老年社会科学
Online ISSN : 2435-1717
Print ISSN : 0388-2446
33 巻 , 4 号
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原著論文
  • 斉藤 雅茂, 藤原 佳典, 小林 江里香, 深谷 太郎, 西 真理子, 新開 省二
    2012 年 33 巻 4 号 p. 527-537
    発行日: 2012/01/20
    公開日: 2020/02/10
    ジャーナル フリー

     住民基本台帳から判断される一人世帯のうち,実際には同居者がいる(名目独居)高齢者の基本属性および心理的健康を分析した.調査は,2008年7月〜2009年3月にかけて埼玉県和光市で行われ,そのうち,一人世帯調査における名目独居と実質独居,一般世帯調査における一般同居の2,644人について分析した.名目独居と実質独居および一般同居を従属変数にした二項ロジスティック回帰分析,および,3群間での心理的健康に関する差の検定を行った.分析の結果,①性別や年齢,生活機能,収入にかかわらず,名目独居は婚姻状態と当該地域の居住年数において実質独居と一般同居と顕著な違いがあること,他方で,②同居者のいる高齢者のなかでも孤立傾向にある高齢者ほど名目独居に該当しやすいという関連はないこと,③名目独居は一般同居と同程度に将来への不安は少ないが,実質独居と同程度に健康度自己評価は低く,抑うつ感が高い傾向にあることが確認された.

  • 和泉 京子, 阿曽 洋子, 山本 美輪
    2012 年 33 巻 4 号 p. 538-554
    発行日: 2012/01/20
    公開日: 2020/02/10
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は,在宅の軽度要介護認定高齢者の要介護度の推移の状況とその要因を明らかにし,介護予防対策の示唆を得ることである.2004年度に要支援と認定された939人と要介護1と認定された659人の計1,598人について分析を行った.基本属性,身体・心理・社会的項目について単変量の解析より,5年後の要介護度と有意であった項目について,多重ロジスティック回帰分析を行った.要支援者および要介護1者共に,悪化の抑制には老研式活動能力指標得点の1点あがる毎が関連し,悪化の促進には後期高齢者,排泄の失敗ありが共通して関連していた.要支援者では,主観的健康感の非健康,趣味なし,要介護1者では,過去1年間の転倒経験ありも悪化の促進に関連していた.

     軽度要介護認定高齢者に対しては,排泄の失敗の予防・支援,要支援者へは,趣味をもち活動することへの支援,要介護1者へは転倒予防の支援が介護予防につながると考えられる.

  • ―― デイサービスにおける「かぞえて体操」の実践を通じて ――
    菊池 有紀, 薬袋 淳子, 島内 節, 成順 月
    2012 年 33 巻 4 号 p. 555-565
    発行日: 2012/01/20
    公開日: 2020/02/10
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は,デイサービスを利用する要支援から要介護3までの後期高齢者が,座位で50から0まで声を出して数えながらセラバンド運動を行う「かぞえて体操」(二重課題)の実施が,認知機能とうつ傾向,筋力(握力)に有効であるかを検証することである.

     3施設のデイサービスから,介入群63人,対照群59人を選出した.介入群は,連続12週間中の利用日(週平均2.0±0.8回)に二重課題を実施し,介入前後のMMSE得点,GDS得点,握力について多重ロジスティック回帰分析による比較検証を行った.

     分析対象は,介入群61人,対象群55人であった.介入群は,MMSE得点とGDS得点,握力が有意に向上し,オッズ比はそれぞれ5.12(95%信頼区間:2.11-12.42)と2.95(1.28-6.83),右手3.40(1.36-8.46),左手3.25(1.40-7.55)であった.対照群は変化がなかった.

     デイサービスを利用する要支援から要介護3までの後期高齢者が二重課題を実施することで,認知機能とうつ傾向の改善と,筋力の向上に効果的であることが示唆された.

  • 須加 美明
    2012 年 33 巻 4 号 p. 566-574
    発行日: 2012/01/20
    公開日: 2020/02/10
    ジャーナル フリー

     ヘルパーの援助力尺度の開発を目的として,ヘルパーを対象に調査1(n=264)と調査2(n=531)を行った.調査1を基に因子分析を行い,利用者への気づき,考える援助,後ろ向きの態度(クライエント中止の逆)の3因子でヘルパーの援助力を表すことにした.利用者への気づきと考える援助の因子は,アセスメントと計画性を表しているので,上位に2次因子(ニーズ把握と計画力)をおき,これと後ろ向きの態度が共分散をもつというモデルを設定した.モデルの評価のために確認的因子分析を行ったところ適合度指標は2回の調査で十分な値を示し構成概念妥当性が確認できた.自己効力感,バーンアウト,職務満足感を外的基準として関連を調べたところ,いずれも有意な相関を示し基準関連妥当性が確かめられた.下位尺度のひとつでクロンバックのαが低いものの,尺度全体ではある程度の信頼性が認められ,ヘルパーの援助力を測る手がかりになると思われる.

資料論文
  • ── クラスタ分析に基づく検討 ──
    前場 康介, 竹中 晃二
    2012 年 33 巻 4 号 p. 575-584
    発行日: 2012/01/20
    公開日: 2020/02/10
    ジャーナル フリー

     本研究では,中・高齢者の運動セルフ・エフィカシー情報源における関連パターンをクラスタ分析により類型化し,各クラスタにおける対象者の特徴を明らかにすることを目的とした.60歳以上の中・高齢者858人(男性449人,女性409人)を対象として質問紙調査を実施し,運動セルフ・エフィカシーおよびその情報源などを含む諸変数を測定した.クラスタ分析の結果,中・高齢者における運動セルフ・エフィカシー情報源の関連パターンは,①全情報源充足型,②全情報源不足型,③自己関連情報源充足型,④代理的体験充足型,⑤言語的説得充足型,の5つに類型化されることが明らかになった.全情報源充足型では運動セルフ・エフィカシーが高く,定期的な運動習慣を有している者の割合が高いといった特徴が示された.また,全情報源不足型は,それと対照的な特徴を示していた.今後は,運動セルフ・エフィカシーとの関連変数を含んだ包括的な検討を行う必要がある.

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