老年社会科学
Online ISSN : 2435-1717
Print ISSN : 0388-2446
35 巻 , 1 号
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原著論文
  • ― 「日頃の活動満足度尺度」と「社会活動に関連する過ごし方満足度尺度」 ―
    岡本 秀明
    2013 年 35 巻 1 号 p. 3-14
    発行日: 2013/04/20
    公開日: 2019/11/29
    ジャーナル フリー

     高齢者の社会活動全般の満足度を把握するために開発された「日頃の活動満足度尺度」と「社会活動に関連する過ごし方満足度尺度」の2つの尺度の特性をみるため,社会活動との関連性を男女別に分析して検討した.千葉県内都市部4市在住の高齢者(65〜79歳)を対象に郵送調査を実施し,分析項目に有効回答が得られた932人を分析対象者とした.社会活動は,地域基盤的活動,貢献活動,趣味等仲間内活動の3つとした.独立変数に3つの活動を一括投入した重回帰分析の結果,①日頃の活動満足度得点には貢献活動と趣味等仲間内活動が正の関連を示し,②社会活動に関連する過ごし方満足度の全体得点には3つの活動すべてが正の関連を示し,③社会活動に関連する過ごし方満足度の4つの下位尺度別得点には,女性と比較して男性のほうが関連を示さない活動が多くみられた.概して,3つの活動のなかで,趣味等仲間内活動への関与が活動満足度を大きく上昇させる傾向がみられた.

  • 堀口 和子, 岩田 昇, 松田 宣子
    2013 年 35 巻 1 号 p. 15-28
    発行日: 2013/04/20
    公開日: 2019/11/29
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は,介護生活継続を可能にする家族の認識と対処行動を抽出し(研究Ⅰ),家族ユニットにおける介護生活評価指標を開発すること(研究Ⅱ)である.研究Ⅰでは,中・重度要介護者を3年以上在宅介護している14家族(計18人)を対象に半構造化面接を実施し,介護生活継続を可能にしている要素を抽出した.研究Ⅱでは,この要素に基づいて評価指標(Family Caregivers’ Appraisal Checklist;FACL)を試作し,訪問看護サービスを利用する1,020家族に試用した.771家族の回答を個人用の認知的介護評価・対処方略尺度項目群とともに因子分析し,FACLの測定次元を検討した結果,FACLは認知評価・対処方略に加え,経済状況・介護継続意思・介護体制などの個人レベルでは見逃されてきた次元より構成されていた.在宅での介護生活の状況を評価するには,家族単位で多角的に評価する必要があることが示唆された.

  • UCLA孤独感尺度第3版を用いて
    豊島 彩, 佐藤 眞一
    2013 年 35 巻 1 号 p. 29-38
    発行日: 2013/04/20
    公開日: 2019/11/29
    ジャーナル フリー

     本研究は,中高年者を対象としてソーシャルサポートの受領と提供が孤独感を低減する効果,および両者の精神的健康との関連性を検証することを目的とした.50歳以上の男女を対象として質問紙調査を実施し,326人を分析対象者とした.本研究では孤独感を測定する尺度としてUCLA孤独感尺度第3版を用い,確認的因子分析により信頼性を確認した.その後,精神的健康(WHO-5),ソーシャルサポートの授受,主観的経済状況,主観的健康度を変数とするパス解析を行った.その結果,情緒的サポートは孤独感と関連性が認められたが,道具的サポートとの関連性は有意ではなかった.また,ソーシャルサポートと精神的健康との直接的な関連性は,道具的サポートの受領を除いて認められなかった.本研究の結果から,ソーシャルサポートが精神的健康に及ぼす効果は,サポートの有無を認知することが直接的に影響するのではなく,孤独感という不快感情を低減することによる効果であると考えられる.

  • 河合 千恵子, 新名 正弥, 高橋 龍太郎
    2013 年 35 巻 1 号 p. 39-48
    発行日: 2013/04/20
    公開日: 2019/11/29
    ジャーナル フリー

     本研究はライフレビューとライフストーリーブック作成プログラムを虚弱な高齢者に実施し,心理的QOLに及ぼす効果を検証することを目的とした.参加者は特別養護老人ホーム利用者22人(年齢範囲:71〜95歳)で,10人は介入群,12人は対照群とした.介入群は,週に1度,連続して6回ライフレビューを実施し,のちにライフストーリーブックを作成した.プログラムの介入効果を調べるために心理的QOLに関する指標として精神的健康,ネガティブ気分,自尊感情,統合性を測定した.群と評価時点を2要因とする反復測定の分散分析を行い,3つの指標において有意な交互作用を認めた.評価時点の効果が介入群と対照群で異なっており,介入群は精神的健康,ネガティブ気分に改善を示したのに対して,対照群は自尊感情に悪化を示した.本研究からライフレビューとライフストーリーブック作成プログラムが虚弱な高齢者の心理的QOLを向上させるのに効果的であることが示された.

資料論文
  • 増井 幸恵, 中川 威, 権藤 恭之, 小川 まどか, 石岡 良子, 立平 起子, 池邉 一典, 神出 計, 新井 康通, 高橋 龍太郎
    2013 年 35 巻 1 号 p. 49-59
    発行日: 2013/04/20
    公開日: 2019/11/29
    ジャーナル フリー

     日本版老年的超越質問紙の改訂版(Japanese Gerotranscendence Scale Revised;JGS-R)を作成し,その妥当性と信頼性を検討した.JGS-Rを地域在住高齢者1,973人に実施し,欠損のないデータ(n = 1,831,女性52.3%,年齢範囲69~81歳)を用いて確認的因子分析を行った.その結果,最終的なモデルの適合度(GFI = .95;AGFI = .93;RMSEA = .044)は十分に高く,JGSと同様の因子構造が確認された.再検査信頼性は,インターネット調査モニター(n = 344,女性50%,年齢範囲49~79歳)のデータを用いて検討した.調査間隔1か月のJGS-Rの8つの下位尺度の再検査信頼性はr = .55~.83であった.一方,内的一貫性の低い下位因子もあった.これらの結果から,JGS-Rには一定の妥当性および信頼性が確認されたが,尺度のさらなる検討の必要性も示唆された.

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