老年社会科学
Online ISSN : 2435-1717
Print ISSN : 0388-2446
30 巻 , 3 号
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原著論文
  • 栗盛 須雅子, 福田 吉治, 八幡 裕一郎
    2008 年 30 巻 3 号 p. 383-392
    発行日: 2008/10/20
    公開日: 2020/10/20
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は,介護保険統計を用いた年齢調整要介護認定割合(重度認定割合と軽度認定割合に区分),加重障害保有割合(WDP),障害調整健康余命(DALE)を高齢者健康指標として提案するため,これらの指標の収束妥当性を検証すること,活用例としてこれらの指標の関連要因を検討することとした.収束妥当性は,軽度認定割合,重度認定割合,年齢調整WDP,65歳DALEと,平均自立期間との間の順位相関係数で検証した.関連要因は,健康指標,社会経済指標,人口学的指標との間の順位相関係数で検討した.結果は,軽度認定割合,重度認定割合,WDP,DALEの収束妥当性が支持され,男女の軽度認定割合は多くの社会経済指標と関連があった.結論として,高齢者健康指標としての提案は妥当であり,これらの指標は都道府県,市町村の老人保健福祉政策の立案や評価,意思決定に有用であると考えられた.

  • ―― 事業所の対応を利用者が評価する尺度の開発をめざして ――
    須加 美明
    2008 年 30 巻 3 号 p. 393-403
    発行日: 2008/10/20
    公開日: 2020/10/20
    ジャーナル フリー

     訪問介護の質を利用者が評価する信頼性と妥当性が検討された尺度の開発を目的に,サービス提供責任者が行う調整など事業所の対応のよし悪しによって影響される質の次元を測るモデルをつくり調査を行った.訪問介護を利用する高齢者1,831人を対象に調査を行い1,347件の回答(回収率70%)から欠損値のない本人回答650件を分析データとした.構成概念を5因子(事情聴取と仕事の説明,ヘルパーの仕事範囲,必要とのズレ,サービスの継続性,ばらつき)で表わすモデルに基づき探索的因子分析を行ったところ,仮説どおりの因子が抽出された.モデルの評価のために確認的因子分析を行ったところ,適合度指標はCFI = 0.965, TLI = 0.983, RMSEA = 0.079となり,構成概念の妥当性が確認できた.信頼性はCronbachのαが0.88で十分なことが確かめられた.他の地域において尺度案を適用し交差妥当性を確かめることが次の課題である.

実践・事例報告
  • 小楠 範子
    2008 年 30 巻 3 号 p. 404-414
    発行日: 2008/10/20
    公開日: 2020/10/20
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は,退院後の生活の場を決定する場面に参加できず,結果的に施設への転院となった入院中の高齢者の体験を記述によって明らかにすることである.

     研究参加者は,A病院に入院中の女性高齢者3人である.平均年齢は80歳であった.研究参加者の退院までの期間,不定期に非構成面接を行った.面接内容は許可を得て録音し,逐語録とした.逐語録およびフィールドノートをデータとし,分析を行った.

     その結果,退院後の方向性を決定する場に高齢者自身が参加できていない実態,および決定のプロセスの蚊帳の外にいる高齢者が,<自分らしさを失っていくことへの危機感><現在の自分の役割が見いだせない苦しみ><自分の居場所の不安定さ,居場所のないつらさ>を抱えていることが明らかとなった.そして,家族から転院の話を聞かされた高齢者は,最終的には,「家族のため」という理由で,その転院の現実を受け止めている現状が明らかとなった.

資料論文
  • 新鞍 真理子, 荒木 晴美, 炭谷 靖子
    2008 年 30 巻 3 号 p. 415-425
    発行日: 2008/10/20
    公開日: 2020/10/20
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は,家族介護者の続柄別にみた介護に対する意識の特徴を明らかにすることである.2005年8月,A県内の訪問看護ステーション利用者で65歳以上の要介護認定者の家族介護者376人の調査結果を分析した.介護に対する意識は,因子分析により「自己成長感」「対人葛藤」「充実感」「拘束感」「経済的負担感」とした.共分散分析を用いて,要介護者および介護者の属性を調整し,妻,夫,娘,息子,嫁における介護に対する意識の因子得点の平均値を比較した.

     その結果,「充実感」は,嫁が一番低く,娘に比べて有意に低かった.「経済的負担感」は,息子が一番高く,夫,娘,嫁に比べて有意に高かった.「自己成長感」「対人葛藤」「拘束感」では,続柄間の有意な差はみられなかった.

     介護に対する意識は,続柄間により異なることから,続柄の特徴を支援に反映させることが望ましいと考えられる.

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