QOLの概念はWHOに定義されて以来、様々な分野で用いられてきた。特に、医療分野では健康関連QOL(HRQOL)としてその定義や尺度開発に関する研究が進められている。近年、教育分野においても子どものQOLの測定について関心が高まっているが、日本では通常の学校における子どものQOLの現状について尺度を用いて測定した先行研究は少ない。よって、学齢期の子どもたちが多くの時間を過ごす学校生活に特化したQOL尺度の開発が必要であるという考えから研究に取り組んできた。本研究では、これまでの著者の先行研究に基づいて、学校に関連するQOL尺度(SRQOL-22)を開発し、その信頼性および妥当性を検証することを目的とした。山口県と沖縄県の小中学生474名から評価データを収集し、信頼性および構成概念妥当性の検証を行った結果、ともに良好な結果が得られた。これからの時代、学力だけでなく、子ども自身が学校生活の質をどう感じているかということを把握し、教育的対応を取ることが求められるだろう。SRQOL-22を活用することで、学校生活で子どもたちが感じるQOLを総合的に測定することができれば、課題への対応に繫がり、また対応の結果として変化した子どものQOLを測定することもできるようになる。QOL研究で先を行く医療分野に倣い、SRQOL-22が学校現場で活用されていくことで、評価研究およびQOL研究が活発化し、学校評価におけるアウトカムとして定着していくことを期待する。
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