老年社会科学
Online ISSN : 2435-1717
Print ISSN : 0388-2446
32 巻 , 4 号
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原著論文
  • ―― ミディエータとしての転倒関連セルフ・エフィカシーの役割 ――
    前場 康介, 藤澤 雄太, 満石 寿, 飯尾 美沙, 竹中 晃二
    2011 年 32 巻 4 号 p. 405-412
    発行日: 2011/01/20
    公開日: 2020/10/20
    ジャーナル フリー

     本研究では,転倒恐怖が高齢者の身体活動実践に及ぼす影響,および両者を関連づける転倒関連セルフ・エフィカシー(fall-related self-efficacy ; FSE)のミディエータとしての機能について検討を行った.在宅高齢者164人を対象として質問紙調査を実施し,FSE,転倒恐怖,および強度別の身体活動時間についての回答を得た.構造方程式モデリングによるパス解析の結果,転倒恐怖が各強度の身体活動へ与える影響は,中強度の身体活動,歩行活動,平日座位すべてにおいて有意であった.さらに,転倒恐怖と各身体活動との関連におけるFSEのミディエータ機能を検証した結果,転倒恐怖から各活動への直接的なパスはすべて有意性を失い,FSEがミディエータとして作用することで強い影響力をもつことが示された.高齢者の転倒を予防,低減させる試みにおいては,個人における恐怖そのものの低減に加えて,FSEや社会的資源を視野に入れることも重要になると考えられる.

  • ── 別居子の意識とその規定要因 ──
    中西 泰子
    2011 年 32 巻 4 号 p. 413-421
    発行日: 2011/01/20
    公開日: 2020/10/20
    ジャーナル フリー

     本論文の目的は,女性の就労と老親介護意向との関連を明らかにすることにある.そのため,妻の親および夫の親それぞれに対する将来的な介護意向の規定要因を検討した.「消費生活に関するパネル調査」の10年度目(2002)データを用いて,65歳未満の親をもち,夫方妻方どちらの親とも同居していない有配偶女性を分析対象とした.従属変数は,妻の親および夫の親への介護意向であり,独立変数としては,妻就労状態および妻年収を用いる.統制変数としては,親との居住距離,子どもの有無,妻年齢,きょうだい構成,夫年収,都市規模,両親共に健在か否か,を用いる.

     分析の結果,女性の就労および年収は,夫の親に対する介護意向とは関連していないが,妻の親に対する介護意向と関連していることが示された.妻が就労している場合,そして年収が多いほど,妻の親への介護意向が強くなっていた.分析結果からは,夫婦の勢力関係が,妻の親との関係に影響を及ぼしていることが推察される.

  • 中川 威, 増井 幸恵, 呉田 陽一, 髙山 緑, 高橋 龍太郎, 権藤 恭之
    2011 年 32 巻 4 号 p. 422-433
    発行日: 2011/01/20
    公開日: 2020/10/20
    ジャーナル フリー

     平均余命の伸長が著しいなか,高齢期の心理的発達をとらえる理論的枠組みが求められている.本研究は,その発達過程を探索するため,心理的発達を遂げている超高齢者を対象に,彼らが日常生活で体験していることを記述することを目的とした.超高齢者8人を対象に面接調査を実施し,解釈的現象学の視点から質的分析を行った.

     超高齢者の語りのうち,生命,生活,人生という生(life)の諸側面に対する意味や価値に焦点を当て,意味ある単位に分類した結果,「つながっていること」「変わっていくことに気づくこと」「変わらないことを見いだすこと」「自分だけにできることをみつけること」の4つのテーマを抽出した.この結果から,超高齢者の生の体験は,客観的な事実から成る状況に身をおきつつ,二元的思考を脱する実存的な体験としてとらえることができるであろう.今後,かかる超高齢者における生の実存的側面をとらえるために,超越の視点が必要であると考えられる.

  • 中原 純
    2011 年 32 巻 4 号 p. 434-442
    発行日: 2011/01/20
    公開日: 2020/10/20
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は,①感情的well-beingの因子構造の集団間での不変性を検討すること,②感情的well-being尺度の短縮版を作成し,妥当性を検討すること,③感情的well-beingの前期高齢者と若年者の差異を検討することである.方法は,関西圏の大学および専門学校に通う若年者(n=272),無作為抽出されたA県B市の前期高齢者(n=585)を対象とする質問紙法であった.分析の結果,感情的well-beingの因子構造は,集団間でおおむね不変であることが確認された.また,感情的well-being尺度の短縮版の妥当性や信頼性も確認され,7項目からなる感情的well-being尺度短縮版が作成された.その他,感情的well-beingは若年者よりも前期高齢者のほうが良好であることが示され,高齢期の適応に関するいくつかの理論の前提が,わが国において確認されたと考えられる.

資料論文
  • ── 指標開発に向けた項目作成過程 ──
    吉田 礼維子, 和泉 比佐子, 片倉 洋子, 波川 京子
    2011 年 32 巻 4 号 p. 443-452
    発行日: 2011/01/20
    公開日: 2020/10/20
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は,介護予防システムを推進する保健師の活動指標の開発に向けて,保健師のインタビューと文献から活動内容を抽出し,項目の精選を行い,活動指標の項目案を作成することである.

     市町村および地域包括支援センターの保健師8人に半構造化インタビューを行い,介護予防システムを推進する保健師の活動52項目を抽出した.次に先行文献と照合して47項目の原案を作成した.質問項目の精選のために,研究者と経験9年以上の保健師14人を対象に質問紙調査を実施した.Content Validity Indexは0.93で内容妥当性が確認された.質問紙調査の結果から項目を精選し,42項目案が選定された.項目案は,ニーズ把握,計画立案,実施,評価の看護展開における活動を含むもので,住民や関係者との協働,ライフサイクルをとおした継続的な活動がみられた.今後,活動指標の作成に向けて,信頼性・妥当性を検討する予定である.

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