遮根シートを用いた夏作ハウスメロンの根域制限栽培において定植期以後のかん水方法の違いが地上部・地下部の生育, 根系分布に及ぼす影響を検討した. かん水処理は4処理区 (C区: 慣行地床栽培, 定植前うね全面かん水・少量多回数かん水管理, MF区: 根域制限・定植前うね全面かん水・多量少回数かん水管理, LM区: 根域制限・定植前うね全面かん水・少量多回数かん水管理, SD区: 根域制限・定植前うね中央部のみかん水・少量多回数かん水管理) を設けて植え付け直前の時期から処理を開始し, 収穫直後に各処理区の生育, 根系分布を調査した. C区での根系は分布が浅く, うね内だけでなく, 通路部分にも多くの根が分布した. 根域制限を行ったMF区, LM区でも浅根性の傾向が強く, LM区に比べてMF区での根量が少なかった. 一方, SD区では, 根域全体に太根, 細根が広がり, 根量もMF区, LM区に比べて多かった. 果実肥大はC区, SD区が優れ, 大玉で糖度も高かった. これに対してLM区, MF区は糖度は十分であるが, 果重がやや小さかった. また, 根域制限区の果梗長はいずれも品質基準内にとどまったが, LM区で最も短かった. 根域制限下における根系形成は地床栽培とは異なるだけでなく, かん水方法の違いによっても大きく変化し, 地上部生育, 果実の肥大・品質に影響を及ぼした.
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