根の研究
Online ISSN : 1880-7186
Print ISSN : 0919-2182
ISSN-L : 0919-2182
最新号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
原著論文
  • 中野 明正, 大川 千鶴, 黒田 史絵, 川口 哲平
    2021 年 30 巻 3 号 p. 53-57
    発行日: 2021/09/20
    公開日: 2021/09/29
    ジャーナル 認証あり

    冷風とCO2の同時処理が初期のイチゴ ‘よつぼし’ の生育に与える影響を評価した.地上部の乾物重の増加は認められなかったが,根部では重量や根長が有意に増加した.また,δ13C値は,処理により地上部,根部とも有意に低下し,施用したCO2が吸収され,根部にも転流していることが示された.日中のCO2濃度を600 μmol mol-1に維持したが,その同位体推定吸収効率は51%にとどまった.炭素同位体自然存在比は,さらに効率の良いCO2施用法開発に向けた指標となる可能性が示された.

  • 佐伯 爽, 岩﨑 直人
    2021 年 30 巻 3 号 p. 58-64
    発行日: 2021/09/20
    公開日: 2021/09/29
    ジャーナル 認証あり

    本研究では,接ぎ木部まで水没させた接ぎ木樹の根の呼吸活性と炭水化物の分配および落葉の程度について調査し,樹体の枯死の機構について考察した.湛水処理開始直後は,根の呼吸活性が低下することから根糖含量は増加するが,湛水処理が継続する間は根の呼吸活性が回復することがないにもかかわらず,根糖含量は徐々に減少して対照区との差はなくなった.落葉の程度は個体差が大きく,根および台木木質部の糖含量と相関が見られた.湛水処理期間中の根の呼吸活性は根糖含量と正の相関が見られたことから,湛水処理による根の呼吸活性の低下は酸素不足のみに起因するのではなく,炭水化物の分配も関与するものと考えられた.

  • 平野 恭弘, 南光 一樹, 土居 龍成, 西村 澪, 杁山 哲矢, 谷川 東子
    2021 年 30 巻 3 号 p. 65-75
    発行日: 2021/09/20
    公開日: 2021/09/29
    ジャーナル 認証あり

    令和2年7月豪雨中の7月11日夜,岐阜県瑞浪市大湫町の神明神社に生育し,町のシンボルである大杉が倒木化した.本研究は,大杉倒木化の要因解明に向けた基礎的な知見を得るため,倒木時の豪雨など気象状況とともに大杉倒木の根系状況を明らかにすることを目的とした.2020年7月11日の日降水量は137 mm day-1,時間最大雨量43 mm h-1の豪雨を記録したが,これは過去40年間に大杉が経験した雨量であった.2020年7月は特に日照時間が短く,樹体や土壌が乾きにくい状態であることが推察された.倒木化した大杉は,横方向に最大9.1 m, 縦方向に最大 6.6 mの直径, 最大厚さ2.3 mをもつ巨大な根鉢を地表面に露わにした.根鉢中心部には腐朽が広がり,倒木時に土壌に残存した根には剥ぎ取られたような形跡が認められた.レーザースキャナを用いて,倒木化した大杉の三次元構造をデジタル化して再現した結果,根系体積は43.2 m3と推定された.倒木化した大杉の地下部の広がりや地上部との体積比からも,スギとして大杉の根系は小さいことが示唆された.根系および気象の状況から倒木化の要因として,長年の生育中に根系に進んだ腐朽,および長期間の雨と日照不足に伴う土壌水分量増加による根の土壌支持力の低下,さらにこの気象下における樹体地上部の水分量増加によって,地下部・地上部バランスが崩れたことが推察された.

教育
  • 野村 康之, 塩野 克宏, 島村 聡, 山内 卓樹
    2021 年 30 巻 3 号 p. 76-82
    発行日: 2021/09/20
    公開日: 2021/09/29
    ジャーナル 認証あり

    根の皮層に形成される通気組織は,冠水土壌において大気と触れる地上部と細胞分裂が活発な根端部をつなぐ気体の通り道となるため,植物の耐湿性に寄与する重要な形質である.一方,皮層で顕著にみられる微小な細胞間隙も同様の役割を担うことが知られている.本連載第1回目および第2回目で紹介した空隙率の測定方法は,通気組織と細胞間隙を総合して評価する手法である.一方,切片法は根の横断切片の画像を解析するため,通気組織と細胞間隙を個別に評価できる.本稿では,論文では具体的に示されることがない切片画像の解析方法について詳しく解説する.

feedback
Top