行日: 2017年
    公開日: 2026/08/08
    ジャーナル フリー
    電子付録
    大学生のレベルで優れた競技力を持つ剣道競技者12 名(上位群)と,同じ大学の剣道部に所属する実力が下位の競技者12 名(下位群)とを対象に,各種の体力測定を行い比較検討を行った.その結果,上位群は下位群に対して,身長は同じだがBMI や除脂肪体重が大きい,反応時間や跳躍能力に優れる,筋力では握力(特に左),背筋力,膝関節伸展筋力(特に左),足関節底屈筋力(左右)が相対的により発達している,などの特性が見られた.次に,上位群のみを対象として,得意とする技の違いによって,体力特性に違いがあるかを検討した.その結果,「遠間から面を打てる」「出ばな技に優れる」「引き技に優れる」と評価された選手群では,それぞれの技の特性に応じて,体力の発達にも特異的な様相が見られた.さらに一人一人の特性についても見たところ,各人の競技場面での特徴(長所や短所など)と,体力の発達様相との間に関連性が見られた.以上の結果から,大学生の剣道競技選手が競技力の向上を考える場合,①上位群が持つ平均的な体力特性を踏まえた上で,②各種の技の特性と関連して特異的に発達する体力特性や,③個人ごとの技能や体力の特性,にも配慮しながら行う必要があると考えられた.
  • PDCA サイクルに基づいた実践報告
    勝亦 陽一, 森下 義隆
    2017 年9 巻 p. 369-385
    発行日: 2017年
    公開日: 2026/08/08
    ジャーナル フリー
    電子付録
    本研究は,高校野球選手における打球スピードの向上を目的としたトレーニング実践事例について,PDCA サイクルに従って報告することを目的とした.計画:対象は17 名の高校野球選手であった.打球スピードを高めるために,メディシンボール投げ(横方向)および打動作におけるアイソメトリックトレーニングを採用した.実行:トレーニング期間は9 週間とし,それぞれ週3 回行った.トレーニング期間の前後には,ティー打撃における打球スピードおよび素振りにおけるスイングスピードを計測した.評価:PRE とPOST の比較を行ったところ,打球スピード(PRE:33.4±1.5 m/s,POST:34.6±1.6m/s,変化率:103.6±2.9%),スイングスピード(PRE:32.5±2.3m/s,POST:35.0±1.7m/s,変化率:107.8±5.2%)ともに統計的に有意な差が示されたことから,本研究で行ったトレーニングは打球スピードの向上に効果的であったと評価した.改善:年間スケジュールにおけるトレーニング計画の改善案として,トレーニング開始時期を早めること,およびフリーウエイトやトレーニングマシンなどの高重量を扱える器具を用いて筋量を増加させることで,今回よりも大きな効果を得られる可能性があると考えた.
  • 踏み込み方により踏み込み音の違いを客観的検知できるか
    下川 美佳, 金高 宏文, 竹中 健太郎, 津野 天兵, 前阪 茂樹, 前田 明
    2017 年9 巻 p. 359-368
    発行日: 2017年
    公開日: 2026/08/08
    ジャーナル フリー
    電子付録
    本研究では、剣道における踏み込み音の研究を進める前提として、踏み込み方により踏み込み音の違いを客観的に検知できるかについて実験的に検討することを目的とした。そのため、実践現場で見受けられる4種の踏み込み方による音の違いに着目し、ヒトの音に対する可聴領域(20Hz から20000Hz までの周波数帯域)内の200Hz から4900Hz を対象に踏み込み音について検討した。その結果、踏み込み方によって踏み込み音の振幅スペクトル量は、異なる周波数帯を有することが明らかとなった。以上のことから、踏み込み方により踏み込み音の違いは、客観的に検知できる可能性があると考えられた。
  • 角川 隆明
    2017 年9 巻 p. 345-358
    発行日: 2017年
    公開日: 2026/08/08
    ジャーナル フリー
    本研究では,エリートパラリンピック泳者を対象としてクロール泳の牽引泳を行い,計測された牽引力と泳動作との関係を明らかにすることを目的とした.本研究には,身体に障がいを有する5 名の国際大会出場レベルの競泳選手が参加した.牽引力の計測は先行研究で報告された牽引抵抗力計測法を改良し,回流水槽にて実施した.泳者はワイヤを介してロードセルに接続され,10 秒間の全力泳中にワイヤに生じる牽引力を計測した.その結果,左右非対称な牽引力の変動や,上肢の水上でのリカバリー動作から再び入水する動作において牽引力が増大する傾向が見られた.これらの結果から,本研究で用いた牽引力計測法によって,障がいを有する泳者を対象とした場合でも泳動作を評価できることが明らかとなった.障がいを有する泳者の泳動作中に生じる力に関する知見は乏しいのが現状であったことから,本研究で得られた知見は障がいを有する泳者が動作改善をする際の指標として活用できる資料と考えられる.
