教育経済学研究
Online ISSN : 2436-1801
Print ISSN : 2436-1798
最新号
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  • 韓 昌完
    2025 年7 巻 p. 1-7
    発行日: 2025/02/28
    公開日: 2025/02/28
    ジャーナル オープンアクセス
    QOLの概念はWHOに定義されて以来、様々な分野で用いられてきた。特に、医療分野では健康関連QOL(HRQOL)としてその定義や尺度開発に関する研究が進められている。近年、教育分野においても子どものQOLの測定について関心が高まっているが、日本では通常の学校における子どものQOLの現状について尺度を用いて測定した先行研究は少ない。よって、学齢期の子どもたちが多くの時間を過ごす学校生活に特化したQOL尺度の開発が必要であるという考えから研究に取り組んできた。本研究では、これまでの著者の先行研究に基づいて、学校に関連するQOL尺度(SRQOL-22)を開発し、その信頼性および妥当性を検証することを目的とした。山口県と沖縄県の小中学生474名から評価データを収集し、信頼性および構成概念妥当性の検証を行った結果、ともに良好な結果が得られた。これからの時代、学力だけでなく、子ども自身が学校生活の質をどう感じているかということを把握し、教育的対応を取ることが求められるだろう。SRQOL-22を活用することで、学校生活で子どもたちが感じるQOLを総合的に測定することができれば、課題への対応に繫がり、また対応の結果として変化した子どものQOLを測定することもできるようになる。QOL研究で先を行く医療分野に倣い、SRQOL-22が学校現場で活用されていくことで、評価研究およびQOL研究が活発化し、学校評価におけるアウトカムとして定着していくことを期待する。
  • 小西 哲也, 大田 誠
    2025 年7 巻 p. 8-17
    発行日: 2025/02/28
    公開日: 2025/02/28
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は、子どもたちの教育活動における様々な認識や意識の違いと自尊感情の関係を質問紙調査により明らかにするものである。多岐にわたる自尊感情に関する研究のなか、他者との関係性に焦点を当てると件数はかなり絞られてくる。さらに、友達、教師以外の大人との関係性に触れたものは極めて少ない。 2017年に地教行法改正により学校運営協議会の設置が努力義務となり2024年には全国の6割以上の小中学校がコミュニティ・スクールとなった。従来の学校に比して圧倒的に異なるのは大人の来校者が極めて多いことである。おそらく、地域の大人を中心とした組織的計画的な学校支援の始まりにより、これまでの教育では、あまり着目されることがなかった環境的な変化が生じている。そこで、他者(大人)との関わりと自尊感情の関係から様々な活動における意識の変容を検討することとした。子どもたちは、大人の活動を外観するだけでなく、協働したり合同の授業を体験したりもする。こうした取り組みは、旧来の学校教育では起こりえなかったことであり、新しい時代の学校の姿として認識すべき事実であることを示した。
  • 于 闊, 金 珉智
    2025 年7 巻 p. 18-28
    発行日: 2025/02/28
    公開日: 2025/02/28
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は、中国の新規学卒した就職者における教育過剰の現状と今後の課題を文献的に検討することを目的とする。教育過剰の直接的な表れとして、職位の学歴要求が新規学卒者の学歴よりも低い場合があることが示されている。9件の対象文献を検討した結果、仕事への満足度の低さや給与の低さが原因で、雇用する側の企業と働く側の新規学卒者の能力やスキルの需要と供給が一致できず、教育過剰となることが明らかになった。また、教育過剰を緩和するためには、職業教育の積極的な実施と地域間の教育格差の解消が必要であることが示された。今後、中国の労働市場における新規学卒者の教育過剰についてデータに基づいて実証的に検証する必要がある。
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