中国華北地域の農業の近代化と緑化の研究を担っている石家荘農業現代化研究所は, 北緯38度付近に, 西から東へ順に, 太行山前山 (丘陵) 地帯, 平地, 塩類土壌地域という3つの典型的な環境で試験を行うための支場 (站) を持ち, それぞれの生態系における固有の問題に取り組んでいる. いずれも夏期の驟雨を主体とする不安定で限られた降水量が大きな制限要因であり, 水の動態や灌漑水の有効利用が主要な研究テーマであるが, 丘陵地帯と塩類土壌地域では, 地域住民の家計の改善に繋がる新しい経済作物の導入も, 緑化・農業生産双方の観点から重要な課題となっている. 2004年12月の視察を基に同研究所の研究の一端を紹介する.
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