  • 淺井 雄輔
    2017 年9 巻 p. 334-344
    発行日: 2017年
    公開日: 2026/08/08
    ジャーナル フリー
    先行研究(淺井・佐川,2013;2016,淺井,2016)のVTR は,すべて同一の内容であり,一つの試合のみを対象に「流れ」を語るのは,画一的な情報しか得られない.この試合は,得点差の変化が著しく,最大で5 点差がつき,その5 点差が逆転されるという逆転劇があった.そのため,接戦の試合の「流れ」に関する知見はまだないと言える.よって,本研究は,バレーボールの接戦の試合を事例に,先行研究から得られた「流れ」の知見と照らし合わせることで,新たな「流れ」の知見を得ることを目的とした.調査は,被験者に対してバレーボールの試合のVTR を視聴してもらい,1 ラリーが終了する度にアンケートに回答してもらった.被験者には,VTR を見る際に,指定したチームの「流れ」の度合いがどのようになっているかをアンケートに回答してもらった.「流れ」に関するアンケートは-5~+5 までの11 件法であり,-5「まったく流れがない」から+5「とても流れがある」とキーワードを設定した.分析の結果,以下の結果が得られた. 1. 先行研究(淺井・佐川,2013)では2 連続得失点で有意に「流れ」が変化していたが,本研究における2 連続得失点では,1 点差を逆転する2 連続得失点については「流れ」の変化は見られなかった.その他の2 連続得失点については,先行研究と同様の結果であった. 2. 淺井(2017)と同様に,「流れ」の認知には,試合経過が影響を与えていることが明らかになった. 3. 接戦の試合においては,同じ点差の異なるタイムラインについては「流れ」に,さほど違いはなかった.すなわち,接戦の試合では点差から「流れ」が規定できると言える.
  • ある大学生女子剣道競技者を対象とした検証
    下川 美佳, 谷山 莉保, 金高 宏文, 竹中 健太郎, 前田 明, 前阪 茂樹
    2017 年9 巻 p. 327-333
    発行日: 2017年
    公開日: 2026/08/08
    ジャーナル フリー
    本研究は、違和感のある剣道具の着用が打撃と踏み込みの時間差にどのような影響を及ぼすかについて検討した。被験者は、女子競技者自身の剣道具を着用した際に打撃と踏み込みに「ほぼ同時」を逸脱したズレを有すると判断される女子競技者1 名であった。その結果、被験者が使いにくいと感じる剣道具を着用した試行条件は、剣道具を着用しない試行条件と被験者が使いやすいと感じる剣道具を着用した試行条件より打撃と踏み込みの時間差が長くなった。以上のことから、被験者が使いにくいと感じる剣道具の着用は、打撃と踏み込みの時間差を増加させ、観察上、打撃と踏み込みに「ほぼ同時」を逸脱したズレを有すると判断される原因となっていたと考えられた。
  • 去来川 園子, 東 善一, 森原 徹, 宮崎 哲哉, 平本真 知子, 瀬尾 和弥, 松井 知之, 久保 俊一, 蘆田 ひろみ
    2017 年9 巻 p. 316-326
    発行日: 2017年
    公開日: 2026/08/08
    ジャーナル フリー
    電子付録
    クラシックバレエでは,膝関節や足部における慢性障害の割合が多くを占めており(鵜澤ほか,2005),鼠径部痛の割合は少ない.また,スポーツの分野を問わず,鼠径部痛に対するリハビリテーション(リハビリ)の進め方については不明な点が多い.今回,クラシックバレエにおける左下肢挙上のグランバットマン動作時に左鼠径部痛を有する症例に対しリハビリを行い,良好な結果を得たので報告し,その発症原因について検討した.症例は29 歳,女性であり,患側(左)の大腿筋膜張筋,大腿直筋に圧痛と筋緊張の亢進を認めた.また,股関節を外旋・外転位に保持させると,触診上,大腿筋膜張筋,大腿直筋の過剰収縮と疼痛を認めた.可動域および筋力の評価結果から,深層外旋6 筋の筋力低下と,腸腰筋の筋力低下を大腿直筋および大腿筋膜張筋によって代償していることが疼痛の原因と考え,深層外旋6筋の促通,大腿筋膜張筋・大腿直筋の筋緊張抑制,開排・SLR・外転・外旋可動域改善,腸腰筋の促通・強化を行った.3 ヵ月後には左鼠径部痛は消失した.これらから側方へのグランバットマン動作における鼠径部痛に対しては,深層外旋6 筋・腸腰筋の筋力促進・強化が重要であると考えた.
