根の研究
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31 巻, 1 号
ミニレビュー
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ミニレビュー
  • 福澤 加里部
    2022 年 31 巻 1 号 p. 7-20
    発行日: 2022/03/20
    公開日: 2022/03/25
    ジャーナル フリー

    細根の生産-枯死-分解プロセスは森林生態系の炭素や養分循環において重要であるが,十分に理解されていない.これは,細根が地下にあって目にすることができないために,細根量としては評価できても,同時に起こっている細根の生産と枯死・分解の時間変化 (細根動態) に関する評価が極めて限られているためである.細根量 (バイオマスまたは密度) に対する細根生産量や細根枯死 (分解) 量の比率として表現される細根回転速度 (ターンオーバー速度) の大きさの違いは,森林生態系の細根生産量や枯死量の大きさの違いとして現れる.そのため,細根動態を正確に評価することが求められる.本稿では,著者らが北海道北部の林床にクマイザサ (Sasa senanensis) が密生する冷温帯林において行った,コア法を用いた細根バイオマスと,非破壊的手法であるミニライゾトロン法を用いた細根密度と細根生産・枯死の時間変化に関する事例研究を紹介する.その中で,上層木および林床に密生しているクマイザサの地上部フェノロジーと細根生産および枯死の時間変化の関係を考察した.また,森林の生産性における細根の寄与を知るために,細根生産量と地上部純一次生産量を比較した.そして,冷温帯林の生産性における細根生産の重要性を示した.

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