老年社会科学
Online ISSN : 2435-1717
Print ISSN : 0388-2446
30 巻 , 4 号
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原著論文
  • ―― 超高齢者のサクセスフル・エイジングの付加要因――
    冨澤 公子
    2009 年 30 巻 4 号 p. 477-488
    発行日: 2009/01/20
    公開日: 2020/10/20
    ジャーナル フリー

     本研究は超高齢者の精神世界に焦点を当て,エイジングのポジティブな発達がもたらす超越的な世界観である「老年的超越」の形成要因を明らかにすることを目的に,奄美群島の超高齢者11人に半構造化面接調査を実施し,その語りをM-GTAで分析した.

     その結果,「老年的超越」を促進する要因は,日々の営みにおける「目標は100歳」という生を追求する超高齢者自身の能動的な生活姿勢にあり,それは子どもや近隣の支援環境と生死を体験した戦争から得た知から形成され,生活満足を感じる過程で「自我超越」「執着超越」「宇宙的超越」の3つの要因からなる「老年的超越」が形成されることが明らかになった.つまり,超高齢者のサクセスフル・エイジングは,「老年的超越」を内蔵したポジティブな生のなかから,中・高年期とは異なる豊かな精神世界を形成していくものではないかと思われる.

資料論文
  • ――「第三者委員」の役割の検討 ――
    金 高誾, 黒田 研二
    2009 年 30 巻 4 号 p. 489-497
    発行日: 2009/01/20
    公開日: 2020/10/20
    ジャーナル フリー

     本研究は,老人福祉施設の苦情解決状況を把握するとともに,第三者委員の役割を明らかにし,苦情解決機能のいっそうの強化を図る方法を検討することを目的とした.大阪府の老人福祉施設347施設について分析を行った.苦情解決体制および運営状況に関する項目の度数分布を調べ,苦情の有無別,第三者委員の人数別,1年間の第三者委員の施設への訪問回数別の比較分析を行った.苦情がない施設では,約4割近くで第三者委員の活動が行われておらず,苦情解決体制を利用者に周知している施設が少なかった.第三者委員の人数については,単数より複数の第三者委員を設置している施設が,苦情解決により積極的に取り組んでいることが確認された.1年間の第三者委員の施設への訪問回数では,12回以上の施設で,活動内容,苦情をくみ取るための工夫においてもより積極的で,第三者委員の設置効果を認めているところが多かった.より効果的なシステム運営のためには,苦情がない施設を目指すのではなく,利用者が苦情をいえること,また利用者の意見を苦情として認識可能な形にすることが必要である.さらに,苦情解決機能を高めるためには,複数の第三者委員の設置および第三者委員の施設への訪問回数を増やすことが重要である.

  • 河野 あゆみ, 津村 智惠子, 藤田 倶子, 薮内 良造
    2009 年 30 巻 4 号 p. 498-507
    発行日: 2009/01/20
    公開日: 2020/10/20
    ジャーナル フリー

     本研究では,介護保険サービスを利用している要支援高齢者は利用していない者に比べ,身体心理社会的特性にどのような特徴があるかを明らかにする.A市(人口66,092人)の全要支援高齢者527人のうち,過去3か月間継続してサービスを利用している者293人,サービスを利用していない者187人を調査対象とし,ADL,IADL,抑うつ,ソーシャルサポート,行動範囲や意思疎通などを郵送調査にて把握した.分析対象となったサービス利用者は163人,未利用者は114人である.サービス利用者は未利用者に比べて,独居高齢者が多く(p =.0006),交通機関を使って外出する者が少なかった(p =.044).以上より,介護保険サービスを利用している要支援者は,独居高齢者が多いこと,交通機関を使って外出していないことが特徴として示された.

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