  • 踏切局面から着手局面に着目して
    熊谷 慎太郎
    2017 年9 巻 p. 298-315
    発行日: 2017年
    公開日: 2026/08/08
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,跳馬における「前転とび前方伸身宙返り5/2 ひねり(Yeo2)」の成功試技と失敗試技の動作を比較することで,失敗に至った原因と成功させるための要点を明確にすることであった.2014 年豊田国際体操競技大会においてYeo2 を跳躍した2 名を分析の対象とし,シャッターが同期された2 台のハイスピードビデオカメラを用いて250fps で記録した.主に踏切局面から着手局面の動作について,3 次元DLT 法によって得られた3 次元座標を矢状面に投影し,2 次元平面上で分析を行った.その結果,失敗試技は成功試技と比較してハードルステップ局面における身体重心高が高く,踏切板離足時の身体重心の鉛直速度が小さかった.また,失敗試技は成功試技と比較して馬体着手時の身体角度が大きく,股関節の伸展角度が小さかった.さらに,失敗試技は着手局面における身体重心距離の変化も小さかった.これらのことが馬体離手時における鉛直速度を低下させる要因となり,第2 空中局面における身体重心高を十分に確保できなかったと考えられる.失敗試技はYeo2 を成功させるために,適切な高さでハードルステップを行い,振り上げ動作を明確に行って馬体に着手することが重要であると示唆された.
  • 水谷 未来, 鈴木 智晴, 藤井 雅文, 杉浦 綾, 松尾 彰文, 前田 明, 福永 哲夫
    2017 年9 巻 p. 288-297
    発行日: 2017年
    公開日: 2026/08/08
    ジャーナル フリー
    電子付録
    本研究の目的は,女子プロ野球選手を対象に,投球時の手指動作がボール速度およびボール回転数におよぼす影響について明らかにすることである.被検者は女子プロ野球投手4 名であった.被検者は18.44m 先の捕手に向かって全力投球を10 球行った.投球動作およびボールの速度と回転数を,モーションキャプチャシステムおよびドップラーレーダー式ボールトラッキングシステムを用いて,それぞれ計測した.その結果,身体各部位の投球方向への最大速度は,肘,手首,指先の順に高くなる傾向を示し,ボールリリース時点では,指先の動作とボール速度がほぼ同じ値を示した.以上の結果は,指先の速度がボール速度を決定する重要な要因であることを示唆している.更に,ボール速度が高い選手の特徴として,手首と指先の最大速度出現時間に顕著な差がみられた事があげられた.また,ボール回転数が高い選手の特徴として,リリース直前の指節間関節の掌屈角度が大きく,かつその角速度が高いことが観察された.
  • 上達のための指導ポイント
    田中 亮匡, 砂川 憲彦, 伊藤 博一
    2017 年9 巻 p. 277-287
    発行日: 2017年
    公開日: 2026/08/08
    ジャーナル フリー
    電子付録
    本研究では,男子大学生を対象に,メンコ遊びの成績上位者における動作の特徴をハイスピードカメラ1 台での2 次元動作分析によって明らかにし,メンコ遊び上達のための指導ポイントに関する基礎資料を作成することを目的とした.その結果,①相手のメンコに近づいて構える,②大きなステップ幅で構える,③踏込脚の膝関節を大きく伸展させながら投げる,④より低い位置でメンコをリリースする,⑤リリースポイントの真下付近にメンコを投射する,ことがメンコ遊びの成績上位者における動作の5 大特徴であることがわかり,上達のための重要な指導ポイントであると考えられた.また,体操マットと市販のゴム製コースターを使用した場合では,70km/h 程度のメンコ初速度があれば相手のメンコを十分にひっくり返せるものと考えられた.さらに,「構え」に関する分析項目は,多くの分析項目との間に有意な相関関係がみられたことから,「正しく構える」ことがメンコ遊び上達のために重要であると考えられた.
  • 体幹の捻転に注目して
    小澤 奈央, 藤田 英二
    2017 年9 巻 p. 268-276
    発行日: 2017年
    公開日: 2026/08/08
    ジャーナル フリー
    電子付録
    投球動作は,重心の移動や身体の捻りによって生じたエネルギーを各関節の運動連鎖を介して増強し,最終的にボールへ伝達する全身運動であるとされている.しかし,未熟練者では強く投げようと意識するあまり,肘関節を過度に屈曲し,肘関節の屈曲-伸展動作を強調したような投球側の上肢に頼った投げ方(手投げ)をする選手が多い.その要因の1 つとして,投球動作において体幹の捻転がうまく使えていないことがあげられる.本研究では,投球動作において手投げを呈する中学生男子野球部員1 名を対象に,投球側の肘関節に対して屈曲制限をかけることにより,手投げができないようにしたキャッチボールでのトレーニング介入が,体幹の捻転動作の習得に有効であるかを検討した.結果,介入後で骨盤および肩峰ラインにおける体幹の総回旋角度が増加し,肩峰ラインの回旋角速度も増加するとともに,最大角速度の出現のタイミングがボールリリースの直前となった.さらに,前述の変化に伴って球速も約10%増加した.以上の結果から,投球側の肘関節屈曲制限によるキャッチボールは,投球動作における体幹の捻転および望ましい動作タイミングの習得に有効であることが示唆された.
