トマトの茎の基部における木部溢泌液の出液速度とCa
2+濃度から根のCa
2+吸収速度を評価し, Ca
2+吸収の水吸収および根の呼吸への依存性について検討した. 明期における出液速度は, 基部切断前の地上部蒸散速度の約3分の1で, 暗期に比べ2~5倍高かった. また, 溢泌液のCa
2+濃度は培養液中のCa
2+や濃度よりも3~4.5倍高く, 暗期の約1.5倍であった. これらのことから, 明期のCa
2+吸収速度は, 暗期よりも3~5.5倍大となった. 明期において, 蒸散流を抑制した個体においては切断後の出液速度が低下し, 根の呼吸を抑制した個体においては出液速度およびCa
2+濃度が低下した. その結果, Ca
2+吸収速度は低下した. 暗期における低いCa
2+吸収速度は, 暗期の根の呼吸を高めても促進されなかった. 以上のことから, 明期におけるCa
2+吸収は, 根の水吸収および呼吸によって律速される一方, 暗期においては根の呼吸がCa
2+吸収の律速要因とはならなかった. このように, カルシウム吸収が根の水吸収および呼吸に依存することについて, Ca
2+チャンネルおよびCa
2+ポンプを有する内皮の機能に関連させて考察した.
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