老年社会科学
Online ISSN : 2435-1717
Print ISSN : 0388-2446
34 巻 , 4 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
原著論文
  • ―― 語りからみたケアワーク実践の分析を通して ――
    向井 通郎
    2013 年 34 巻 4 号 p. 471-481
    発行日: 2013/01/20
    公開日: 2020/01/30
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は,高齢者介護施設においてケアがどのように実践されて,ケアワーカーが臨床能力をどのように獲得していくかを,実践現場の5人の熟練ケアワーカーの語りに基づいて明らかにすることである.データ収集においては,模擬介護場面を設定しその実施方法について半構成的インタビューを実施した.その結果,ケアワーク実践においては,支援のプロセス全体にわたり実践の根拠となる知識や価値を確認しつつ,要介護者の個別的ニーズや支援の状況に応じた介入方法が繰り返し検討され,実施されていた.この実践上の手続きを踏んで展開することは,実践科学の方法として位置づけられる.また職場内のコミュニケーションは,臨床能力としての知識や技術の継承ならびにケアワーカーとしての援助観の錬磨において重要な促進要因となる.

  • ―― 介護保険レセプトデータに基づく実証分析 ――
    菊澤 佐江子, 澤井 勝
    2013 年 34 巻 4 号 p. 482-490
    発行日: 2013/01/20
    公開日: 2020/01/30
    ジャーナル フリー

     本稿は,一自治体を事例として,介護保険サービスの供給における市町村間格差の現状をサービスごとに検討するとともに,要介護高齢者の介護保険サービス利用に関する個別データと地域のサービス事業者数等を含む市町村データを併せた統合データを階層一般線形モデル(Hierarchical Generalized Linear Model;HGLM)によって分析することを通じて,居住地域におけるサービス供給等の地域要因が,個別要因とともに要介護者の介護保険サービスの利用に及ぼす影響について,包括的に検証した.

     その結果,サービス供給量には地域間格差があり,とくに普及が相対的に進んでいるサービスで地域間格差が大きいこと,また,要介護度や年齢等の個別要因を一定としても,施設介護,訪問介護,訪問看護,デイサービスについて,居住地域のサービス供給量の多少は要介護高齢者のサービス利用に有意な影響を与えていることが示された.

  • 小岡 亜希子, 陶山 啓子, 形上 五月, 田中 久美子
    2013 年 34 巻 4 号 p. 491-499
    発行日: 2013/01/20
    公開日: 2020/01/30
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は,介護職と看護職が協働して排泄ケアを実践するための教育プログラムを実施し,その効果を検討するために,仕事・協働・排泄に関する介護職の認識の変化を明らかにすることである.プログラムの内容は,排泄の基礎知識と協働に関する講義および12週間の排泄カンファレンスの実施である.対象は,A県内2か所の介護老人保健施設に勤務する介護職52人のうち,有効回答が得られた26人である.介入前,講義終了後,カンファレンス終了後の3時点で経時的な変化を比較した.その結果,排泄ケアの信念において,プログラム終了時点で「ケアによっておむつの使用を減らせる可能性がある」という信念が有意に上昇した.しかし,職務満足感や仕事のコントロール感には有意な変化を認めなかった.以上のことより,本プログラムの排泄ケア改善への有効性と協働を促進するための課題が示唆された.

資料論文
  • 島田 千穂, 堀内 ふき, 鶴若 麻理, 高橋 龍太郎
    2013 年 34 巻 4 号 p. 500-509
    発行日: 2013/01/20
    公開日: 2020/01/30
    ジャーナル フリー

     特別養護老人ホームで,看取りケア実施状況と体制上の関連要因を明らかにするため,施設内での療養後死亡の実態とスタッフ・ケア体制,意向確認・説明の実施状況,連携の仕組み,ケアに対する自己評価との関連を検討した.全国老人福祉施設協議会加盟施設1,200か所を抽出し,各施設長あてに調査票を郵送して看護職リーダーによる記入と返送を求めた.回収率は35.9%であった.退所者の死亡の内訳から,施設を3群;施設内死亡なし群(n = 79),療養後死亡低群(n = 231),療養後死亡高群(n = 79)に分類し分析した.療養後死亡高群は,夜間死亡時の医師の往診,および終末期ケアの意向確認の実施の割合が他2群に比べて高かった.利用者・家族とコミュニケーションを図り,施設職員のケアの技術を向上させることを通じて,看取りケアが安定的に実施できる体制につながることが示唆された.

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