  • 小倉 圭, 奈良 隆章, 小野寺 和也
    2017 年9 巻 p. 238-250
    発行日: 2017年
    公開日: 2026/08/08
    ジャーナル フリー
    電子付録
    大学生内野手であるA 選手は,内野ゴロの捕球時において,捕球時に軸足股関節を十分に屈曲させることができず軸足下腿が大きく前傾する動作となっており,捕球直前に身体重心が送球方向へ急激に移動する捕球動作となっていた.このような動作により,捕球の正確性が損なわれることが考えられた.そこで,ゴロ捕球動作における股関節の動作改善を目的としたトレーニングプログラムを実施することによって,A 選手の捕球動作の改善を試みた.その結果,A 選手の捕球動作は軸足下腿の過度な前傾が抑えられたとともに軸足股関節の屈曲が大きい捕球動作に変化した.また,捕球直前の右足接地から捕球までの時間が長くなり,身体重心の送球方向への移動が緩やかになった.捕球成功率や指導者の主観的評価も向上がみられ,本事例で実施したトレーニングプログラムは,A 選手の捕球動作の改善に有効であると考えられた.
  • 佐藤 雄太, 森 寿仁, 奥島 大, 小山田 和行, 藤田 英二, 山本 正嘉
    2017 年9 巻 p. 227-237
    発行日: 2017年
    公開日: 2026/08/08
    ジャーナル フリー
    電子付録
    柔道選手に要求される瞬発力と持久力を,自転車エルゴメーターを用いた間欠的な全力ペダリングテストによって簡易に評価できるかを検討するため,大学生の男子柔道選手を対象に2 つの研究を行った.研究1 では,22 名の選手を対象に,5 秒間の全力ペダリングを10 秒間の休息をはさみ,10 セット反復するテストを行った.全対象者はこのテストを行う以前に,指導者による競技動作の評価に基づき,瞬発力に優れる選手(14 名)と劣る選手(8 名)とに分けられた.持久力についても同様に,優れる選手(10 名)と劣る選手(12 名)とに分けられた.その結果,本テストにおける瞬発力指標に関しては指導者の評価と対応を示さなかったが,持久力指標については対応を示した.研究2 では,実際の柔道の試合において最長時間(5 分間)の競技を行い引き分けとなったケースを抽出して試合後の血中乳酸濃度(BLa)を測定し,研究1 におけるペダリングテスト後のBLa と比較した.その結果,両者とも13mmol/L 程度とほぼ同等の値を示した.以上の結果から,本研究で用いた間欠的な全力ペダリングテストは,柔道選手の瞬発力を評価することは難しいが,持久力を評価する上では有用であると考えられた.さらにこの運動は,柔道選手に必要な持久力を改善するためのトレーニングとして活用できる可能性も考えられた.
  • 意図的な動作改善が苦手な大学女子走幅跳競技者の指導実践より
    小森 大輔, 宮下 菜央, 松村 勲, 瓜田 吉久, 金高 宏文, 近藤 亮介
    2017 年9 巻 p. 211-226
    発行日: 2017年
    公開日: 2026/08/08
    ジャーナル フリー
    電子付録
    本研究は,走幅跳において膝関節主動の踏切動作によって競技記録を低迷させている学生女子競技者に対して,競技記録の向上を目指して行った踏切動作改善のための指導事例を提示し,その取組の妥当性を検討したものである.記録低迷の原因を膝関節主動の踏切動作であると仮説を立て,股関節主動の踏切動作を導くためのトレーニングを考案し,実践させた.約6 ヶ月のトレーニングを継続した結果,股関節主動の踏切動作を習得し,走幅跳の競技記録が5.39m から5.61m へ向上した.これに加えて,助走のリズムと空中フォームも改善した.考案したトレーニングは,股関節主動の踏切動作を導き出し,走幅跳の踏切動作を改善する手段の一つとなる可能性が示唆された.
  • 陸上競技における跳躍・混成種目を専門とする競技者を対象として
    小森 大輔, 中谷 深友紀, 高井 洋平, 濱中 良, 加藤 忠彦, 近藤 亮介
    2017 年9 巻 p. 197-210
    発行日: 2017年
    公開日: 2026/08/08
    ジャーナル フリー
    電子付録
    本研究は、陸上競技の跳躍・混成種目を専門とする男子学生を対象に、平台車を用いた体幹トレーニングが体幹筋群の筋厚に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。トレーニング期間は2015 年12 月から2016 年2 月までの約3 ヶ月間とし、週に2 回の頻度で計20回実施した。平台車を用いた18 種類の体幹トレーニングを行わせた。被検筋は、腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋とし、腹直筋のみ第2・3・4 腱画下の3 ヶ所を測定した。被検筋によるトレーニング効果の違いを検討するために二要因被験者内計画の分散分析を用いた結果、測定時期と測定部位の効果、交互作用は有意であった。各測定部位において測定時期の単純主効果が有意であり、トレーニング後に被検筋の全ての筋厚が有意に増大した。トレーニングによる各部位の変化率を検証したところ、腹直筋①および内腹斜筋に比べて腹横筋が有意に高い値を示した。このことから、筆者が考案した平台車を用いた体幹トレーニングは、体幹筋群の筋厚を増大させるトレーニングとして有効な手段の一つであると示唆された。
  • 蔭山 雅洋, 土川 千尋, 大石 祥寛, 鈴木 智晴, 藤井 雅文, 前田 明
    2017 年9 巻 p. 183-196
    発行日: 2017年
    公開日: 2026/08/08
    ジャーナル フリー
    The present study aimed to identify features of the pitch and stride of university baseball players when running a 30-meter dash, and differences in running style in relation to the players’ positions. The participants, 36 university baseball players (age: 20.3±0.9; height: 173.7±5.0 cm; weight: 68.9±5.5 kg), ran a 30-meter dash. Their time was measured every 5 meters, and their running speed, pitch, and stride were calculated. The results indicated that both their pitch and their stride increased in the first 10- meter section. After that, their pitch was unchanged, whereas their stride increased in the 10- to 15-meter section; both pitch and stride remained unchanged during the 15- to 25-meter section. Finally, their pitch decreased while their stride increased in the 25-to 30-meter section. The players’ running speed was significantly positively correlated (p<.05) with pitch in the 30-meter dash as a whole and also in the 10- to 15-meter section. Running time was shorter in the order of outfielders, infielders, and pitchers, and the outfielders’ time was significantly shorter than that of the pitchers (p<.05). These results suggest that the running ability of outfielders is superior to that of infielders and pitchers who play a more important role in offense, and that baseball players who run a fast 30-meter dash accelerate effectively by increasing their pitch in the 10- to 15-meter section, where pitch tends to be stabilized.
  • 竹中 健太郎, 和田 智仁, 下川 美佳, 前阪 茂樹, 前田 明
    2017 年9 巻 p. 171-182
    発行日: 2017年
    公開日: 2026/08/08
    ジャーナル フリー
    電子付録
    剣道は,気剣体一致の打突が有効打突の条件であり,上肢と下肢の円滑な協調が求められる.上肢における打突と,下肢の踏み込みのタイミングについて,初心者の場合は,打突よりも踏み込みが先行し,鍛錬を重ねるに連れて打突が踏み込みよりも先行する打突動作へと移行する.しかしながら,昨今の若年層の剣道選手の試合における打突動作においては,これが過度となり,打突と踏み込みに著しい時間差が見られる場面が少なくはない.そこで本研究では,剣道鍛錬者の打突方法を下肢始動型の打突に修正することによる正面打突時の打突と踏み込みの時間差へ及ぼす影響と有用性について検討した.3~4 段の大学剣道選手60 名を対象に,剣道熟練者(教士7 段)が教示と示範を行い,その後,30 分間の一過性による打突方法を修正するトレーニングを実施した.その結果,下肢始動型の打突動作への修正により剣道鍛錬者の打突と踏み込みの時間差を有意に縮小させる即時効果が得られ,その効果の度合いは時間差の大きな選手ではより顕著であった.このことから,下肢始動型の打突への修正は,剣道鍛錬者の打突と踏み込みの時間差の縮小に有益であることが示唆された.また,下肢始動型の打突方法を習得(習慣化)することは,対人技能における「攻めと打突を一体化させた面技の習得」への基礎動作として活用し得ることが期待される.
  • 山口 大貴, 金高 宏文, 黒川 剛, 小森 大輔, 永原 隆, 近藤 亮介
    2017 年9 巻 p. 157-170
    発行日: 2017年
    公開日: 2026/08/08
    ジャーナル フリー
    電子付録
    本研究は,自転車競技におけるペダリング技術の改善に資する実践的な知見を得るために,股関節漕ぎを導こうとするペダリングドリルが,大学自転車競技者のペダリング中の実施感や動作及び回転踏力へどのように影響するのか検討した.そのために,股関節漕ぎペダリングドリルにより導かれた股関節漕ぎ(HPT)と大学競技者が既に身に着けているオリジナルの漕ぎ方(PPT)とを「一定パワー発揮時」の場面を想定して比較検討した.その結果,HPT とPPT のペダリング運動時の動作及び被験者の実施感は異なるものであった.その際,ペダリングドリルで導くことができるHPT は,大学自転車競技者が独自に身に着けているPPT よりも下肢の動作がコンパクトで無駄がなく効率的な漕ぎ方である可能性が示唆された.
  • 家庭用デジタルビデオカメラを利用して
    岡村 麻人, 石井 壮郎, 林 昌希, 青木 義満, 黒瀬 龍之介, 窪田 辰政, 三橋 大輔
    2017 年9 巻 p. 146-156
    発行日: 2017年
    公開日: 2026/08/08
    ジャーナル フリー
    電子付録
    近年、光学式三次元動作解析装置を用いて、スポーツ動作のkinematics やkinetics に関する知見が数多く報告されるようになった。しかし、こうした装置は一般的に高価であり、解析の手間も甚大であるため、現場へのフィードバックに時間がかかるという問題があった。そこで筆者らは、家庭用デジタルビデオカメラのような比較的安価な機器で、簡便に素早く動作分析できるシステムを開発した。このシステムにスポーツ動作の動画とそのときのパフォーマンスデータを入力すると、自動的に画像処理と統計処理が行われ、選手のパフォーマンスに影響する姿勢が表示される。ビジュアル化された情報を迅速にフィードバックできるため、選手はイメージしながら練習でき、段階的なパフォーマンスの向上が期待される。本稿では、システムを男子ジュニアテニス選手のサーブ動作に適用した例を提示する。選手はシステムを用いてサーブの練習を3 カ月間継続したところ、動作が改善する可能性が見受けられた。
  • 菊池 諒, 金城 岳野, 西 純平, 岡本 直輝
    2017 年9 巻 p. 135-145
    発行日: 2017年
    公開日: 2026/08/08
    ジャーナル フリー
    電子付録
    本研究は、野球における内野手のゴロ処理について動作時間の「速さ」に焦点を当てた評価法を考案し、指導現場での利用法について検討することを目的とした。被験者は高校・大学の硬式野球部に所属する右投げ内野手計30 名とした。被験者を遊撃手の定位置に立たせ、その地点から5m 離れた7カ所(正面、左右斜前、左右真横、左右斜後)に球を置き、指示者の合図と同時に被験者に予め指示していた方向の球をグラブで捕球させ、一塁へ送球させた。被験者らの動作をハイスピードカメラによって撮影し、動作開始から終了までの動作時間を計測した。また、動作中におけるステップの足跡の分析も行った。その結果、本測定における全方向の平均動作時間は、大学野球公式戦での遊撃手方向の打球におけるアウト時の送球完了の平均時間と類似していた。本測定法における動作形式や動作時間が、試合における遊撃手のゴロ処理の場面とほぼ同様であることから、本測定法は指導現場においてゴロ処理の「速さ」の評価法として利用可能であると考える。また、動作中の歩数を減少させるよう指導することで、選手のゴロ処理動作の時間短縮が可能になると考える。
  • 男子競技者における投擲距離の11.80m から14.87m への競技発達事例を手がかりに
    加藤 忠彦, 近藤 亮介, 金高 宏文, 瓜田 吉久, 前田 明
    2017 年9 巻 p. 111-134
    発行日: 2017年
    公開日: 2026/08/08
    ジャーナル フリー
    電子付録
    本研究では,砲丸投・回転投法における投擲の運動フォームと運動意識の変容を,男子競技者1 名の事例を対象に報告,分析した.対象者における取り組みは4 つに分けることができ,投擲距離の増大とともに運動フォームと運動意識は変容していた.また,4 期の連続的な変容について,運動フォームの変容は運動の観察点を,運動意識の変容は動きを意図した動感で整理した結果,それぞれ9 項目と10項目で変容していた.対象者の事例を整理し,取捨選択を加えることで,回転投法の発達段階として,「ターンの習得」,「投げの習得」,「ターンにおける身体の加速」という3 段階が考えられた.対象者の運動フォームと運動意識の変容を手がかりに,回転投法に取り組むうえでの競技発達段階における運動フォームの観察視点を作成し,提示した.
  • 打撃動作中の身体重心の移動に着目して
    蔭山 雅洋, 中島 一, 鈴木 智晴, 前田 明
    2017 年9 巻 p. 94-110
    発行日: 2017年
    公開日: 2026/08/08
    ジャーナル フリー
    電子付録
    本事例のA 選手 (年齢; 22 歳, 身長; 166.1 cm, 体重; 60.0 kg) の打撃動作は, 打撃方向への身体重心の移動が大きく, 内省報告では身体 (上半身) が突っ込むこと, タイミングがとりづらいことが得られた. そこで本事例は, 上半身が突っ込む動作を改善することを目的とし, 傾斜台を用いた打撃トレーニングが野球打撃の正確性に及ぼす影響を試合時での打率とティーバッティングによる打撃動作から検証することとした. 4 週間のトレーニングの結果, A 選手のスイング速度はトレーニング前後に変化がなく, 打率はトレーニング後 (3 割6 分4 厘; 11 打数4 安打) がトレーニング前 (2 割; 5 打数1 安打) に比べ向上した. また打撃動作は, 踏み出し局面およびスイング局面における打撃方向への身体重心の移動距離が減少した. これらの結果より, A 選手は身体重心の並進運動が小さくなったことで,ボールとのタイミングを合わせる動作を習得し, このことが打撃パフォーマンスの向上に影響したと示唆される.よって, 傾斜台を用いた打撃トレーニングは, 上半身が突っ込み, タイミングがとりづらい野球選手に対して, 打撃パフォーマンスを高めるための有効な手段であることが示唆された.
  • 100m 走で自己記録を10 秒台に更新した短距離走選手を対象として
    吉本 隆哉, 斉藤 静真
    2017 年9 巻 p. 78-93
    発行日: 2017年
    公開日: 2026/08/08
    ジャーナル フリー
    電子付録
    ある体育大学に所属する男子陸上競技短距離走選手(SS 選手)は,高校3 年に100m 走で11.10sを記録してから,大学3 年まで記録を更新できないまま競技生活を送っていた.SS 選手は,大学3 年の3 月に,他大学との合同合宿の際,疾走速度に関連する要因となるいくつかの能力を測定した結果,10 秒台の記録を持つ選手に劣る項目がいくつかみられた.そこで,それらの要因を改善するさまざまな取り組みを行うことで,大学4 年の8 月に4 年ぶりの自己記録の更新(10.96s)を果たし,9 月には10.94s を出すことに成功した.そこで本研究は,SS 選手が100m 走で11 秒台であった時期から10 秒台に記録を更新した時期における疾走速度に関連する要因の変化を明らかにし,その結果から運動指導現場における10 秒台への記録更新に役立つ重要な知見を明示することを目的とした.本研究の結果,10 秒台に自己記録を更新した前後で,競技力の規定要因となる最大疾走速度に増大がみられ,疾走速度に関連する要因となる形態,身体組成,下肢筋群の力発揮能力およびジャンプ能力に改善がみられた.特に,リバウンドジャンプおよび立五段跳のパフォーマンスに大きな向上が認められた.本研究で得られたスプリントパフォーマンスに関連する要因の変容を参考として,トレーニングを立案・作成することは,100m 走で10 秒台を目指す選手の一助となる.
  • 伊藤 博一, 塩崎 七穂, 田中 亮匡, 砂川 憲彦
    2017 年9 巻 p. 64-77
    発行日: 2017年
    公開日: 2026/08/08
    ジャーナル フリー
    電子付録
    本研究では,一般的な小学1~6 年生男女を対象に,学年別にみた投動作の特徴をハイスピードカメラ1 台での2 次元動作分析によって明らかにすることを目的とした.その結果,男子では学年が上がると逆手の利用や下肢・体幹の合理的な動作が顕著に現れ,これらの動作によってボールリリース位置をより前方へとシフトさせ,ボール初速度の増大につなげていた.一方,女子では高学年においても逆手の利用や下肢・体幹の動作は不十分であり,ボールリリース位置は男子低学年と同等のレベルに留まり,ボール初速度は男子中学年より低値であった.本研究結果により,一般的な小学生の投動作を指導する際には,ボールリリース位置をより前方へシフトさせるような動作をアーリーコッキング期の終盤からアクセレレーション期にかけて多数出現させることが重要であるということがわかり,男女ともに学年別の指導ポイントが明確になった.
  • 国内トップレベルの男子3 名を対象に
    萩原 正大, 石井 泰光
    2017 年9 巻 p. 53-63
    発行日: 2017年
    公開日: 2026/08/08
    ジャーナル フリー
    ウィンドサーフィン(RS:X 級)選手3 名(選手A,選手B,選手C)を対象に,海上で同時に,同じエリアでスピードトレーニングを行わせた際の位置座標と風向・風速を計測した.これらのデータから帆走速度,帆走角度およびVMG を算出して,競技レベル差や風速差による各帆走指標の特徴を検討した.その結果,以下の知見が得られた. 1. VMG は,競技レベル順に高く(選手A>選手B>選手C),高い帆走速度を発揮(維持)して,帆走速度が極端に低下しない範囲で,できるだけ小さな帆走角度(約45°程度)で帆走することにより,高いVMG を獲得できることが明らかとなった. 2. 対象者3 名とも,2m 条件(風速2~3m/s)よりも,3m 条件(風速3~4m/s)の方が帆走速度とVMGが高かったが,帆走角度に差は認められなかった. 3. 選手B は,選手A と比較して,帆走角度は同等だが,帆走速度が低いことで,VMG が低かったため,特に帆走速度を高めることが課題であると考えられた. 4. 選手C は,選手A と比較して,2m 条件(風速2~3m/s)では帆走速度が低くかつ帆走角度も大きいこと,3m 条件(風速3~4m/s)では帆走速度が同等でも帆走角度が大きいことから,VMG が低かった.つまり,風速状況によって,改善が必要となる帆走指標(帆走速度,帆走角度)が異なった.
  • 上野 みなみ, 石井 泰光, 塚越 さくら, 黒川 剛, 山本 正嘉
    2017 年9 巻 p. 27-52
    発行日: 2017年
    公開日: 2026/08/08
    ジャーナル フリー
    本研究は,高校時代に自転車競技の2km 個人追い抜きでジュニア日本記録(2 分35 秒98)を達成した女子中長距離選手が,大学から大学院修士課程までの約5 年間で,3km 個人追い抜きでは日本記録に迫る記録(3 分43 秒259)を達成するなど記録を向上させ,多くの国際大会に出場して活躍するまでに至ったトレーニングの取り組みを報告するものである.また,その中から,今後の選手育成に有益な知見を明らかにするものである.本事例の分析期間は,3 ㎞個人追い抜きの記録の変化とトレーニング内容に基づき,①高校生期,②ロード期,③ロード+補強期Ⅰ,④ロード+補強期Ⅱに分類した.①では,ロード・バンク練習においてインターバルトレーニングを行うことで心肺機能を強化した.②では大学のトレーニング環境に適応することでタイムが改善した.③ではトラック練習やウエイトトレーニングを導入したものの,記録に大きな変化は見られなかった.④では2 度の大きな怪我を契機に,選手の意識が変化したことで,トラック練習やウエイトトレーニングなどの補強トレーニングを積極的に行うようになり,安定的に好記録を出せるようになった.以上のことから,3 ㎞個人追い抜きの能力向上のためには,ロード練習を基盤としながら,補強トレーニングをバランスよく行うことともに,トレーニングの取り組みに対する選手の意識が重要であると考えられた.
  • 長澤 淑恵
    2017 年9 巻 p. 15-26
    発行日: 2017年
    公開日: 2026/08/08
    ジャーナル フリー
    スポーツ指導者の行動特性をコンピテンシーという概念に基づいて数値化し,好成績をおさめる女子ソフトボール指導者の特徴を考察した.まずは世界トップレベルの指導者3 名にインタビューを行った.そこで抽出された項目からアンケートを作成し,全国トップレベルの高校・大学の指導者にアンケートを実施した.因子分析の結果,「女子ソフトボール指導者のコンピテンシー尺度」は,「観察」「モラル」「コミュニケーション」「啓発」「戦略」「動機づけ」「基本練習」「組織形成」の8 つに分類された.本研究の結果から好成績をおさめる指導者は選手の性格や変化などを「観察」し,それに基づいて適切な言葉がけや技術指導が行われていると推察された.また,優秀選手を輩出している指導者は「観察」の他に,「戦略」「モラル」を重要視しており,競技を継続していこうとする意欲や競技力を育成したことが示唆された.
  • Visual Analog Scale を用いた審判による評価の様相
    千布 彩加, 森 寿仁, 山本 正嘉
    2017 年9 巻 p. 01-14
    発行日: 2017年
    公開日: 2026/08/08
    ジャーナル フリー
    電子付録
    剣道やなぎなたのような武道種目では,打突の有効性は審判が「気剣体一致」という観点から評価する.本研究ではなぎなた競技を対象として,審判資格保有者が気剣体のできばえについて,Visual Analog Scale (VAS)を用いて定量的に評価することを試みた.またその結果をもとに,トレーニングへの示唆を得ることを目的とした.対象者は大学女子なぎなた競技選手9 名とし,4 種類の打突を各15 本ずつ行わせた.各打突を3 名の審判者が「気」「剣」「体」からなる9 つの項目に対して,100mm のVAS を用いて評価させた.その結果,無効打突時の評価値はすべての項目で,有効打突時よりも有意に低値を示した.特に無効打突時の「打突部位の正確性」「打突の重さ」の評価は低く,有効打突時との評価値の差が大きかった.この傾向は4 種類の技に共通していた.したがって,審判者が大学生レベルの競技者の有効打突を判定する際には,「打突部位の正確性」「打突の重さ」の2 項目についてより差別化した評価をしていることが示唆された.以上の結果から,1)気剣体のできばえはVAS を用いることである程度定量的に表しうること,2)競技者は稽古の際に「打突部位の正確性」,「打突の重さ」を重点的に改善していく意識を持つことで,打突の改善をより効率よく図れる可能性があること,の2 点が考えられた.
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